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あたしを作るものたち8

あたしは映画が好きだ。
だいたい毎月1回以上は映画館に行く。
下らないコメディから息を飲むようなサスペンスまで、気になるものなら洋画邦画と関わらずに観る。
その中でやっぱりとても記憶に残るものと、そうでないものがあって、記憶に残る映画は1度2度観ただけでもよく覚えている。
『ベンジャミン・バトン』もそんな映画だった。

この映画を誰と観に行ったのかも覚えていないし、ちゃんと観たのは1回きりだったように思う。
でも多分、この映画の事は忘れない。
それくらいなんというか、グッと来た。

内容を見なくても「80歳で生まれ、若返っていく男の物語」というコピーを見ればわかるように、所謂わかりやすいハッピーエンドの物語ではない。
皆と違う時間の進み方で生きていく人が人と同じように生きられるわけはないし、普通とされるような幸せを手に入れられる訳ではない。
わかっていても涙が我慢できなかった。

それは多分、この「老人として生まれて若返る」というのに人と同じように上手くできない自分を重ねたのもあったと思う。
人と同じようにはできないけど、精一杯の幸せを掴もうとして諦める悲しさがとても響いた。
どれだけ近くても、気持ちが向かい合ってても、上手く行かないことはある。
そう言い聞かされているように思ったし、それでも最期に愛している人の腕の中で死ぬことができた主人公がたまらなく羨ましかった。

どこをどうとっても、完全なハッピーエンドではない。
でも、たぶんメリーバッドエンドなんだと思う。
だからあたしの胸にはとても響いたし、忘れられない映画になっている。

だから、これもあたしの一部。

おわり。

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