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大晦日タイムアタック(副題:2022年に摂取した本を振り返る)。

 RTGです。いつも大変お世話になっております。

 本当は年末までに掌編小説の一本でも書きたかったのですが無理でした。無能。
 しょうがねえから今年読んだ本でも振り返ってお茶を濁そうと思いきや、そこでも問題発生。徹夜で書いても終わんねえ。5000字でまだ半分。いい加減にしろ。
 
note3年近くやってて未だにペース配分掴めてないとかお前……ホントお前……。

 そういう訳で、実はこの記事リテイクです。みっちり語っていたら年内投稿に間に合わないのでザッといきます。
 それじゃ2022年の大晦日、19時16分の只今から書き始めます。よーいスタート。




小説

 今年は全然小説読めてなかったですね。たぶん例年の半分にも満たない。実質半年(1月から6月まで)しか読んでいない以上当然ですが。
 しかもほぼ二名の作家しか読んでない。ジェイムズ・エルロイ藤沢周平。普段は作家やジャンル問わず色々読む人間ですが、こんだけ未読の作家を決め打ちしたのは生まれて初めてかもしんない。
 それじゃまずはジェイムズ・エルロイから。正確には氏の代表シリーズ、『暗黒のL.A四部作』。


ブラック・ダリア/ジェイムズ・エルロイ


ビッグ・ノーウェア(上下巻)/ジェイムズ・エルロイ


LAコンフィデンシャル(上下巻)/ジェイムズ・エルロイ


ホワイト・ジャズ/ジェイムズ・エルロイ

 ノワール(暗黒/犯罪小説)の金字塔シリーズ。後述する”ダイナー”と同じく、摩撫甲介さんの影響で読み始めました。 

 いやー面白かったですねえ。ノワールは大昔(小学生とかの頃)にいくつか読んでそれきりだったんですが、久々に読むと超面白い。と言うかノワールどうこうでなくエルロイが面白い。人間の狂気や妄執、そして30年~50年代アメリカの犯罪史への執着が半端じゃなく濃い。縦の糸は複雑に錯綜しまくる凶悪犯罪の数々、横の糸はイカれた登場人物たち。極めて緻密で濃厚なクライムサーガでした。これを一人の人間が書きあげている事に震撼する。

 冒頭で述べた、一晩かけて5000字書いても終わんなかった書評はまさにこいつらの事です。いつもの調子でみっちりねっちり語るには正直濃すぎる内容でした。完全にミスチョイス。いつもの調子で書いた初稿は、いずれ独立した別記事として上げる予定です。


ダイナー/平山夢明

 殺し屋限定の会員制食堂ダイナーを舞台にした無国籍ノワール。これも摩撫甲介さんの影響から。

 怪作にして大傑作。これ1冊で3冊~5冊分の小説を読み終えたレベルの満足感が味わえる。
 プロローグが酸鼻極まるゴア描写のオンパレードなので、耐性がない人にはかなりハードルが高いです。自分も映画”SAW”シリーズが怖くて見れないくらいゴア耐性が低い人間ですので、そこは正直キツかった。それでも平山作品の中ではゴア描写が軽い方だと思うんですよね。恐ろしい。
 
 でも、ゴアが苦手な事を差し引いても超面白かった。物語の9割以上がダイナーの中で繰り広げられる密室劇でありながら、閉塞感が全くない。
 倫理観が欠けに欠けまくったクレイジーな世界観、ネーミングもキャラも超イカしてる登場人物、危機また危機の展開、そして死ぬほど美味そうな料理の数々。どれか一つでも普通に一本の小説になりそうなネタを3つも4つも5つもぶち込んでる。複数冊の小説を読み終えたような満足感の要因はたぶんそこら辺にあるんじゃないかと。

 勝手ながら、今年の摩撫さんの逆噴射小説大賞応募作を上に貼らせていただきました。
 直接的な暴力描写はないものの、倫理観が完全に欠如したヤバい世界である事はビンビン伝わってくるんですよね。あとキャラのネーミングも独特。胡散臭くて怪しくて、だけどそこがカッコ良い。重厚さと暴力のにおいを撒き散らすタイトルも最高。
 予備知識がなくても十分面白いんですが、”ダイナー”を読了した後だとどこか似たような空気が伝わってきて更に面白い。あーなるほど、これが摩撫さんのルーツの一つなのかと興味深く思いながら読ませていただきました。ありがとうございます。
 こんだけ書いて「いや、この作品のルーツはそこじゃない」と言われたらどうしよう。どうもできねえけど。

 ホントはこの一冊だけでも3000字以上かけて語れる/語るべき作品ですが、時間が無いので次いきます。現在20時11分。


夜消える/藤沢周平


暗殺の年輪/藤沢周平


又蔵の火/藤沢周平


用心棒日月抄/藤沢周平

 藤沢周平一気に4つ。言うまでもなく時代劇。

 これまで時代小説を本格的に読んだ事が無かったんですよ。せいぜい山本一力と浅田次郎を数冊、あとは鬼平とか藤枝梅安のマンガを読んだ程度。嫌いじゃないけど興味をそそられるわけでもないジャンル、そんな感じ。で、ちょっと話が飛ぶんですが。
 
 自分が昨年末に書いたエッセイでいろんな人から好評を博したやつがありまして。

 これを読んだ友人に言われたのが「時代小説でありそう」という一言だったんですね。あとTwitterでも同じようなコメントを頂きました。

 へーそうなんや俺が書いてるの時代劇っぽいんや。それなら時代劇読めばそのまま時代劇書けたりしないかなー、というバカ丸出しの発想で読んでみました。藤沢周平を選んだのはTHE・時代劇的な作家と言えばこの人なんかなー程度のチョイス。

 やっぱね、いざ読んでみたら面白かったですよ時代劇。全部短編集ないし連作集なんで、どれを選んでもチャッと読める。
 物書きの勉強、特に文章の再現性という観点で言うと、最初『夜消える』を読んだとき不敬にも「これなら頑張れば書けそう」と思いました。確かに上手いし面白い、だけど全部平易な表現。これなら俺でもワンチャンいけんじゃね? と。
 で、そこから他三冊を読んでみた結果、やっぱ勘違いだった事が分かりました(残念でもないし当然)。『夜消える』が例外だったのかわかりませんが、他はどれも文章が格調高すぎる。こんなん一朝一夕で書けるようになるわけがない。やっぱ大先生は大先生なんだなあと思いました。

 その上で、収穫というか気づきを述べると。
 前から聞いていたとおり、時代劇ってファンタジー(≒何でもあり)なんだなと思いました。綿密な時代考証は必須なものの、その舞台/時代背景であり得る限りは何を書いても良いんだなと。
 それこそ今回読んだ藤沢周平なんか、ほぼ全部ノワールだったんですよ。武士が仇討ちや追手に追われて切った張っただの、博打打ちがバレたら叩き殺される局面でイカサマに及んでどうのこうのだの、やってる事が完全にノワールのそれ。舞台が江戸かアメリカかだけの違いでしかない。まさか事前に読んでたエルロイが時代劇の理解に役立つとは思わなかった。

 もっとも、その気付きが今後の創作活動に直ちに役立つかは微妙です。
 そもそも友人に評価された「お前のエッセイは時代小説っぽい」って言葉、あれ人情モノに似てるって意味でしょうし。人情モノを読むべきだったのに何でノワール読んでんだ真逆じゃないのよ。今年も引き続き時代物は読むつもりですが、もうちょっと作家を下調べしてから購読しようと思います。

 小説は以上です。次は麻雀本。現在20時48分。


麻雀本(戦術書&マンガ)

 6月からこの方色々あって、小説は全然読めてなかったです。noteも逆噴射小説大賞が始まるまではずっと放置。記事書くどころか人様の記事も読むのがしんどい有様。よくこんなんで逆噴射に参戦できたなマジで。

 じゃあその間何をしていたかと言うと、ネット麻雀してました。ひたすら。無心で。一心不乱に。ついでに麻雀を覚えたいという友人のために、麻雀の基礎を教えるnoteの非公開記事を書いてプレビュー機能で共有したりしてました。ホント何やってんだお前。

 しかも折りの良い、いや悪い事に、今年の夏にkindle媒体を購入&Kindle Unlimitedの利用を開始しまして。
 Kindle Unlimited、麻雀打ちにとっては楽園みたいなプランなんですよ。何でかって、最新の麻雀戦術書&麻雀マンガの大多数が無料で読めるから。マジで創作そっちのけでその類しか読んでなかった。それこそ狂ったように読み漁ってたんじゃなかろうかと。
 数が膨大な上にこのnoteの読者層に向いてないんで内容は割愛します。ただ、せっかく読んだモノには違いないので、せめてもの供養としてタイトルだけでも列挙します。すべてKindle Unlimited対象品です。

麻雀戦術書

麻雀1年目の教科書 (近代麻雀戦術シリーズ)/千羽黒乃
初心者からぐんぐん強くなる麻雀何切る/多井隆晴  郡道美玲
これだけで勝てる! 麻雀の基本形80/福地誠
麻雀 勝ち組の選択Ⅰ・Ⅱ/福地誠
現代麻雀 手作りと押し引きの鉄戦術/福地誠
令和版 現代麻雀 押し引きの教科書/福地誠
麻雀 傑作「何切る」300選/G・ウザク 福地誠
麻雀 定石「何切る」301選/G・ウザク 福地誠
ウザク式麻雀学習 はじめの書/G・ウザク
「統計学」のマージャン戦術 /みーにん

他多数

麻雀マンガ

むこうぶち 高レート裏麻雀列伝/天獅子悦也 安藤満
天牌/来賀友志 嶺岸信明
天牌外伝/来賀友志 嶺岸信明
麻雀放浪記/阿佐田哲也 嶺岸信明
麻雀風天伝説 鉄砲/嶺岸信明 注連木賢
紅蓮 愚連隊の神様 万寿十一伝説/嶺岸信明 安部譲二
幻に賭けろ/嶺岸信明 土井泰昭
てっぺん 卓上の獣道/来賀友志 嶺岸信明
勝負師の条件/嶺岸信明 山根泰昭
麻雀群狼記 ゴロ/来賀友志 嶺岸信明
あぶれもん 麻雀流浪記/嶺岸信明 山根泰昭
幻の麻雀牌譜 ザ・ライブ/神田たけ志
伝説の雀鬼 ショーイチ/神田たけ志 柳史一郎 桜井章一
牌賊!オカルティ/片山まさゆき
オーラ打ち言霊マンボ/片山まさゆき
ミリオンシャンテンさだめだ!!/片山まさゆき
根こそぎフランケン/押川雲太朗
ダイナマイトダンディ/押川雲太朗
麻雀小僧/押川雲太朗
Let's Go なまけもの/押川雲太朗
兎~野性の闘牌~/伊藤誠
麻雀馬鹿物語/ほんまりう
B 麻雀プロ物語/ほんまりう
3/4(よんぶんのさん)/ほんまりう
他多数

 いやマジで多いわ。kindleからコピペするのも一苦労な分量。我ながらちょっと引く。

 所詮ただの趣味なんで、創作関連にはほとんどフィードバックできていません。割とガチで無益。
 ただ、今年は一点だけ収穫がありました。

 例年12/1~12/24に渡って開催される『パルプアドベントカレンダー』。
 総勢24名+αのパルプスリンガー(パルプ小説の書き手)達が入れ代わり立ち代わり、一日につき一本パルプ小説を投稿し続ける企画。そちらにお誘いいただいたので今回初参戦しまして。
 
 クリスマスをテーマにしなくても良いとは言われたものの、やっぱ季節感は出していきたい。それでいて極力他の人とネタかぶりはしたくない。さーてどうすっかなあーと思っていたら、ふと思いついたんですよ。クリスマスカラー。赤、白、緑。おお、大三元じゃんつって。
 完全に麻雀狂いの発想。というかフリー雀荘のおっさんのそれ。普通なら雀荘の小ネタで終わるところですが、せっかく降ってきたアイデアなのでガッツリ擦らせてもらいました。ホント創作してると何が功を奏するか分かんない。

 で、出来上がったのがこちら。

 上に挙げた麻雀マンガ達はガチ勢がメインターゲットですが、それだと誰もついて来れない(そもそもそんな闘牌書けるだけの雀力もない)ので、その路線で行くのはナシ。それこそ麻雀を知らない人が読んでも、勝負事のヒリついた雰囲気だけは味わってもらえる事を目指して書きました。麻雀マンガで言うなら『哲也』がお手本です。
 逆噴射小説大賞、つまり書き出し800字以外でゼロからの創作を書いたのは今回が初めてです。それだけに色々不安でしたが、Twitterでかなりの、しかもおおむね自分が目指していたとおりの評価をいただきました。この場を借りて紹介します。

 いやー読み返すだに嬉しいお言葉の数々です。本当にありがとうございます。
 自作の宣伝をあまりしない人間ですが、本作に限っては宣伝しても許されるかなと思ったので尺を使わせてもらいました。もう一度貼りますので、未読の方はよろしければ是非。


 以上で終わりにしたいと思います。
 今年も今年で実りある年でしたが、やっぱ継続性に欠けていたのは否めません。来年はもう少しコンスタントにやりたいものです。
 それでは、23年もどうぞよろしくお願いします。






 

 現在23時05分。

 やれやれ23年に間に合った。ちょっくらコンビニでビール買ってきます。





 追記①
 元旦に摩撫甲介さんからアンサー記事を頂戴しました。

 摩撫さんの文章が元旦から読める、その時点でファンの自分にはありがたい。しかも内容は自分の記事への丁寧なアンサー。こんなんお年玉ですよお年玉。大変にありがとうございます!!!


 追記②
 1月4日、note公式マガジンに収納されました。このマガジンに収納してもらうのは確か2回目。

 以下、中の方々(マガジン担当者)へ。
 書いた本人はそこまで力入れずに書いたつもりですが、面白く読んで頂けたのなら何よりです。エルロイの『L.A四部作』に絞った感想文はもう少しリキを入れて書くので、気が向いたら読んで下さい。

 あと、note公式さんにはすでに後押し頂いておりますが、折角の機会なので改めて。



 ”逆噴射小説大賞”と”パルプアドベントカレンダー”もよろしく(大声)。

 パルプ文化の認識がより一層広まる事を願いつつ。おしまい。


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