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奥高尾縦走路 △登山の魅力△(0036)

意外に長くて時間がかかるのでけっこう歩き応えあり。東京近郊の縦走登山入門コース。
(本記事/ 文字数:約5000字 読了:約10分)


<概要>

山岳名: 奥高尾縦走路 (おくたかおじゅうそうろ)
所在地: 東京都八王子市、神奈川県相模原市
高尾山と陣馬山の間の稜線をむすぶ縦走路。全長はおよそ17km程度。
ルートの一部は東海自然歩道や関東ふれあいの道と重複共通する。またおおむね東京都と神奈川県の県境となる。

<奥高尾縦走路の魅力>

(1)気軽に楽しめる縦走登山初心者向けコース
いったん稜線まで上がればその後は比較的起伏や難所もすくないため縦走登山の初心者向けコースとして知られています。トレイルランのランナーもトレーニングとして走っていることが多いです。
(2)要所で富士山などの眺望を楽しめる
稜線に出るとところどころで西側の展望が開けているスポットが出てきますので、富士山やその手前の丹沢の山並みなどを眺めることができます。


<登山コース>

※標準的タイムによる目安(休憩含まず)
陣馬山から東へ向かって高尾山までを一気通貫で歩くルート。
「陣馬高原下」バス停→ 新道入口(20分)→ 陣馬山(60分)→ 奈良子峠(30分)→ 明王峠(10分)→ 底沢峠(10分)→ 堂所山(20分)→ 景信山(60分)→ 小仏峠(30分)→ 城山(30分)→ 一丁平(20分)→ 高尾山(40分)→ 稲荷山(40分)→ 高尾山登山口・ケーブルカー清滝駅(40分)※登山口から高尾山口駅までは徒歩5分程度。
コースタイム/ 7時間程度
標高差/ 660m程度
(陣馬高原下バス停:330m、陣馬山:855m、高尾山:599m、高尾山口駅:190m)

[登山道の特徴]

「陣馬高原下」バス停から新道入口までは和田峠に向かう陣馬街道(舗装道路)の坂を上がります。
新道入口から先が登山道になります。しばらく森のなかの沢沿いの道です。針葉樹が中心の少し暗めの道です。
沢から離れると徐々に傾斜が強くなり木の根の張出しが多くなります。
陣馬山の山頂が近くなると道がいくつか交錯しているのでどちらに進めばいいかちょっと分かりづらいです。右手側の道は和田峠からの登山道に合流します。左手側には陣馬山山頂を迂回する道もあります。地図をよく確認して山頂へつながる道を選択します。
陣馬山の山頂には有名な白馬のモニュメントが立っています。
陣馬山の山頂は草原状の広場のようになっています。富士山などの眺望にも恵まれています。今回のルート上では一番の展望地かもしれません。
陣馬山山頂から東への道が稜線の縦走路となります。
縦走路はいくつもの小ピークを越えますが、だいたいピークを迂回する巻き道があります。景信山や高尾山の山頂を迂回する巻き道もあります。
稜線は基本的に樹林帯のためあまり眺望はありません。ところどころに富士山などの姿を見ることができるポイントがあります。
景信山が今回のルートのおおよその中間地点になります。
景信山と小仏峠の間で露岩のすこし急な下り坂が断続します。
小仏峠と高尾山の間の一丁平は広い展望デッキと東屋があります。富士山もよく見えるポイントです。
高尾山山頂からは1号路と稲荷山コースに分岐します。どちらもケーブルカー清滝駅のある高尾山登山口に下山できます。
ケーブルカーやリフトを利用して下山する場合は1号路に入ります。また薬王院へ立ち寄る場合も1号路となります。1号路の後半は簡易舗装された道となります。
稲荷山コースは土の一般的な登山道となります。近年、再整備されて以前より歩きやすくなりました。
●水場やトイレなど
登山道上に水場はありません。
トイレは陣馬高原下バス停、陣馬山、明王峠、景信山、城山、一丁平、もみじ台、高尾山、高尾山口駅にあります。

[難易度・危険箇所など]

とくに大きな難所や危険箇所などはほとんどありません。
陣馬山と高尾山は直線距離にするとたいして長くはありませんが、縦走路は左右にうねった道のため意外に時間がかかります。体力とスピードにもよりますが場合によっては中間地点の景信山や小仏峠で東京側の「小仏」バス停へ下山して2回に分けてもいいかもしれません。「小仏」バス停からは「高尾」駅行きバスに乗車できます。
高尾山から陣馬山に向かい「陣馬高原下」バス停に下山する場合、バスの運行本数が少ないためご留意ください。

[アクセス]

JR中央本線・京王線「高尾」駅から路線バス(西東京バス)で「陣馬高原下」バス停(終点)まで約40分。
高尾駅のバス乗り場は北口になります。いったん南口に出てしまいますと改札を通らずに北口へ行くことはできません。この場合、南口から大回りして駅を迂回して北口へ行かなければなりません。
《補足》
京王線の新宿~高尾山口までの間で指定席特急「Mt.TAKAO」号が運行されています。運行本数は限られています。
リンク先:
「Mt.TAKAO」 (京王電鉄)

[国土地理院地図]

陣馬山

<こんな方にオススメ>

(1)縦走登山をこれから始めてみようかなという方
(2)ちょっと長めに山道を歩いてみたい
(3)冬の日帰り低山登山を楽しみたい


<補足情報>

[売店等]

「高尾」駅北口に売店があり、駅そばにコンビニエンスストアもあります。
陣馬山、景信山、城山、もみじ台、高尾山にお茶屋さんがあります。明王峠のお茶屋さんは現在(2023年)は休業中です。
今回のルートからは外れますが、ケーブルカー高尾山駅の周囲、薬王院周辺には売店があります。
高尾山登山口には売店が複数あります。
高尾山口駅そばに売店があります。

[日帰り温泉など]

京王高尾山温泉 極楽湯 ※公式サイト

[お食事処]

登山道上のお茶屋さんでは軽食の提供もしています。
ケーブルカー高尾山駅そばに展望レストランがあります。なお夏期にはビアガーデンとして営業しています。
陣馬高原下バス停そばにお蕎麦屋さんがあります。野草を練り込んだ「陣馬蕎麦」を提供しています。
高尾山登山口そばには複数の飲食店があります。とろろ蕎麦が名物です。

[付近の山]

石老山
生藤山
南高尾セブンサミッツ
関東ふれあいの道
東海自然歩道

[名産品]

天狗焼
黒豆あんで天狗の顔を象った今川焼きタイプ。ケーブルカー高尾山駅そばで販売。

[お天気情報]

高尾山/山の天気 (tenki.jp)

[そのほかの補足]

城山にあるお茶屋さんでは山盛りのカキ氷が提供されています(夏期)。
登山道上のお茶屋さんは一部を除き基本的に週末など休日の営業です。また天候次第で休業の場合もあります。
●高尾山口観光案内所
京王線「高尾山口」駅舎にある観光案内所。パンフレット備置あり。
●高尾ビジターセンター
高尾山山頂。高尾山の自然や環境などを紹介。
●高尾森林ふれあい推進センター
高尾山口駅そば。高尾山の森林や梨郷などに関する紹介。


<私的な雑感>

奥高尾縦走路は縦走登山とはどんなものかということを初めて知るにはぴったりのコースなのではないでしょうか。

私が本格的に(?)始めたとき、最初に行ったのがこの奥高尾縦走路でした。高尾山は小学生のころに遠足で何度も上ったことがあったので、大人になっていくなら陣馬山から登って高尾山まで行ってみようじゃないかと安直に思い立ちました。

なにせ初めてでしたのでまったく計画らしい計画も立てず地図すら持っていませんでした。事前にネットで地図を確認して直線距離でたいしたことないだろうと甘く見ていたら大間違い。歩いてみると、意外に長い…。「あれ、まだ着かないなー」とちょっと正直あせりました。いまから考えると大馬鹿者ですが…いまは歩き慣れた山でも地図は必ず持って行きます。

繰り返しになりますが、奥高尾縦走路は最初から最後まで歩ききりますとだいたい7時間程度かかります。しかも景色が変わったり岩場があったりなどのメリハリはあまりありません。登山経験豊富な方からすると単調で飽きるかもしれません。

逆に言うと、稜線上の森を気長にのんびりと歩くことができます。たまに顔を出す富士山などを眺めたりしながら、友人たちとおしゃべりでもしながら山を楽しむにはもってこいの山ではないでしょうか。

高尾山口駅からは夜遅い時間まで電車が新宿に向けて発車しています。多少おそい時間で陣馬山からスタートしても大きな心配はいりません。また早くスタートして途中の東屋やベンチなどでしっかりと山ごはんをつくる時間をとることもできます。夕方の日が沈む前までに下山して高尾山口駅隣接の日帰り温泉に浸かって夕食を食べてからでも電車は十分にあります。

そういうわけで、奥高尾縦走路は様々なスタイルの山の楽しみ方に活用できるマルチに山を満喫できるとても魅力的なコースだと思われます。


<備考>

高尾山薬王院 ※公式サイト
事前予約制で精進料理を提供しています。
●シモバシラ
高尾山周辺では、12月中旬頃から1月上旬くらいまで“氷の花”という珍しい霜柱の現象を見ることができます。これは特定の植物の茎の周囲に結氷し氷環ができるものです。その外観から“氷の花”と呼ばれています。降雪するとみることができなくなるようです。
リンク先: 高尾ビジターセンター ※公式サイト

<参考リンク>

いこうよ八王子・高尾山 (八王子観光コンベンション協会)
高尾ビジターセンター ※公式サイト
高尾登山鉄道 ※公式サイト
西東京バス ※公式サイト
東海自然歩道 (東京都環境局)
関東ふれあいの道 (東京都環境局)
山と高原地図「28.高尾・陣馬」 (昭文社)
高尾警察署 ※公式サイト
津久井警察署 ※公式サイト


<関連記事>

奥高尾縦走路周辺の登山に関する上町嵩広の関連記事です。一部、外部サイトの記事もあります。


<バックナンバー>
バックナンバーはnote内マガジン「登山の魅力」にまとめております。

[奥多摩]
0004/三頭山  0009/御前山  0010/雲取山  0020/浅間嶺と浅間尾根
0028/御岳山
[丹沢・箱根]
0005/大山  0030/塔ノ岳  0035/金時山
[秩父・奥武蔵]
0023/金峰山  0026/棒ノ折山  0032大菩薩嶺
[八ヶ岳]
0001/編笠山  0007/飯盛山  0014/天狗岳  0017/北八ヶ岳周遊(冬)
[北アルプス]
0012/燕岳~常念岳  0024/涸沢カール  0033/立山
[南アルプス]
0011/北岳
[関東そのほか]
0006/赤城山  0008/大楠山  0018/一ノ倉沢(冬)  0021/男体山(日光)  0025/那須岳  0031/鳴虫山  0034/戦場ヶ原
[東海]
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0022/三つ峠
[長野県そのほか]
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(6) 不定期更新です。 毎月一度を目安に更新を予定しております。
(7) カバー写真と、今回ご紹介した山とは、関係はありません。
(8) 情報は掲載日時点の内容です。
(9) 登山道等の状況については、適宜、現地の観光協会、ビジターセンターや山小屋などの各関係機関にあらかじめご確認くださいますようお願いいたします。
(10) 自治体により登山届や各種装備の義務化などの条件がありますのでご留意ください。詳細は各自治体や警察等にご確認くださいますようお願いいたします。
(11) 今般の新型感染症の影響で各種施設等の利用については制限などが行われている可能性があります。ご利用の際には詳細について事前に各種施設等へご確認などをお願いいたします。

(2023/12/01 上町嵩広)


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