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完全にホラーだった。エンデ作「モモ」

※少しネタバレを含みます。ご注意ください。


「モモ」
人の気持ちを素直に開かせ、幸福にしてくれる幼い少女モモが、時間どろぼう達が人々から奪った時間を取り戻す物語…。


学生の頃に買ったまま読まずに眠っていた、ミヒャエル・エンデ作「モモ」を読み終えたいと思い1ヶ月もかけて読み終えました。

ちょっと読んでみようかなぁ〜と、軽い気持ちで読み始めたものの、長い!進まない!終わらない!でびっくりしてしまいました笑

こんなにも自分は本を読むのが遅いのか…
30歳にして新しい発見です…。

読み終わってからの素直な感想は、1973年に書かれた作品とは思えない現代が持つ問題が生々しく描かれていることに驚きです。

最初はモモの人物説明や、主要人物達の紹介なメインの物語が始まる前の基本情報ですが、そこが長い!とにかく長い!!

子供達の空想海賊ごっこが始まった時は「私は何を読んでるんだ?」「まだ続くの?」「物語に関係あるかい?」と、もやっとした気持ちで読み進めていました。
明らかに生き急いでいますね。
バッチリ灰色の男に出会った後だと思います。

物語が進むにつれて、前半の長め解説が効いてくる!
あぁ、あの頃に戻りたい…と思うほど感情移入していましました。

序盤の早く物語をすすめんか!の気持ちと後半の序盤の懐かしさや取り戻したい気持ちに気がつけた時、この物語の伝えたい事を身をもって体験出来るのかもしれません。

かなり印象に残っているのは、ところどころで生々しいくホラー調の場面です。

主に灰色の男達の事になってくるとは思いますが、静かに脅してじわじわと勢力を拡大してきて、気がつくと逃げ場と選択肢が無くなっていく得体の知れない恐怖!
得体の知れないものがこの世で1番怖いと感じると言っても過言ではありません!

あとは、モモがみた悪夢。
あれはトラウマ級の表現でした。
大切な親友達が自分の選択によって逃げられず、辞めることも出来ず苦しんでいる。
映像で見た訳でもないのに、今でも思い出したくないようなまさに悪夢です。
簡単に場面を想像できてしまう細密な文章表現にずっとビビっていました。
作品対象が小学5.6年生以上とありましたがこれは明らかに小学生には刺激が強すぎです。

まるで現代の私達の事を描いていて、物語を現代と重ねずにはいられませんでした。
物語が進むにつれてとにかく暗く重い内容になっていき、私達はいったいどうなっちゃうの…モモお願い助けて…と、他人事では無くなってくるほどのめり込める作品でした。

大人になってから、時間が無い!暇がない!効率的に!!とそんなせかせか生活しているからこそ心に響く作品なのかなと思います。
小学生の頃にもしこの作品を読んでいたとしたら、まったくこれだから大人は。と思っていたのかもしれませんね笑

時間に追われて落ち着かず生活に追われる日々、何か大切な事を忘れないでいさせてくれる優しい作品でした。

全体的に映像で見たくなるような、幻想的な描写、表現が多かった気がします。
上手く言い表せませんが、うっとりするような丁寧で繊細な描写と言うんでしょうか?
神秘的な雰囲気だけでなくダークな暗い雰囲気もあって、ぜひ映像化しているなら見てみたい!映画化希望!と、ネットで検索したらちゃんと映画化してましたね!笑

余韻が消えないうちに鑑賞したいと思いますが、古い映画なのでどこで観ればいいのやら…

さて!
感想・考察リサーチの前に自分の感想はちゃんとはきだしました!
これから色んな人の感想・考察をあさりに行ってきます。

マイスター・ホラが送ってきてくれる時間を、大切に過ごしていきたくなったはきりでした。

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