春をよぶ ささやかな声で

7年でひとの細胞はぜんぶ生まれ変わるんだよ
3年かけてまるですべすべだけれど指に心地よいマットな質感のマグカップにぬるくなった甘さひかえめのミルクティーを注いで飲んでいるときのような安心、みたいな関係を築いた友人が教えてくれた。

うん、別のにんげんだ。まったく入れ替わっている。細胞からすべて。

だからあえてまた、書き始めることに決めた。

うっすらと、私と世界のあいだに確実にあった膜は、いつのまにかなくなった。すべてがはっきりと目の前にあり、現実との意思疎通がものすごく、、なんていうか、饒舌となった私がいる。

4歳の男の子を育てている。1
母親になった。2

このふたつはイコールに見えてイコールではないのだ。そんなことさえも自分の中で当たり前になった今。
7年前うっすらとあった膜がなくなった代わりに、世界はぐっと目の前に迫ってきてうそみたいに簡単になった、なのに私は明らかに何かをなくした。膜の役割はなんだったのだろう?

こうしてまた書き始めたのは、膜をとりもどしたくなったから。
違うな。
現実に根をはることができるようになったから、その新しくなった自分で、空気をざくざくと掘ってみたくなった。しばらくやってなかったから、難しいけれど。生きるのは簡単になったのに、息をゆっくりまったりマイペースに吸うことが難しくなった。不思議だ。

こんなに簡単な言葉で表したくないのに。はあ。時の流れの絶大なちからを思い知る。

でも両方ともできるようになったら、もっと楽しいだろう、絶対的に。
だいすきな息子にもとっても素敵な影響をもたらせる気がしてる。
だから書いてみる。書き始めてみる。今この瞬間から。

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