見出し画像

アイルランドからベトナムへ、はしごする。ドイツ生活のぼやき - 11

土曜日、わたしは15時頃までに仕事と英語のレッスンを終えていたので、17時に仕事を終える夫を迎えに街まで出ていきました。その前日、わたしが日本人の友人と訪れたベトナム料理がとても美味しかったので、一緒に行ってみようと話していたのです。

ドイツ人は17時や18時に夕食をとる人も多いので、街のテラス席は食事をするドイツ人らしき人々で賑わっていました。でも、わたしやイタリア人の夫にとっては少し早すぎて、それじゃあ軽く一杯、ビールでもどうですか?ということで、お気に入りのアイリッシュパブに向かうことに。

夫は写真左側のホップハウスラガー(Hop House Lager)、わたしは右側のギネス(Guinness)を頂きました。久しぶりに飲んだクリーミーな泡のギネス。なんとな~く、お醤油とチョコレートのような味で好きです。あまり理解されない感想だということも、なんとな~く分かっています……。

Hop House LagerとGuinness

「あ~美味しいねえ!アイルランド、行ってみたいねえ」

口の中に広がるビールの旨味を感じながら、店に飾られているアイリッシュな物たちを眺めて、とてもいい気持ちです。

ヨーロッパという大陸は、日本と比較してみるとよく分かるのですが、思ったよりも小さく、ドイツからアイルランドは飛行機で2時間~2時間半ほどでたどり着けるし、通貨はドイツと同じユーロなので、身近な旅先という印象です。ホクホクのフライドポテトをつまみながら、この間はイングランド(ロンドンとオクスフォード)を訪れたから、次はアイルランドだねと語らいました。

ホクホクのフライドポテト。ソースはハニーマスタード。

実は夫はアイルランドに数か月間住んでいたことがあり、アイルランドの音楽も文化も大好きな人なので、わたしがこの国に興味を持つようになって嬉しいようです。

ちなみにこのポテトに添えられたハニーマスタードソースは、夫のチョイスだったのですが、ほのかにローズマリーっぽい香りがして、美味しかったです。他にもサワークリームやケチャップ、マヨネーズなど選べるようでした。

さて、仕事終わりの空腹を軽く満たしたところで、サクっと会計を済ませて立ち上がりました。近いとはいえ「舶来品」を扱う店で、しかもドイツ全土での物価上昇も影響して、ちょっぴりグサっと来る金額でしたが、年季の入った小さな木のテーブルでビールとポテトを楽しんで、長居もせずに立ち去るだなんて、わたしたちって「粋」じゃない?と話しながら、店を後にしました。

数年前から、義父に「粋」とは何かと会うたびに尋ねられ、会うたびにいろいろな例を話しているので、普段から「これこれ、これは粋なのよ」と夫に伝えるようにしているのです。

粋なアペタイザーを味わって、わたしたちは真っ直ぐ今日のメインであるベトナム料理を目指しました。

日本のファミリーレストランのような小綺麗さと居心地の良さが素敵な店内。わたしの住んでいる街でこの清潔さは決して普通ではないので、嬉しいポイントです。テーブルごとに仕切りが付いているのも最高!

ベトナム料理店

わたしはフォーが大好きなので、牛肉の入ったフォーを頼みました。小皿にはライム、もやし、パクチー、ミント、触れるだけで辛い生の唐辛子が乗っています。

牛肉のフォー

冒頭にも書きましたが、この前日、わたしはここに来ているので、2日連続のお客です。そのときに注文したのが、こちらの煮魚です。

煮魚、ライス付き

唐辛子とミントが乗っているせいで、わたしには異国風に見えますが、一口食べてみるとお醤油の染み渡ったふわふわの身が、まさに日本の煮魚なのです。おつゆも、魚のあぶらがよく溶けて、ごはんにかけて食べると懐かしい気持ちになりました。煮凝りをほかほかのごはんに乗せたら美味しそう~!だなんて思いながら完食しました。

というような話をしたら、日本の煮魚が大好きな夫も興味持ったようで、同じ魚を頼んだのでした。

ときどきミントを口に放り込むとさっぱりして美味しい。
チリ(唐辛子)は噛むと命の危険を感じる辛さ。でも美味しい!

とても美味しくて、二人ともあっという間に完食してしまいました。どちらも塩気の強い料理だったので、ちょっと甘くてさっぱりしたものをということで、デザートメニューからココナッツアイスとベトナムコーヒーを注文しました。

事前に予習した情報によると、ベトナムコーヒーはドリッパーという金属のフィルターを用いて淹れるのだそうで、ブラックで飲む人もいれば、コンデンスミルクと合わせる人も多いのだそうです。

その事前学習で、コンデンスミルク入りコーヒーのバリエーションとして、「塩コーヒー(Cà Phê Muối)」という何とも不思議なコーヒーが存在すると知り、こちらのお店でも出して頂けますかと尋ねたところ、塩コーヒーは扱っていないとのことでした。シェフにも確認を取ってくれたようで、それでも断られたということは、塩を混ぜればいいというわけではないようです。調べたら、ベトナム国内でも飲める場所が限られているとか……?いつかベトナムまで行って、飲んでみたいなあ。

そういうわけで「コンデンスミルク入りコーヒー(Cà phê sữa)」を選びました。

ドリッパーを乗せた可愛いグラス

グラスの下にコンデンスミルクの層があるのが見えますか?コーヒーが全部抽出されたら、ドリッパーを外して底に沈むコンデンスミルクとコーヒーをよく混ぜて飲むのだそうです。コーヒーの味は、フィルターコーヒーよりずっと濃くて、どちらかというとイタリアのエスプレッソに近い深みがありました。一口ずつが濃厚なので、満足感も高いです。

そしてこちらが、ココナッツアイス。ちょっと他のデザートより高いなと思っていたら、ココナッツの殻に入ってやってきました。これは見栄えが素晴らしい!

ふわふわのココナッツアイスの上には、削りココナッツがたっぷりかかっています。

ドイツでは基本的にひとつが大きいので、夫とシェアすることも多いのですが、こちらもシェアにしてよかったと思いました。だってココナッツ半分の量のアイスって、結構多いですよ!

濃くて美味しいコーヒーと、空気を多く含んだふわふわのさっぱりココナッツアイスを交互に味わって、あとはお喋り。少し前に義実家周辺で起きた不思議なトラブルについて、探偵ごっこをしながらあーだこーだと言い合って、さあ帰ろうかと店を出た頃は20時半。あら?22時頃かと思ったらまだこんな時間。

アイリッシュパブからベトナム料理店への美味しいはしごをして、たくさんお喋りをして、心もお腹も満たされたので、少し風を感じながら時間をかけて家に帰りたくなって、手を繋ぎながら夜道をゆっくり歩いて帰りました。

みんなが美味しいものを美味しいねと言いながら笑顔で生きていけたら、世界は平和になるんじゃないかなと気楽なことを思うことがよくあります。世界はそんなに単純じゃないと、ものごとを学べば学ぶほど痛感するのに、それでも簡単な気持ちで平和を願ってしまいます。

わたしには世界は救えませんが、わたしがわたしの日々を豊かにすることはできるし、それが今のわたしにできる数少ないことのひとつだと思うので、この日の美味しいはしごの記憶を残しておきたくて、この記事にしました。

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートは研究費に使わせていただきます。