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「感動」のSTAR(スター)分析:後編

こんにちは、“映画おばけ” です。

企業様の広告コミュニケーションや、
プロモーションを企画したり、
サポートするお仕事をさせて頂いてます。

今回のnoteも、前回に引き続き、
感動の構成要素を整理するフレームワーク
「感動のSTAR(スター)分析」について。

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『感動のメカニズム 心を動かす Work&Lifeのつくり方』
前野隆司 著 (講談社現代新書)より引用

前編では、フレームワークの前提となる、
「経験経済」「経験価値マーケティング」について触れました。

後編となる今回は、
いよいよこのSTAR(スター)分析によって、
「感動」は、どのように整理・分析できるのか。

著書を咀嚼するつもりで、備忘録したいと思います。

改めて「感動のSTAR(スター)分析」とは

分析の大元になるのは、
経済学者バーンド・H. シュミットが提唱する、
「経験価値モジュール」という概念です。

消費者の5大経験価値:経験価値モジュール
①SENCE :五感で感じた価値
②FEEL  :感情の高ぶりとして感じた価値
③THINK  :知見の拡大として感じた価値
④ACT   :体験の拡大として感じた価値
⑤RELATE  :関係性の拡大として感じた価値

感動研究を行う前野氏は、これら経験価値のうち、

SENCE」「THINK」「ACT」「RELATE」の、
4つの経験事象の結果「FEEL(感情の高ぶり)」、
すなわち感動に至ると、それぞれの関係性を整理しました。

そして、感動を呼び起こすこれら「4つの経験事象」のイニシャルを取って、「感動のSTAR(スター)分析」を提唱しています。

★感動のSTAR(スター)分析
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1.SENCE
=五感の拡張に由来する感動

【感動を獲得する対象】
 美、音、味、
匂い、触り心地、心地よさ
(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚等の刺激)

【形容される表現】
きれい、おいしい、気持ちいい
いい匂い、すっきり、さっぱり

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2.THINK
=知見の拡張に由来する、感動

【感動を獲得する対象】
理解、納得、
発見、圧倒、啓蒙

【形容される表現】
わかった、そうなんだ、なるほど、知らなかった
ふむふむ、すごい、へぇー、めずらしい、おもしろい

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3.ACT
体験(経験)の拡張に由来する、感動

【感動獲得の対象】
努力、上達、進歩、達成、勝利
特別-優待感、遭遇、幸運、
期待、緊張
緊張と緩和)

【形容される表現】
できた、やった、よっしゃ、よかった、すごい
ドキドキ、ハラハラ、ワクワク
おかしいw、ウケるw、なんでw、んなアホなw

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4.RELATE
=「関係性の拡張に由来する、感動」

【感動獲得の対象】
愛、絆、繋がり、優しさ、愛着、
共感、一体感、感謝、承認、尊敬

【形容される表現】
好き、ありがとう、どういたしまして、
私も、うんうん、だよね、えっへん、どや、
良かったね、おめでとう

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これが前野氏によるフレームワーク、
STAR(スター)分析です。

4つの経験事象毎に、
感動の獲得パターンが整理されています。

ジャンプは、普遍(構造)的な感動コンテンツ

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創刊から50年以上の長きに渡って、今なお日本のコミックエンターテイメントのシーンを牽引し続ける、週間少年ジャンプ。

ジャンプの3大テーマと言えば、
「友情」「努力」「勝利」です。

たとえば同誌を、STAR(スター)分析を用いて
スクリーニングしてみると。

「友情」は、
「関係性の拡張に由来する、感動」に、

「努力」「勝利」は、
「体験(経験)の拡張に由来する、感動」に、
それぞれ該当します。

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同誌から生まれるコンテンツが、いつ・どの時代でも、一定またはそれ以上の「価値」を提供し、読者の「満足」を獲得し続けているのは何故か。

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それは、この「3大テーマ」が、普遍的(構造的)な感動コンテンツを生成する為の編集・ブランド装置として、錆びつくことなく、絶えず機能し続けているからではないでしょうか。

明確な編集テーマを持つ週間少年ジャンプは、
とてもわかりやすい事例として、
引き合いに出させて頂きましたが、

この感動のSTAR(スター)分析が有用なところは、様々な企業・ブランド・商品に、スクリーニングとして用いることで、

消費者との間に、どのような感動獲得傾向や感動獲得チャンスがあるのか、推定・整理するきっかけとして、活用できる点です。

STAR(スター)分析の、企画作業への応用

感動という抽象的な事象の推定・整理に役立つ、
STAR(スター)分析。

私自身、コミュニケーション・プロモーションの企画を行う人間として、とりわけ映画や音楽、漫画やアニメといった、エンタメ商材に関わることが多い身の上です。

エンタメ体験にまつわる「面白い」を科学し、それを自身の企画のノウハウにフィードバックして、体系的に整理をしたいなあと、色々な先行研究を調べる中で、本書からは、とても沢山の刺激を頂きました。

著書の中では、このnoteで紹介したSTAR(スター)分析の他にも、

“文章”という切り口で、「感動を与える文中」には、
「人生」「人々」「幸福」「友情」「青春」「恋愛」
といった特定の単語が多く出現するとゆう研究
スポーツ観戦とゆう切り口で、「感動場面」は、
1.共鳴・一体感場面
2.スタジアムライブ観戦場面
3.ドラマ的展開場面
4.卓越したプレー場面
5.劣勢からの活躍場面
6.懸命な姿場面
7.ヒューマニティ場面
8.付加的要素場面

計 8つの因子で、分析・分類できるとゆう研究

〜等、とても興味深い研究事例が、多数紹介されていました。

これら感動研究のフレームワークもお借りしつつ、コミュニケーション・プロモーション領域に関わる、私自身の企画作業のフレームワークも、追ってこのnoteでは整理・体系化していこうと考えています。

この度は、とても良き本に出会うことができました。
本日は、ここまで。


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