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主婦とは。ドイツ生活のぼやき - 2

日本にいる母が電話越しに一言。
「あなたも主婦になったんだねえ」

ああそうか、わたしは主婦……なのか?と少し戸惑いました。

わたしが結婚したのは今年の春。もう少しで結婚から半年です。相手はドイツ人ではないので、お互い異国で支え合いながら必死に生き抜いているという感覚で、あまり「主婦」という感覚もありませんでした。

彼の方が多く働いているので、彼が働いている間に家事を済ませるとか、弁当を用意してあげるとか、そういう行いは確かに主婦らしいといえばそうだけれども、体調を崩しやすいわたしがダウンしているときは全家事をこなしてくれるし、そうでなくても単にやる気が出ないときも、できる方が家事を済ませるという具合なので、あまり「主婦」をしている感覚がありません。

それにわたしも仕事をしているし、そもそも本業は大学院生なので、自分が何者なのかよく分からないというわけです。


そういえば、結婚のために一時帰国した際に、「それじゃあ、旦那さんの国に住むんだね」と言われることが多かったのを思い出しました。わたしたち夫婦は、わたしの母国でも彼の母国でもないドイツ、つまり「第三国」に住んでいて、この地で学業をしつつ、仕事もして、友だちもいるという状況なので、何の関わりもないわたしたちの母国で生活を始めるというのは、逆にハードルが高すぎるようにさえ思うのです。彼は日本語ができるので、日本の方がやや現実的ではありますが……。

もちろんそんな事情なんて知ったこっちゃないという人たちの言葉なので、悪気はこれっぽっちもないだろうし、批判するつもりも全くないのですが、自分たちの生き方が「普通」ではないんだなと痛感した瞬間でした。

でも彼の国って本当に良いところなので、「住んでみたい!」と思ったことはあります。彼の家族も本当に優しい人ばかりで、どうにか彼らと彼らの言語で意思疎通をしてみたいという思いから、彼の言語も数年前からコツコツ勉強して、ようやく最近、B1/B2(CEFR)くらいのレベルになりました。たぶん一人であの国を旅行したり、トラブルに対応したり、相手がゆっくり・はっきり話してくれれば、ある程度のお喋りをしたりができるレベルです。

それでも移住するか?と言われたら、ちょっと考えてしまうのです。いざというときに夫の家族のサポートが得られるメリットはあるし、美味しいお料理も美しい街並みも楽しめるけれど、ドイツや日本と違って「わたしの居場所」がまだない土地に、「夫の国だから」という理由でついていけるかどうか、わたしには分かりません。

妻としての自覚が足りないのか。だから「自分は主婦なの?」と豆鉄砲を食らった鳩みたいな反応をしてしまうのか。

こんな風なぼやきをしつつ、実際は大して悩んでいるわけではありません。ぐでたまの口調で「まあ、なんとかなるでしょ~」と言いながら、のんびり生きていきます。

写真:結婚式翌日、家族でハイキングをしたときに見た景色


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