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【OAK】4月振り返り【月刊ポジアス】

日本時間4月29日の時点で、アスレチックスは12勝17敗・勝率.414という戦績を残し、地区3位に位置しています。

決して良い成績とは言い難いものの、個人的には大満足の1ヶ月になりました。5つの負け越しは、中地区首位ガーディアンズとの2シリーズで1勝6敗とコテンパンにやられたことが直結したもの。その他の相手には勝率5割で折り返しました。中身を見ても、レンジャーズ、オリオールズ、タイガースといった強豪相手からシリーズを2勝1敗で取っています。

昨年は12勝目を挙げたのが5月30日。今年は4月29日。この事実だけでもチームの成長を実感できます。観戦が楽しみという感覚を久々に味わう一ヶ月でした。


躍進の立役者ミラーとアーセグ

CBS Sportsより

今年のアスレチックスにおける最大のストーリーは、なんといってもクローザーのメイソン・ミラーです。ここまでの成績はまさに圧巻。

10登板 7セーブ ERA1.46 FIP”0.10” K%:"52.1%" fWAR1.0

FIP0.10、三振率52.1%というこれまでの人生で見たことがない数字が並んでいます。fWARは先発投手と一緒くたのランキングでも、メジャー10位タイという信じられない水準にあります。

ラファエル・デバース、コリー・シーガー、マーカス・セミエン、フアン・ソト、アーロン・ジャッジといった名だたる大打者たちを三振に切って取る姿は、今や全国メディアでも大きな注目を浴びています。

中でも圧巻だったのは、26日のオリオールズ戦。タイブレークで1点リードで迎えた10回裏の登板、薄氷のリードもミラーには十分すぎるほどでした。コルトン・カウザー、ガナー・ヘンダーソンを三振に抑えてセーブを挙げ、珍しく感情を爆発させました。

現状、MLB最強のクローザーと言っても過言ではないでしょう。

ミラーのバックグランドとして度々紹介される、ディビジョン3の大学ですら苦戦していた大学時代、そして糖尿病の発覚といったストーリーはこの記事をチェックしてみてください。

そして、ミラーに注目が集まりがちながら、セットアップのルーカス・アーセグも最高のパフォーマンスを見せています。

12登板してERA1.54、6ホールドを挙げて、1セーブも記録。負担軽減の名目でブルペンに回っているミラーが投げられない日もある中、タフなアーセグがその穴を埋めています。

ブルペンはミラーとアーセグに牽引されて、予想外の健闘を見せています。チームのブルペンERA2.73はメジャー6位タイ

ミラー&アーセグに次ぐウェポンとなっているオースティン・アダムス(ERA1.93)、チーム最多16登板をこなすTJ マクファーランド(ERA3.97)、Bチームリリーバーとして健闘するマイケル・ケリー(ERA3.52)とダニー・ヒメネス(ERA3.60)と専業リリーバーは6人と数少ないながら、全員が好投しています。現地28日時点のデータですので集計はされませんが、29日のパイレーツ戦では4点リードをケリーとヒメネスが2回ずつシャットアウトして守りきりました!

さらに特筆すべきは、カイル・マラー(ERA2.29)とミッチ・スペンス(ERA3.38)のロングリリーバー役の2名。ロング役とあって先発が早く降板したときの出番がほとんどですが、この二人の好投が終盤の逆転を呼び込むこともしばしば。先発ローテへの登用も十二分にあり得るパフォーマンスを発揮しています。


ホームランを打って、ホームランを打たれない

しかし、明るい要素が増えたとはいえ、コンテンダーの一角と呼べる実力が伴ったわけではありません

12勝のうち実に7勝が1点差。先発の防御率はメジャー28位、総得点はメジャー29位(総得点が3桁未満なのはアスレチックスとホワイトソックスのみ)と、ブルペンにおんぶにだっこという現状です。

それでもなんとか勝てている要因は、ホームランです。

打線はメジャー7位の32本のホームランを放っています。チーム打率はあのホワイトソックスよりも低くメジャー最低の.203に過ぎません。チーム最多は6本のシェイ・ランガリアーズと、稼ぎ頭がいるわけではありません。しかし、メジャー2番目に多い14人の打者からホームランが飛び出しています。

ピッチングの方でも、ホームランを抑えていることが大きく寄与しています。HR/9はメジャー7位の0.88(シアーズとブラックバーンが6被弾したオリオールズ戦を除けばメジャー4位の0.71)に抑えられています。

奪三振率は相変わらずの低さですが、この被本塁打率とそして比較的与四球率も低いことが試合を作れている要因でしょう。


今後の伸びしろは打線

今後の改善ポイントはやはりクオリティの低い打線です。

投手陣の方はシアーズとブラックバーンがそこそこに安定しており、ロス・ストリップリングも堅実に試合を作れるようになりました。ここからさらにルイス・メディーナやケン・ウォルディチャックが復帰して、不振のアレックス・ウッドやジョー・ボイルに取って代わる可能性があります。ローテの方はさらなる改善を見込めます。

一方で打線はといえば。。。

上積み要素がまだ残っているわけではなく、ひたすら現状不振の打者の改善頼みとなりそうです。

特に昨年の打線を牽引したブレント・ルーカー、ザック・ゲロフ(故障離脱中)とライアン・ノダは一転して不振に。

さらに昨年から我慢して起用されているエステウリー・ルイーズ、JJ ブレデイ、ニック・アレンといった面々も、所々に光る活躍もあったものの、一人前の成績には遠く及びません。

その中で最も伸びしろに期待できるのが、ローレンス・バトラーです。

紅に染まった この鯖を 見逃せるオタクは そういない

バトラーも打率.205 / OPS.660が示すように、決して立派な成績ではありません。

しかし見てください。この夕陽のように赤く輝くSavantを。バトラーは今か今かと揺り戻しのタイミングを待っているその過程にあるのです。

5月、バトラーがその約束されたバウンスバックを果たせば、打線も多少は改善するかもしれませんね!


マイナーリーグのトップパフォーマー

ジェイコブ・ウィルソン SS/AA

16試合 2本塁打 打率.417 出塁率.438 wRC+191 四球率1.6% 三振率14.1%

天才的ヒットメーカーがフルシーズンデビューでも本領発揮。強豪とはいえないカレッジから、AAへのいきなりのアサインとなりましたが、十二分にその才を発揮しています。

ISO.217と想像以上のパワーを発揮しているのは好材料です。ただ、懸念のアプローチは懸念のまま。早打ちで四球を選ばないのはともかくとして、このスタイルならば三振率は1桁台に抑えてほしいですね。


コルビー・トーマス OF/AA

20試合 5本塁打 打率.316 出塁率.382 wRC+160 四球率5.6% 三振率21.3%

ヒットツールで沸かせるのがウィルソンなら、パワーはトーマス。溢れ出んばかりのパワーを開幕から発揮し、20試合で5本塁打を放っています。アグレッシブすぎるアプローチも例年比で落ち着き気味(ウィルソンと並べると誰でも落ち着いて見えますが、、)


ウィル・シンプソン 1B/A+

19試合 2本塁打 打率.375 出塁率.512 wRC+198 四球率22.1% 三振率24.4%

昨年ドラフト15巡目で入団し、AでwRC+138(29試合)と鮮烈デビューを飾ったシンプソンが今年も止まりません。春先は冷え込みがひどく、打てなくて当然のA+セントラルで常人離れした打棒を披露。出塁率・四球率はバリー・ボンズの領域にあり、打球速度も超が付くほど優秀、空振りも少ない(SwStr%は10%)とあって、怪物の誕生かと騒ぎたくなります。


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