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100人カイギsummit2021 Report テーマセッション:つながりの始まりを再考する

11月3日(水・祝) 「100人カイギ」の全国カンファレンス「100人カイギsummit2021」。2021年は虎ノ門ヒルズとオンラインの2ステージ同時進行で開催された。

虎ノ門ヒルズのイベント会場には、全国各地から100人カイギ運営メンバーが当日の運営に参加

100人カイギsummitは、100人カイギfounder / 見届け人 高嶋大介の挨拶でスタート

司会はフリーアナウンサー(元 日本テレビ)/NPO法人ミラツク非常勤研究員 松尾 英里子 さん

テーマセッション:つながりの始まりを再考する

コミュニティの始まりとは

つながりとは何か と聞かれた時あなたはどう答えるだろうか。日々生きていく中で触れているたくさんのつながり。いざ言語化しようとすると難しい。

今回はさまざまな角度からつながりを考え、実践している登壇者3名がつながりや多様性について熱い議論を交わした。

登壇したのは、吉原 史郎さん(Natural Organizations Lab株式会社)、手塚 マキさん(ホストクラブ経営者)、そしてモデレーターは芦澤 美智子さん(横浜市立大学 国際商学部 准教授)。

芦澤:私たち3人の共通点は、地域を軸に多様性のあるコミュニティを作っている点かなと思いますので、この話題を中心にお話しできればと思います。今お二人がやられているコミュニティは意図して始められたのか、結果どのような効果があったのか伺いたいです。

手塚:僕は従業員教育の一環として意図して始めました。歌舞伎町でホストクラブを経営しており、2005年から歌舞伎町で社員でゴミ拾いなどやっています。理由はホストの世界という狭い世界で働く従業員たちに他の世界も知ってほしいから。いろんな人と交わることによって、人間的にも社会人としても成長してほしいという期待を込めてコミュニティ活動に取り組んでいます。従業員には感受性豊かで人の気持ちがわかる人になってほしい。その意味ではやっぱりいろんな人、多様性に触れるということが大事かなと思ってます。

芦澤:多様性が交わることでイノベーションが生まれ、新しいものが出てくると言いますけど、実際に交わったところで生まれるのは摩擦の方が多い気がします。

手塚:おっしゃる通り、その分野のスペシャリストたちが集まった方が何かしら新しいものが生まれると思いますね。僕は多様性が交わることをゴールと置いてます。自分の中の素養として全然違うジャンルの人と関わる経験が残り、それが自分の専門分野において何かしらのスパイスになればいいなと思います。

芦澤:ちなみに多様性が混じるコミュニティ活動を経て何か変化はありましたか?

手塚:正直目に見える成果はないです。ただうちの会社の文化に大きく影響していると思います。水商売をやりながら地域の活動を行い、飲食店や美容院、デイサービスといった事業を多岐にわたって展開している会社ってなかなかないです。地元のお祭りに参加するなどのハードルもすごい低いんですよね。
水商売をやっていくのにはたくさんの弊害があります。その弊害を乗り越えるために水商売を隠し、昼にやってる事業を全面に押し出している会社もあります。表に出してる事業で上場するために裏でやってる水商売を水に流すこともありますが、僕はくだらないと思っています。だから堂々と僕たちは地元に根付いた水商売も含め、歌舞伎町で多様性な教育をし、歌舞伎町やもしくは新宿を代表する企業になろうと目指しています。

芦澤:吉原さんはいかがでしょうか。

吉原:僕はだんだんコミュニティができた感じですね。僕は昔石川でホテルをやっていたのですが潰れてしまい、今は自然農法に取り組んでいます。原生林の森のように水だけで野菜が育っていくということを妻が7年前にやり始めまして。そこから自然農法の面白さに気づき、自分の会社だけでなく、他の地元のメーカーや商社にも取り入れていったのが始まりです。

実は、雨水だけで野菜は育つんです。知ったときは衝撃でしたね。いろんな場所で自然農法を試すうちに、土に個性があることに気づきました。例えば沖縄の土は貝殻が混じったり、いろんな土地の土に触れるのが楽しくて。社内でワーケーションするんだったら、畑を作ってみるかといった感じでコミュニティが生まれていきました。

海外にも同じような動きがあるんです。例えばヨーロッパでは、アジアから野菜を変えないから、ポルトガルやベルギーなどで野菜ちょっと育てる人が増えてるんですよ。

芦澤:手塚さんは色々な職種の方との出会い、吉原さんは土との交わりや植物の触れ合いといった出会いがエネルギー源なのかなと感じました。私の場合はいろんな人に会うことにより、意外と自分は狭い世界で生きてることに気づいて、さらに視野が広がり生きてる感覚みたいなものがより研ぎ澄まされていくことにエネルギーを感じます。

手塚:吉田さんの話を聞いて思い出したんですが、最近ホスト短歌というのをやっているんです。 短歌で季語を考えるときに自然と向き合うことが増えましてね。

吉原:おっしゃったように季語や土、自然などに触れると歴史まで遡れますよね。繋がりって別に直接的な繋がりだけではなく、1000年前に死んでしまった人とも繋がれるのかもしれない。自然の循環を気にすることによって、いろんなものとのつながりを感じられるかもしれませんね。

芦澤:多様性って、人や職業の種類もあれば、時間のところでの多様性も見えるかもしれないですね。先ほど、他の会社さんから植物の触れ合う機会を要望され、吉村さんに声がけされるとお聞きしたのですが、会社さんは何を求めているのでしょうか。

吉原:今って複雑な社会になって、いろんな繋がりがありますよね。そんな中、事業をどうしたらいいか、植物に触れたり畑にいると経営者の考えが降りてくるみたいなんです。プラスで経営者としては他のメンバーにも事業について考えてほしいようです。リモートが増えていく中で、戦略的に経営したいってときに、どう従業員に考えさせ、意見が活発にかわされる土壌を作れるかと考えた時に畑を思いついたようです。だからとった野菜食べて昔を思い出しながら事業について考えられるようです。

芦澤:今の話を聞いて思い出したのですが、人間の好奇心やまさにやりたいこと引き出すのって理科と社会とおっしゃってた方がいまして。理科と社会って生きるってことに関する、かくも算数と国語は、人類の文化が発展した後に必要になる学問のようです。そういう意味では、植物や土といったまさにその理科の範囲で、人の何か根源的な好奇心をもしかしたら呼び起こすのかもしれないですよね。

コロナ禍で失われた偶然性の出会い

芦澤:コロナになり、物理的にも新しいものに触れたり、つながりの形が変わったのかなと思うのですがお二人はどうでしたか。

手塚:繁華街というものはもう、明らかに去年の4月ぐらいから目の敵にされている状況だったので、そういう目を向けられたかは、果たして我々は、何のために仕事をしているのか我々の社会的意義は何なのか向き合ったんですよね。だから、繋がりがどうこうというよりかは、自分の存在意義っていうものを問われた期間だったと私は思いますね。

吉原:やっぱり人と会えなくなるのでチームを感じることはできなくなりましたね。でも毎週月曜日に事務所のそばで畑で会うと決めていたのがよかったかな、と。

手塚:自然界にとってはコロナ禍の一年ってあまり打撃ではないかもしれませんね。一年とかではなく、もっと長いスパンで見ているから。そういう面では自然と触れている人は結構心が余裕だったのかなと思いますね。

芦澤:お二人ともそこまで大きな変化がないようですが、私の場合は大きく変わったんですよ。大学は基本オンライン、サークルも禁止になりました。つながりが断絶した1年だったなと思います。一方でデジタルによる出会いが急速に発展しましたよね。自分の興味にしたがってタグを立てながらデジタルでオンラインセミナーなどに参加することが気軽にできるようになりました。その点はよかったかなと思うのですが、やっぱり偶然の出会いが減りましたよね。

今後の100人カイギへ期待

アフターコロナのつながりについて、そして今後の100人カイギへの期待について意見を伺いたいです。

手塚:まさに繁華街は偶然性を意図的に作ってる場所だと思います。たまたま隣になった人と仲良くなって違うお店を紹介してもらってとエンドレスに続く。最初に飲んでた人と最後まで一緒に飲むことはないのが繁華街の魅力だと思います。その偶然性の中でどれだけ学びを得られるかっていうのは難しいと思いますが、偶然性の出会いは最高だと思っています。この100人カイギの場も偶然性を担保できる要素があるといいのかなと思いますね。

吉村:自然の畑も商店街みたいなもので、どんな不思議なことが起きるかはやっぱその時々変わるんです。偶然に生命ができてくるんですよね。そういう繋がりがあるってことを感じるって意味で、自然のある場所で開催するのはどうですか?あとは、100人カイギで畑の支援とかどうですかね。自然の循環を感じながらお喋りしてみるのも面白いかな、と。

芦澤:どんどん新しい出会いが生まれてくる偶発的な場を作ることを100人カイギにも期待できそうですね。

アフターコロナのつながりとは?

さまざまなつながり、出会いについて議論されたセッション。つながりとは人だけでなく、自然を通じて時間を超えるものでもあるかもしれない。
多様性が交わることできっと自分の中で新たなインスピレーションが生まれるはず。コロナ禍で減ってしまった偶然性の出会いとコロナ禍で発展した新たな出会いの形をうまく組み合わせていきたい。

グラレコはMotoki Yamanoさんに描いていただいた

皆さん、仕上がったばかりのグラレコを見て感動!

トークセッションが終了後、虎ノ門会場ではグラレコチームの皆様から各トークのグラレコの紹介タイム。

オープニング:Tomio Naritaさん
100人トーク①:iide maikoさん
100人トーク③:Motoki Yamanoさん

クロージングは、100人カイギfounder / 見届け人 高嶋大介の挨拶で100人カイギsummit2021が終了。

虎ノ門ヒルズ会場の100人カイギ運営メンバーによる会場運営チーム
100人カイギ運営チームによるチャットチーム

100人カイギsummit2021、ご参加いただいた皆様ありがとうございました!
2022年もお楽しみに!

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 イベントレジスト 株式会社
 株式会社 ホットスケープ
 森ビル 株式会社

100人カイギ


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