Haniho Minase / 水無瀬 はにほ

美術の授業(架空)をつくってはこなしています。ご連絡はs08628mh@gmail.c…

Haniho Minase / 水無瀬 はにほ

美術の授業(架空)をつくってはこなしています。ご連絡はs08628mh@gmail.comまで。

マガジン

最近の記事

自分を探しても探しても、

何かを表現したいし、なんでもいいから表現できたら、 こころが、とっても元気になることはわかっている。 なんでもやってみればいいし、なんでもダイソーに行けばわりとそろう。 でもいざ、やろうとすると、何もでてこないし、何も浮かばない。そんなもんだ。 表現しないと生きていけない。ってほどではないんだ。そういうひともたくさんいると思うけれど私はそうでもない。 だからといって、それをしないで一生を終えると思うと、かなりくすぶった気持ちになるし、焦る。何か、手段を見つけなきゃあ。と、と

    • 山小屋の妄想

      頂上にある山小屋っていったらどんなん想像する?ぶっとい丸太が積み重なった、三角屋根のワンルーム。3匹のこぶたにでてきそうなやつ。そればっかり想像する。電気は通ってなくて天井近くに錆びたランタンがかかっていて、入り口のちょうど裏側に井戸があるから水はそこからくんでくる。 って生まれてから今まで当たり前みたいに思っていたけれど、山に登ってわざわざ行きたくなるような山小屋を想像してみよう。 まずソファが広い。広すぎてもはやひとつの部屋じゃん。ってくらい広いソファ。いろいろな色の

      • 無題

        来世あんたは蚊になるよ。ってなにもそこにこれといって意図はなくただ淡々と言われても、ふーん。蚊かー。あんまり早くは飛べなさそうだなあ。浮遊。って思いながら玄関のドアを閉じて、靴をぬいだ。お気に入りの革靴だから、ささっと玄関の棚に置いてある小さなブラシで撫でてから部屋にはいった。それさえもちいさなライムの習慣でそこに意図はない。 ライムの得意なこと、それは、歯磨きをしながらあたまの中まできれいにすることである。これは訓練してできるようになったわけではない。ただしそれをやるまで

        • なんやかんや(33分探偵のやつ)

          私の完璧なゆるくてたのしくて最高な妄想がこころを躍らせて、 その勢いで現実を1日生きたら、その可愛いこころがあっというまに疲弊してしまって、 妄想と現実のギャップを受け入れられず丸1.5日ふさぎこんでいた。 けれどもう34年生きてる。そのまま現実逃避しつづけることを選ばなかった。アコースティックギターがあってよかった。今年の3月だった。初めてギターを触ったのは。そのときの詳細をもうあまり思い出す必要がないほど、私の指や爪はアコースティックギター用に変化している。始めたきっか

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        • 通りすがり
          13本
        • フィクション
          4本
        • 映画、漫画、本
          5本
        • 12本

        記事

          無題

          tamatebako. その名も玉手箱。ときたもんだから、中から何がでてくるのやらとこころを躍らす。炊き立てのお米、雨の後の濃い緑、研いだばかりの包丁で切った青リンゴ、みつばちがせっせとみつを調達しにいく場所にうわっと集まる三つ葉の群れ、でっかい竹炭がすっきりさせた冷蔵庫の3段目、7時から9時半までだらっとちゃっかり太陽から栄養をもらったタオル、いろんないろんなにおいが詰まっている。丁寧に絹が張られていて、触り心地もばつぐんだから、閉じたままお守りにすることだってできる。そん

          マウス(not animal)ってなんて謙虚な存在

          つらいつらいつらすぎる。現実を生きるのって本当に大変。 仕事を1日して帰ってきたら、もうあっというまにこころがおしまいになっていた。おしまいになるとは、使い古してぼろぼろになりもう捨てられる目前のぼろ雑巾のようになること。 別に過度な労働をしいられているわけではない。 私が今選んでいる仕事とは、ひたすら現実をかたどっていくようなもの。受け手には、「ひとつしかない正解」や「緻密さ」を届ける。空想の世界とは相反する。ものづくりって実はそういう一面もある。そういう一面だけじゃないも

          マウス(not animal)ってなんて謙虚な存在

          マスターオブピース

          そういえば日記をかいていたなあ。インターネットの中で。 色味ひかえめでそろえた3種類のお花。灰色がかった水色、ランドセルに貼るシールみたな模範的な黄色、そして小さな花びらが散らばったかすみ草。 窓辺にかざったその花たちに、4歳の息子はすぐ気が付く。ああ豊かだなあと思う。気づいてほしくて飾ったわけではないのだそれはもちろんのこと。お花を持ち帰りたくなった余裕があっただけのこと。それでも生けたことに気づいてもらえたときの、華やぐ気持ちは格別だ。花たちだって喜んでいるよ、と今こう

          春をよぶ ささやかな声で

          7年でひとの細胞はぜんぶ生まれ変わるんだよ 3年かけてまるですべすべだけれど指に心地よいマットな質感のマグカップにぬるくなった甘さひかえめのミルクティーを注いで飲んでいるときのような安心、みたいな関係を築いた友人が教えてくれた。 うん、別のにんげんだ。まったく入れ替わっている。細胞からすべて。 だからあえてまた、書き始めることに決めた。 うっすらと、私と世界のあいだに確実にあった膜は、いつのまにかなくなった。すべてがはっきりと目の前にあり、現実との意思疎通がものすごく、

          春をよぶ ささやかな声で

          ティンブクトゥ をよみました

          ウィリーとミスター・ボーンズ。 詩人と老いぼれ犬。ひとりと1匹。 誰かと誰か、何かと誰か、何かと何か……物語のなかで展開される1対1の関係性、にともなう奥深さやキテレツさや圧倒的な愛の量などの描写が私はすきなのだが、この関係は、キテレツさ故に愛が際立っていた。こんなペアに出会ったのは初めてです。 ティンブクトゥ Paul Auster 以下ネタバレ有りの短き感想です。 詩人であり、とりまく現実に適応しきれない変人であり、いわゆる駄目人間であり、心はサンタ見習いであり

          ティンブクトゥ をよみました