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超保守的な私がフリーランスになって「働くとういうこと」について考えた

はじめまして。河田安津子と申します。千葉県流山市で「Nagareyama Wine Club」というワイン好きの方々のコミュニティを主宰し、ワイン講座やイベント等の活動をしています。

このnoteでは超保守的な私がフリーランスという立場になると決めるまでの事、決めてからの事、家の事、自分の事、子育ての事、大事にしていること等々、日々感じていることを書いていきたいと思います。

つい先日までIT企業に所属し会社員の傍らワインに関する活動をしていましたが、社会人14年目となる今年、フリーランスとしてやっていくことに決めました。
今の時代珍しくもないと思いますが、私にとってそれはとても大きな変化で。

働くって何だろう。
ここ数年ずっと、いえ、もしかしたらそれは14年前からずっと胸にあった問いなのかもしれません。
この記事では私にとって「働くということ」がどのように変遷し、今どう感じているかを書いてみたいと思います。

子どもの頃からの憧れで学生時代は検察官を目指して司法試験の勉強をしていました。鬼平犯科帳と女検事・霞夕子が大好きな少女だったんです。
普段は穏やかに見えるけどキメるときにはめっぽう強、そんな芯のある大人に憧れていました。

でも理想通りには行きません。大学在学中に合格できず、就職氷河期でもあった当時、安定志向の私は「このまま司法試験浪人をしたとして、いつまでも合格できなかったら私の人生どうなるのだろう」という不安に駆られました。
まだ新司法試験ができる前の時代。悩んだ末に企業に就職することにしました。
それまで司法試験のことしか考えていなかった私は就職活動の仕方が分からず相当な苦戦を強いられました。
聞いたことのある会社のエントリーシートを取り寄せるも志望動機が浮かびません。焦って色んな企業に応募しては落とされまくる日々。
働くという事について考える余裕は全くありませんでした。

新卒で生命保険会社へ

そんな時に出会った社会人の先輩に保険の大切さや困っている人の力になれることを教わり腹落ちしたのが生命保険の会社でした。エントリーシート受付締切のギリギリセーフで応募し、トントンと就職が決まりました。全国転勤のない総合職でした。

父に就職先を報告すると「本当にそれでいいのか?まだ勉強していいんだぞ」と聞かれました。ドキッとしながら「この会社で頑張る」と答えました。
この時の私は、とにかく働いて、誰かの、何かの役に立ちたかった。
親に仕送りをしてもらいながら結果を出せないかもしれない自分のためだけの時間を過ごすのはもう限界でした。
検察官にはなれなかったけれど新しい人生をゼロから頑張る。
これ以上の挫折も無いだろうし、どんなことだってやってやる。
そんな気持ちで入社し、8年間がむしゃらに働きました。

当時の私にとって働くということは人の役に立つということでした。大変な思いをしても誰かの役に立てて喜んでもらえたら頑張れる。
大変なことも沢山ありましたがその分思い出も深く、温かい上司や同僚に恵まれ、この会社で社会人になれて本当に良かったと思います。

心がポキッと。休職

転機が訪れたのは入社7年目の本社勤務の頃でした。
新しい社内部署の立ち上げに加わり、物流の整備や備品の調達、採用、勤怠、全国を出張してありとあらゆる揉め事解決、私って何屋だっけ?というほど相変わらずがむしゃらでした。
一から造ることの楽しさと大変さ、次から次へと現れる壁に皆で知恵を絞ってトライする日々はドラマティックでやりがいがありました。
結婚もし、仕事に新しい家庭にと充実していたのですが、ある日ふとしたことがきっかけで溜まっていたものが溢れ出してしまい、心がポキッと折れてしまいました。
会社に行けなくなってしまったのです。
お世話になった会社を逃げるように退職しました。
「ただ人の役に立ちたい」だけじゃダメなんだなと気が付いた出来事でした。

ワイン仲間との出会い

平日の真昼間だというのに私はパジャマで布団の中。ここで何をやってるんだろうと布団の中で泣きました。

一生懸命頑張ってきたけれど私はもうだめだ。
急に居場所が無くなってしまったような恐怖に襲われました。

そんな時でした。夫が「ワインが好きなんだからワインの勉強してみたら?気分転換になるんじゃない?」と言ってれたのです。家以外行く場所のなかった私は「ワイン 講座」と検索して一番上に表示されたワインスクールに行くことにしました。

以前からワインは大好きでよく飲んでいたので学びは楽しかったのですが、何より「家の外に行っていい場所がある」という事に救われました。
もちろん私を心配してくれる家族や友人の傍にいるのは居心地が良い。
けれど新しい空気を感じたかったし家の外に出られる自分でありたかったのです。

ワインを学んでいる時間も仲間たちとお喋りする時間もただただ楽しくて、毎週のように夢中で講座に通いました。
ふと、何故こんなにもくつろげて楽しいのかなと考えた時、
誰も私を「心が折れた可哀想な人」という目で見ていないこと、
ただ「このワイン、美味しいね」と笑い合えるだけでいいこと、
そこから会話が広がることが楽しいのだと気づきました。
また同時に、これまで自分の居場所は家庭と会社しかなかったこと、世界の全てを失ったと思っていたけれど、その失われたかに見えた世界は実はすごく限られたものだったのではないかとも思いました。

当然のように仲間と一緒にワインエキスパート試験を受験していました。

IT企業への転職

ワイン講座の受講で心に栄養が戻ってきた私は元の会社への未練を捨て転職することに。
どうせなら大胆に人生を変えようと決めIT企業へ行くことにしました。
この転職は想像した以上に私に大きな変革をもたらしました。
今までは勤務時間はもちろん髪の色もスーツの色も決められた世界にいたのに、転職先では服装自由、勤務時間も自由、仕事中はバランスボールに座って仕事しながら腹筋を鍛えるというツワモノまで。
「ルールはいらない、年齢も関係ない、成果を出せ」という世界です。
ルールも無ければ引継ぎ資料もない中、一人で見よう見まねで企業とのプロモーションを企画して社長と二人で営業。
ちんぷんかんぷんで社長には毎日のように怒鳴られ戸惑いました。正直、この転職失敗したかな、と思いました。
でも不思議と辞めようとまでは思いませんでした。社長は怖かったけどワケが分からないまま去るのは腹落ちしなかったのだと思います。
全身が痺れるほど怒鳴ってきて、オタクで、ハーフパンツで一流企業に打ち合わせにやってくるこの社長の下で仕事ができたのは、今振り返るととても良い経験だったなと思います。
怖そうに見えて優しくもあるこの方とはワイン好きという点で共通点もあり、ワインエキスパートのテイスティング試験の前には私をけなしながらも特訓してくれました。
この初めて出会うタイプの上司の下で、働くということは、最初から最後まで自分の頭で考えて事を成すことで、そこに余計なルールはいらず、最短距離で行くのみだということを学びました。
そして気が付けば社長を怒鳴り返せるぐらいまでに図太くなっていました(笑)

法務の仕事

育休からの復帰後は娘が体が弱かったこともあり、法務に配置してもらえることに。
ここでようやく大学時代に学んだ法律の知識を活かせるようになり、小躍りして喜びました。
弁護士さんとの打ち合わせややりとり、学生時代に辿りつきたかった夢の世界の近くにいる。穏やかに、でも時には強さを持って、大事に丁寧に自分の仕事を全うしようと思いました。

でもここでふと何かモヤモヤしたものが心をよぎりました。
それはキラキラと輝く若い社員たちでした。
家事や育児に縛られず際限なく自由に頑張って青春を謳歌している彼らを横目に私は時短で17:00きっかりに会社を飛び出していかねばならない生活。当たり前で仕方のない事とはいえ、20代の頃の自分が見たらガッカリされそうな気がして、私はこのままでいいのか?と働くという事についてまた考え始めました。

やろうと思ったことを全部やってみた。

そうこうしているうちに第二子となる長男が生まれ、2回目の育休がやってきました。
2人の育児に追われながらもモヤモヤは心の中から消えず、働くという事が自分にとって何なのかを見つけるためにも「育休中はやろうと思ったことを全部やってみる」と自分に約束しました。
そこでようやくワイン講座を始めることにしたのです。イベント出店に応募したり、誘われて面白そうだと思ったことは全てやってみました。
特に夏~秋にかけては育児に仕事に息つく暇もなく、秋ごろには黒々と日焼けし筋骨隆々(腕のみ)になってしまいました。
それも良い思い出です(笑)。やってみなければ出会えなかったであろうご縁にも恵まれました。

この育休中の経験を通して、働くという事は、自分の人生を生きるという事で、私にとって本質的には職業が何かという事が問題なのではない。生き方なのだ。というところに辿り着きました。

フリーランスになって

骨の髄から安定志向で保守的なこの私がまさかフリーランスになったとは自分でもいまだに驚きます。
でも保守的だからこそ、自分の人生と家族の心と体の安寧を守りたいからこそ、私は変わる必要がありました。それが今回の選択になりました。
フリーランスという立場だけで見ると不安定そのものですが、いま心は安定しています。これから先どうなるか誰にも分かりません。不安は尽きませんがそれが生きているという事なのではないかと思います。
その不安も私の仕事の一部としてまるごと受け入れて、ついでに思いきり楽しんでいきたいなと思っています。

最後に

ここまで長々と書いたものをお読みくださりありがとうございます。
もともと自分の考えを発表することが得意ではない私ではありますが、今のこの気持ちを忘れないよう文章にしてみました。

働くことは、人の役に立つこと。
自分事として最初から最後まで考えて事を成すこと。
もっと言うと、自分の人生を生きるということ。

仕事大好き人間みたいな内容になってしまいましたが、
豊かな生活を送るため、余暇を楽しむためにも働くのであり、オンオフのけじめはつけて家族や友人との時間も大切にしていくつもりです。

これからどうぞよろしくお願いいたします。



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