たまに読書

若い頃、読書の習慣が無かった。そんな私にもたまに本を読みたくなるときがある。当時本も取り扱う某中古品のお店でバイトをしていた。ある日のこと「せっかく本に囲まれて仕事してるのに、何も読まないのはもったいない!たまにはちゃんと本を読んでみよう!」と使命感にも似た衝動に駆られ買う。ただの衝動買いである。

読書すると言っても、目的が「何かしらの本を読む」なので、とりあえず読みやすそうな小説を選んでいた。仕事している手前、本のタイトルや作家の名前はそれなりに知ってはいるが、あらすじまでは知らなかったので、とにかくタイトルと帯で少しだけ情報を掴んで買うしかない。調べたり、買う前に表紙裏のあらすじを見るのも良いようなものだが、先行であらすじを知るのは野暮な気がしたので買ってからのお楽しみということにした。

帯には「○○賞受賞」とか有名人の感想が書いてあったりと様々だ。そんな中あれこれ吟味して本を選ぶ。そしてようやく選んだ本。ワクワクしながら読んでみると恋愛小説。本を読みたい衝動で買った本はなぜかすべてが恋愛小説。

その頃私は恋愛に興味もなく、結婚願望も無ければ、彼女いない歴=年齢だったので、恋愛小説を読むことは自分にとって真逆ということになる。何回も続くので「またかよ…」と思いながら読み進めていくことになる。せっかく買ったのに読まないわけにもいかないので、最後まで読むわけなのだが…

にしても何だろうこの不思議な現象…もしかして恋したいのかな?朝の番組の占いコーナーで恋愛運気にしちゃおうかな…と思うようになってしまった。何やかんや言っても、実際に読んでみると、その描写が鮮明に想像できたり、文章を読みながらドキドキしてしまったり、鳥肌が立ったりと感情を揺さぶられてしまい、ついには興奮して感嘆の声を上げることもしばしばあったので、しっかり楽しんでいたのだと思う。

ある時を境に小説を読まなくなってしまったが、感情を揺さぶられるあの感覚はまた味わいたいと思う。でも、また選んだ本が恋愛ものだったらどうしよう…40のおっさんが恋愛小説読んでキュンキュンするとかどうなんだろう。

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