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【解読する #2】UIデザイン必携 ユーザーインターフェースの設計と改善を成功させるために / 原田 秀司(著)

Web制作会社のUIデザイナーです。
「UIデザイン必携 ユーザーインターフェースの設計と改善を成功させるために」を読了しました。アウトプットとして、本書で重要に感じた箇所をこの記事を通じて共有したいと思います。

本書は原田秀司氏により執筆され、UIデザインの初学者から経験者まで、あらゆるレベルのデザイナーに対して有益な情報を提供しています。デザインの設計、改善、そして成功への道筋を示すためのハンドブックとも言える内容となっています。

UIとUXの基礎理解

「UIデザイン必携」は、「UIとは何か、UXとは何か」から始まり、デザインの基本原理を説明することで読者をデザインの世界へと導きます。UI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)の違いを理解することは、UIという世界に身を置くことにおいて不可欠です。その上で、原田氏はデザインが見た目だけでなく、課題解決のための設計そのものであると述べています。これはアートとデザインの明確な差別化であり、デザインの本質を深く理解するうえで重要な視点と言えるでしょう。

使いやすさを重視したUIデザイン

本書はUIデザインを「使いやすさ」の設計と位置づけ、ユーザーがサービスをスムーズに利用できることを最優先に考えます。その基本から出発し、具体的に意識しなければならない要素として、画面の形状、入力手段、そしてWebサイトとアプリの環境の違いなど、使いやすいデザインを制作するための知識を深めていきます。さらに、人間の認知特性に基づく色、形、動きなどの知識が、実際のUI設計にどのように適用されるべきか、具体的な根拠と共に詳細に解説されています。

ウェブサイトとアプリの違いとコンテンツの表示方法

面白いなと感じたのは、Webサイトとアプリの違いについての部分です。Webとアプリはそれぞれ特有の制約と特性を持ち、ユーザーがどのような行動をするのか、またユーザーがどのような体験を期待しているのかについての深い洞察が示されています。これまでアプリの制作に携わったことはなかったので、この辺りでは特に新たな知見を得られました。

スクロールとページングの比較も興味深く、コンテンツによって適切な表示方法が変わることを認識することができました。これらは私たちが普段何気なく使っているものが、実はデザイナーによって細心の注意を払って設計されていることを改めて認識させてくれました。

インタラクションコストとその最小化

本書の後半では、「インタラクションコスト」という重要な概念が紹介されます。これはユーザーの認知負荷と身体的負荷を組み合わせたもので、良いインターフェイス設計はこのインタラクションコストを最小限に抑えることを目指すべきと述べられています。ユーザーが「ボタンの存在を認識し、それを押すためにどれだけのエネルギーを使用するか」は、UIデザインの成功に直結する重要な要素とも言えます。

これらの負荷を最小化するための方法として、一貫性、シンプルさ、共通概念の三つのエッセンスが提案されています。

総評

「UIデザイン必携」はUIデザインについての基礎から応用までを広範に扱い、非常に体系的で有益な情報を提供している一冊です。初めてデザインに携わる人から、経験豊富なデザイナーが基本に立ち返って知識を再整理するためにも最適な内容となっています。整理された知識と理論は、何度でも読み返す価値があります。UIデザインに関わる全ての人にとって、本書はまさに「必携」の一冊と言えるでしょう。

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