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考えるノート

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講演会や読書の記録。 人権や社会問題、歴史などの個人的気づきのメモ。
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記事一覧

やさしい空間:「対話」の可能性を凡人が考えてみた

※この記事には、『プリズン・サークル』(坂上香:岩波書店)のネタバレが含まれます こんにちは。私は、富岡美代子という凡人です。 凡人なりに思うところがあり、「人間は、対話によって、どこまでわかりあうことができるのだろう…」ということを、とりとめもなく考える日々を送っています。 「自分の加害性に自覚的になること」の大切さと困難今朝は、自分が共催する読書会の課題図書『プリズン・サークル』(坂上香:岩波書店)を片手に、自分のアカウントで、下記のような気づきをツイートしてみました

『プリズン・サークル』を読んで感じたこと(上)

※この記事には、本のネタバレを含む内容が書き連ねてあります 書籍情報:『プリズン・サークル』『プリズン・サークル』坂上香(岩波書店) 私と、『プリズン・サークル』(上)出会いは偶然 私と『プリズン・サークル』の出会いは、ふと、SNSのタイムラインに上がってきた、ミニシアターの広告(映画『プリズン・サークル』)がきっかけだ。 私は、それまで、坂上香監督の名を知らなかった。ミニシアターという未知の空間、そこで映し出される舞台「刑務所」という非日常感が気になって、ふらりと電車

私にとっての故人の偲びかた

我が富岡家は、両親の「死者に遣う金はない」という方針により、墓参りをしないし、仏壇もない家だ。親族の命日さえ、相続が終わってしまえば忘れてしまう、そんな家だ。 その背景には家族の確執の歴史があるのだが、一般的には故人に対して冷酷に見える家だといえるだろう。 そんな家で育ったので、故人を偲ぶことが私は苦手だ。 私の中から、故人の思い出はどんどん消えていく。今日は、忘れたくない故人との思い出をここに残しておこうと思う。 私の「推し」が死んだフィクションの作品の、一番好きな登場

#withyellowの課題と今後に望むこと - 一個人の目線から

はじめに本記事は、前記事「和装女子目線で振り返る#withyellowイベント」で、文章量の都合上削った内容になります。 この記事が広く読まれて、皆さまの議論の叩き台となることを望みます。 「抑止力」としての #withyellow 運動今回、良くも悪くも #withyellow 運動が特に注目されていたのは、痴漢防止キャンペーンにありがちな「被害者の自衛を促す」パターンではなく、「抑止力」を伴った、つまり、「そもそも痴漢をさせない空気をつくる」運動だったことが影響している

和装女子目線で#withyellowイベントを振り返る

#withyellow 運動とはキュカさまの、このnoteが分かり易く的確なので、キュカさまにご許可をいただいたうえでシェアさせていただきます。 要するに、「黄色のものを身につけて、加害者が加害しづらい空気をつくろう。もし、被害に遭われた方がいたら、見て見ぬ振りをせず、助けよう」という趣旨の運動です。 私のイベント参加のきっかけ#withyellow 運動とキュカさま開発のアプリ「痴漢レーダー」のことは、2020年1月11日に参加したフラワーデモのツイートをエゴサーチをし

予告編:『プリズン・サークル』を観てくるよ!

今度、『プリズン・サークル』という映画を観てくることにしました映画を知るきっかけになったのは、ハフポストさんのこちらの記事。 ハフィントンポスト日本版 罪を犯した人は「変われる」のか? 刑務所を撮影したドキュメンタリー映画『プリズン・サークル』に込められた思い 私は、罪を犯した人は殺したいほど憎いと思う人間ですが、日本の死刑制度には疑問を持っています。 (疑問)「人は、人を殺す権利を持っているのか?」「殺人罪」という罪があります。人は、人を殺してはならないという倫理観か

フェアトレードや福祉的雇用について消費者として思うこと

私が、個人的に「この方とのご縁を大切にしたい」と思う方には、私の財布の許す限り良いものを贈ることにしています。 ここで言う「良いもの」とは、商品の生産者にとって良いもの、つまりフェアトレードで取引されたものだったりします。 その方だけを大事にするのではなく、その過程も大事にしたいという意識の表れです。 フェアトレードにこだわっているというと煙たがれることもあるのですが、結構苦労して店舗を探して入手していますので、プレゼントされた方は「それだけ私は大事にされてるんだ

2019年の抱負を漢字一文字で

というお題を所属先からいただき、短いスピーチをすることになりました。 私が選んだ漢字はこちら。 「好」です。 これには、大きく3つの意味を込めています。 ひとつは、好きなことを、好きな人達と、好きなだけやりたい、ということ。 囲碁・読書コミュニティに加えて、今年は競技かるたのコミュニティからもお誘いをいただき、教わっています。 私の腕前としては、下手の横好きもいいところなのですが、私はここで過ごす時間が大好きです。今後もこの大好きな時間を維持していきたい、という願いがこ

「居場所」という新しい可能性について

この記事は、とある女子学生向けに書いている。 できるだけ、「死にたい」とか「人生つらい」って思ってる人の心にも響く記事にしたいと思っているけれど、私個人が見聞きした、ごく一部の地域での話なので、人によっては夢物語に感じるかもしれない。 それでも、可能性を感じてくれたら嬉しい。 まず、「お前、誰だよ?」ってみんな思ってるだろうから、自己紹介から始めよう。 私は、かつて中学・高校生の福祉的・教育的支援をしていた28歳だ。かつての職場は生活が苦しい家庭を主な支援対象をしていた。

書籍・映像作品で振り返る2018年---個人的ベストヒット

※私が今年見聞きした作品なので、すべてが新作というわけではありません。 (小説) 『桜風堂ものがたり』村山早紀 『すべてがFになる』森博嗣 『虐殺器官』伊藤計劃 『モモ』ミヒャエル・エンデ (新書) 『タロットの秘密』鏡リュウジ 『おとなになるってどんなこと?』吉本ばなな 『ものがたり宗教史』浅野典夫 (その他文芸) 『面白くて眠れなくなる植物学』稲垣栄洋 『はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内』野矢茂樹 『谷川俊太郎質問箱』谷川俊太郎 (

ハンドメイド作家に対する値切りについて思うこと

私はハンドメイド作家さんの作品が好きだ。 しばしば、デザインフェスタに足を運ぶし、大手ハンドメイド通販サイトで買い物をする。 ハンドメイド作家さん達の手仕事歴は人それぞれだ。 明らかにプロだろうという人が遊びで出店していることもあれば、素人が勉強と努力を重ねてアマチュア級に成長してきたのだろうという人もいる。 私も人である以上、「好みのものが欲しいな」とか「見た目が綺麗なものがいいな」という願望がないわけではない。経験上、仕上がりの綺麗さは値段に比例するように思う。 が、

ジェンダー問題に関するイベントでの私の気づき

今回のnoteの趣旨は、ジェンダーに関するトークイベントでの私の気づきを公開することによって、読み手のあなたにジェンダーの問題を「自分ごと」として捉えてもらうことだ。 前もって、いわゆる「性的少数者」と呼ばれている方々にお詫びしなければならないことがある。 この記事では、私の気づき(恥を含む)をより顕著に晒すため、敢えてトークイベントでの時系列順に気づきを書いている。つまり、異性愛文化主義で育った人の「普通」に基づいて大部分を記述している。 そのため、一部文中で配慮のない言