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「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」というタイトルは、どこが偉大なのか?

テーマ発表


「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」!!!

※俺の妹がこんなに可愛いわけがない:略称「俺妹」。伏見つかさ氏の小説(ラノベ)。アニメも傑作ですが、今回は小説について。


これ、いいタイトルですよねぇ!

じつにいい!メッチャ目を引く!

本記事では、このタイトルがなぜこれほどまでに目を引くのか、考えてみましょう。


小説は、読者に「感情的体験」を提供するものである


まずは、カール・イグレシアス(Karl Iglesias/アメリカの脚本家、脚本研究家)の言葉を引用するところから始めましょう。

(ハリウッドでは)何を売っているのか考えてみよう。それは人間の感情だ。感情的体験を映画やテレビという形で綺麗に包装して販売、年商1兆円を稼ぎ出しているのがハリウッドの正体なのだ。

※カール・イグレシアス「『感情』から書く脚本術 心を奪って釘づけにする物語の書き方」(フィルムアート社)、CHAPTER1より引用


イグレシアスは、映画(脚本)について述べていますが……しかし。

これは、小説(やマンガなど)にもそのまま当てはまることでしょう。

そう、小説は「感情的体験(Emotional Experiences)」を提供しているのです。

▶ ある人は、「ハラハラドキドキ」したくて小説を買う。

▶ 別の人は、「萌え萌えキュンキュン」を求めて小説を買う。

▶ またある人は、「あー、スカッとした!」というスッキリ感がほしくてページをめくる。

▶ さらに別の人は、「性的興奮」を求めて小説を読む。


そして私たちは、「求めていた『感情的体験』を与えてくれた小説」に対して、「これは面白い小説だ!」と感じるのです。

つまり、「ハラハラドキドキ」したい読者を、「ハラハラドキドキ」させることができたら大成功。読者は満足する。


一方、「ハラハラドキドキ」したい読者に、「萌え萌えキュンキュン」を与えてしまったら……これは失敗です。

読者はがっかりするに違いない。場合によっては、「なんだこの小説は!?」と怒り出すかもしれません。


私たちは、「妹」の一字から何をイメージするのか?


さて、ここで改めてご覧ください……「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」。


ご注目いただきたいのは、「妹」です。

ラノベの世界で「妹」と言えば、まぁ間違いなく「妹萌え作品」


「妹」の一字を見た瞬間、多くの読者は「ほぉ!これは妹に萌え萌えキュンキュンする作品ですな!」と感じる。

つまり、この小説がどんな「感情的体験」を与えてくれるのか、パッと理解できるんですよね。


「妹」による選別、そして安心感


その結果、何が起こるのでしょうか?


まず、「妹萌え」に関心のない人が脱落します。

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なお、「脱落」というとネガティブな印象ですが……じつは、ちっともそんなことはありません。

何しろ、「求めていない『感情的体験』」を与えてもがっかりされるだけですからね。それどころか、「これ、面白くないぜ!」と悪評を流されるおそれすらある。

したがって、「これはあなたには向いていませんよ」と合図を送るのは、非常に重要なことなのです。


一方、「妹萌え」が好きな人はどうでしょう?

彼らは、「おっ、これは自分向きの作品だ!萌え萌えできそうだぞ♡」と安心して関心を持ってくれるはずです。

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まだ足りない


しかし。

それではこのまま、「妹萌え」好きの人が購読に至るかというと……そうは問屋が卸しません。

「妹萌え」の作品は、決して珍しいものではありませんからね。いまのままでは、「妹萌え」作品の中の1つに過ぎない。

その中から選んでもらうには、もうひと工夫必要なのです。


好奇心を刺激する


その点、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」は……すごい!

ご注目いただきたいのは、「こんなに可愛いわけがない」という部分です。この「意味がわかりそうでわからないフレーズ」!

▶ 「こんなに」って何!?

▶ 「可愛いわけがない」ってどういうこと!?


メチャクチャ好奇心を刺激されますよね!

これは読むしかない!……かくして購読に至るのです。


まとめ


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それでは、結論です。

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」というタイトルは、どこが偉大なのか?

第1に、「得られる『感情的体験』」が明確!「妹萌え」好きの人に対して「これはあなた向きの作品ですよ!」と合図を送ることで、安心感を与えている。

第2に、「意味がわかりそうでわからないフレーズ」!好奇心を刺激することで、読者の購読意向を高めている。


……この完璧な組み合わせ!これが、「妹萌え」好きの人のハートをガッチリ掴んだのだと推測されます。

じつに偉大なタイトルですよねー!!


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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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