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怪鳥ばあさん

 ベランダを掃除していたら、隣家から怪鳥の鳴き声みたいな音が聞こえてきた。
 庭に設置されたブランコだろうと、じきに見当がついたけれど、隣家の子もぼちぼち大きくなったろうに、まだあんな小さなブランコに乗るんだろうかと何だか心のうちで引っかかる。
 それで壁の陰から覗いてみたら、みすぼらしい身なりの婆さんが座ってゆらゆらしていた。

 婆さんは何だかボロボロの服を着て、ボサボサの白髪に手拭いを被っている。
 隣家のおばさんは昭和の刑事ドラマで聴き込みを受けるスナックのママみたいな感じの人だから、きっとこれは別人なのだけれど、住人でない婆さんが汚いなりをして、庭のブランコで一人でゆらゆらしているのは、あんまり尋常と思えない。

 ことによると見てはいけないものかも知れないと思って目を逸らしてみたが、視線を戻すとまだそこにいる。だから多分生きている人なのだろう。
 どうも、さっきから聞こえている怪鳥の鳴き声みたいなのは、ブランコの音でなく、この婆さんが発している声のように思われてきた。

よかったらコーヒーを奢ってください。ブレンドでいいです。