【小説】カセットテープなカフェバー【6】
翌日、朝から忙しかったカフェも、ようやく落ち着き出した午後2時過ぎ。
私はオーディオ機器の電源を入れ、来るべきその時刻を待つことにした。
30分ほどが経ち機器が暖まり出した頃、扉が開いた。
「いらっしゃい。ちょっと早すぎないか?仕事はどうしたんだ?」
オレンジのダッフルコートに、黒のミモレ丈フレアスカート姿の優子だった。
「だって、お店に着いたらテープチェックが終わってた、なんて事になったらイヤだもん。だから、午後からお休み貰って来たの」
そう言って、小さく舌を出して笑った。