バス停

今日も延着するバスを待ちながら
ペラペラなLove Songで耳を塞ぐ
芸能人のゴシップ 知らない誰かの陰口
そんなものに心を乱されたくなくて
そんなものに心を奪われたくなくて

卑屈な君に…
劣等感だらけの僕…
日に日に薄くなる時刻表に、
ホコリだらけのベンチ、そこにあるのに、
誰にも見向きされないのは、
君と僕みたいだ、自嘲を噛み殺して
35分遅れのバスに乗り込む
共感が欲しい僕を今日も
君は無視してスマホを手放せない

僕の弱さが仇になり
マイナスばかりが積み上がる
君を拒んだのは向き合いたかったから
君を拒んだのは心を晒したかったから
そんな僕を拒絶して君は怒鳴ったんだ
そして君はスマホを手放さなくなった

淋しさと悲しさが僕の心を蝕んで
言葉に棘を纏わせて君に投げつける
それでも失うのが怖くて
何度、傷ついても作り笑顔で本音を隠す

ゆらゆらバスに揺られながら君の孤独が
僕の孤独が蠱毒に変わってゆく

バスの最後尾のシート
ぼんやり流れゆく景色を眺めては
君を思い出してため息がこぼれ
乗客の臭いにむせ返る

永すぎた春に短い秋
空っぽの夏に暖かい冬
気づかなかった本音が
風に吹かれて道端に降り積もる
廻る季節を過ごしても
心の距離は大して変わらない君と僕

何かを共有したくて
1番の味方でいて欲しくて
毎日、僕は中身のないお喋りばかり
本当に伝えなきゃいけないことは
僕の心の底で今日も腐ってゆく

2人なのに僕らはずっと独りぼっち
蠱毒を抱えて傷つかないように
君はまた僕に背を向ける

好きだから解って欲しくて
好きだから苦しくて
好きだから寂しくて
好きだから逃げ出したかったんだ

バス停のベンチは日に日に
僕の心みたいに薄汚れて
バス停の時刻表は日に日に
君の心みたいに薄くなってゆく

バス停のベンチも屋根も時刻表も
いつかは新しくしてもらえるのに
僕と君はいつまで曖昧なまま寂しさに
蓋をしてゆらゆらしているんだろう?

2人なのに僕らはずっと独りぼっち
蠱毒を抱えて傷つかないように
君はまた僕に背を向ける

好きだから解って欲しくて
好きだから苦しくて
好きだから寂しくて
好きだから逃げ出したかったんだ
どうせなら、ゆらゆらバスに揺られて
君をまるごと忘れてしまいたい



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