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Note書いてみるか、という気分になりました。

断片的では使えない読書

 大学1年生の秋学期が終わり、春休みがやってきた。学期中はゼミの活動や、会社を立ち上げるなど、ほんとうに忙しない毎日だった。自分の時間はあまり取れた記憶はないのだが、読書だけは継続していた。何か特定の分野について詳しく深ぼったり、目的や問いを定めて探求していたわけではなく、ただ雑多に、断片的に気になった本をだらだらという読み方をしていた。出てきた内容に共感(たしかに!)や疑問(なんでだ?)を軽く感じて楽しんでいた。
 しかし、読書を通して、体系的な知識や、それに沿った自分の主義主張を形成していかないと、乗り越えられない壁があることが最近見えてきた。研究や会社、その他の活動でも煮詰めていくと、新たに自分でロジックを組んだり、思考実験して概念を作り込んでいくことが要請される。その際に、断片的な知識ではまったく太刀打ちすることができず、低いクオリティーにとどまってしまう。論文の執筆や、プロジェクト・マネジメントを通して、自分の不足感、特に思考を構築する面での弱さが身に染みた。「趣味」としての読書であれば良いのだろうが、「仕事(研究)」として進めていくのでは不十分であったのだ。この気づきを通して、これからの読書は、体系的・構築的な読み進め方へと、シフトチェンジする必要がある。
 そして、この「仕事(研究)」としての読み方において、アウトプット、つまり文章を書いていくことが大切である。批評家、福嶋亮大の著作『思考の庭のつくり方』でも、書くことと構築することの関係を述べている。

書く側になったときは、是が非でもリニアな構築が要求されます。書く側がきっちりストーリーやコンセプトを設定し、テクストを組み立てるからこそ、読者が側はそれを道具箱として自由に使えるわけです。(・・・)書き手には「構築する力」が絶対に必要です。

福嶋亮大『思考の庭のつくり方』37p

このように書くことでは、「構築」することが中心となり、新しい本との関わり方が示唆されている。「構築」する読書のためにも、書くことに向き合わなければならないと確信した。これがNoteを書き始めた動機のひとつである。

書くことで、伝わるし、浸れる。

 Noteを書き始めるのには、「構築」に加え、もうひとつの理由がある。それは、この10代という時期だからこそ、改めて「伝える」「残す」という行為にこだわりたいというものだ。序盤にも述べたが、今の大学生活は自分を整えていくには、あまりに刺激的で、変動的である。毎日別のタスクに取り組み、新しいひとと出会い続ける。そのような日々では、自分の認識が変わるがわる更新されてゆく。それはそれで楽しい毎日ではあるのだが、自分の変容が早すぎることで、周囲からの自分のイメージや、自身の自己認識も定まらなくなってしまった。その結果、周りには何がしたいのか伝わらず、僕自身も、自分が何が好きで何がしたいのかわからなくなってしまうことが増えた。このような状況だからこそ、自分の考えにじっくり浸り、残し、知って欲しい自分を形づけることが肝要であると気づいたのだ。グラついた地面を歩んでいては、何も残らない空虚な道にしか進めない。そこで、書くことによって、自分の外側も、内側も、明確な形として残し、届けたいと思ったのだ。

これから書きたいと思うもの

 これからのNoteに何を綴るか、これは僕自身何も予想できないのだが、一つはしっかり過去を振り返り直すこと、もう一つは現在進行形で大切だと思ってることを目的に綴っていきたいと思っている。
 過去を振り返るのは、以前の自分の考えや行為に対する「解釈」をアップデートしたいという気持ちが大きい。現在も会社のビジョンを作ったり、研究テーマを定めたりする際に、やっぱり自分の過去の経験が指針となる。どこかまちづくり的な視点で、学びづくり的な視点で、経営的な関心でモノゴトを切り取ってしまう。だからこそ、今の認識で過去を振り返り、過去の解釈を広げることで、将来関わる世界をもっと新しく面白い切り取ることができるようになる気がするのだ。
 一方、今大切だと思うことを書き残すのは、別の動機を持つ。当然として、自分が何に興味をもって、何に取り組んでいるのかをちゃんと認識させたい/したいという気持ちもあるのだが、1番の理由は、現在の感性を書き残すことで、読み返したときに新たな気づきを生むと思っているからだ。大学時代は正直受け止めることよりも、出会うことの方が多い。一つひとつを受け止めすぎると、逆に自分の興味を狭めてしまう可能性すらある。だからこそ、いま出会った出来事を一旦書き残しておくことで、歳を重ねたときに新たな発見できるような準備をしたいのだ。
 このような意図で、Noteを通して、自分の経験や想いをゆくる束ねた形で発信していきたい。ふとしたときに読み返してくれるとありがたいと思う。

参考文献
・福嶋亮大『思考の庭のつくり方』 星海社 2022年


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