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2つでひとつ、1つでふたつ|長野県茅野市尖石縄文考古館

立春はとうに過ぎ、春一番はいつだったか。
気づけば河津桜の開花の便りが届くこの頃です。
とはいえ、食卓にはまだまだ冬の装い鍋料理。
既に一通り食している今、何鍋にするか頭を悩ますことも多くなってきました。

こんな時、決まって頭に浮かぶのがこの縄文土器です。

双口土器そうこうどき

豊かな造形で知られる長野県の縄文時代中期。特別な存在に違いなさそうな、ちょっとミステリアスな土器が作られました。

約5000年前の長野県~山梨県にまたがる中部高地。これでもか!というほど装飾のある土器が作られていました。

ヘビやカエルらしきもの、沢山の渦巻に規則性のないうねり…まるで競うように土器に盛られた文様の数々。

どれも祭祀の際に使われた、儀礼用の特別な土器と考えられているものです。

そんな中にあって、シンプルでありながら不思議な土器が生み出されました。

ずっと見ていると「顔」に見えてきます

2つの土器はほぼ同じ大きさ形。
その2つが「合体」したようです。

そして最大の特徴は、
それぞれが完全に独立した「個別な土器」であるということにあります。

双口土器そうこうどき」と呼ばれるものは他にも存在していますが、その殆どは下半部が通じていると言われています。

形だけではなく、全体に施されてる「縄文」も同じ。

同じ形、同じ文様の2つの土器が、ピッタリと澱みなく繋がっています。

何故、1つにしなくてはいけなかったのか。
何故、完全に融合することなく、それぞれが独立しているのか。

例えば、男と女、精霊とシャーマン…
祭祀で行われていたのは、いったいどんなことだったのでしょうか。

そして、ここに入れられたものは?
ニワトコの実で作られた縄文ワイン、それとも?
もう一方は?

私がこの時期にこの土器を思い浮べるのは、
火鍋やしゃぶしゃぶ料理店にある、一度に2つの鍋料理ができる「仕切りのある鍋」を連想するから。
でも、この土器はそんなに単純なものではないようですね。

1つであって、でも実は完全に別。
これは、いったい?

参考資料
縄文アートを旅しよう! 求龍堂

最後までお読みくださり有難うございました。



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