トーキョーという街
東京で生まれ育った。
かれこれ20年経つが、ここはつくづく寂しい街だとおもう。
新宿二丁目で会ったドラァグクイーン、下北沢で飲んだグレーな仕事をする現キャバ嬢、1回目のデートで振った渋谷のレズビアン、クラブで口説いてきたドイツ人、先生と付き合って貴重な年月を無駄にさせられた女の子。
みんなみんな唯一無二だった。良くも悪くも。
唯一無二であるが故に、わたしたちはお互い50パーセントもわかり合うことは出来ないし、どこまでいってもひとりなんだろうけれど。
わたしは今夜も飲みに行くだろう。
そして隣の人の人生に耳を傾け、時には共感し、時には非難するんだろう。
東京はわたしたちを追い出しはしない。ただそこにあるだけ。わたしたちはその中をたゆたうだけ。
東京は寂しい人たちのまちだ。