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星のように離れて雨のように散った 島本理生

島本理生さんの『星のように離れて雨のように散った』を読了したので、感想文を記述させていただきます。

はじめに

今現在他に読んでいる作品の中で、『されどわれらが日々』があります。『星のように離れて雨のように散った』の中で、『されどわれらが日々』が話題に挙がっており、「今、自分も読んでいる作品!!!」と主人公に伝えたくなりました。それに加え、明記されてはいないのですが、主人公の原さんと、その友達である売野さんが宿泊するホテルはおそらく「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」だと思います。このホテル大好きで、東京在住にも関わらず数回宿泊させていただきました。そんな大好きなホテルのことも話題に挙がっており、島本さんの本作、お気に入りになりました…!

印象に残った箇所

奥のソファー席で向かい合うと、篠田君があっさりマスクを外した。それを確認してから私も外した。

最近は、マスク着用が懐かしく感じられるほどになりました。数十年後この小説を読む若い人たちは、マスク着用がこんなにも強制されていたのかと気付きを得るかもしれないですね。小説を読むことで、昔の暮らしや日々の生活の様子を知るきっかけにもなるのだと気付くことができました。

一緒には暮らしたいけど結婚したくない人もおるし、結婚はしたいけど一緒に暮らしたくない人もおるし、その両方いらなくても愛はある人だって、きっと、おるやん?そういうの話し合って少しずつすり合わせて、初めて理解し合えるものじゃない?結婚しよう、だからそのために一緒に暮らそう、前から決めてました。そんなふうに言われたら、原さん、イエスかノーしかないやん。達成すべき目的定めてからそれに従って動くって、受験勉強や仕事だったら正しくても、二人で生きることとはちょっとちゃうかなあって私は感じた

「結婚=一緒に暮らす」が無意識のうちにそれが正しいこととして頭の中にあるから、「結婚しよう、だからそのために一緒に暮らそう」という考えになるのかな…。「結婚しても一緒に暮らしたくない人もいる」、確かに…。色々な生き方、暮らし方、それぞれみんな思っていることや考えていることがあるからこそ、人と対話することって大切なんだろうな。話し合いをなくしてしまえば、自分の勝手な価値観を押し付けてしまうことに繋がるかもしれない。

嫌いな自分にフタして、好きな相手の言葉や価値観だけで自分の中をいっぱいにしたら、そのときは甘い気持ちでいられるかもしれないけど、相手のほうは逆にどんどん原さんが見えなくなるよ。原さん自身だって

相手に良いように思われたいという承認欲求が原因なのか、相手の求める行動や価値観で自分の人生を生きてきた気がする。そうした人生を歩んできたせいか、「本当の自分」ってなんなんだろう…、「自分の意見」は本音なのか、それとも相手に合わせて言葉を伝えているのかどっちなんだろう…って最近考えてしまう。

おわりに

本作を読んで、結婚制度や本当の自分ということについて考える契機となりました。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』と宗教、父と娘というテーマが話題として挙がっており、スラスラ読めるエンタメ小説というよりは、考えながら読む作品だと感じました。読んでいて小難しいと感じるところもありましたが、数年先に読み返したいと思える作品です。

読んでいただきありがとうございました!




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