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色んなものがつまっているサーターアンダギー

先日沖縄旅行に行った知人から、お土産にサーターアンダギーをいただきました。
久しぶりのサーターアンダギー。表面はカリット、中はシットリした沖縄風ドーナツは、素朴な美味しさで私の大好きお菓子の一つです。
ようやく自由に旅へ行くことが出来るようになったなぁという感慨深さと、数年前に行った沖縄のどこまでも青い空と海が相まって、今までよりもより一層美味しく感じられそうです。

「蒸し暑かった」という沖縄、
一方、梅雨入りした東京は梅雨寒が続いています。

上着を一枚羽織って私が訪れたのは、
まれびとと祝祭 祈りの神秘、芸術の力」展。
各地の伝統的な民俗行事の写真や映像と数点の造形物は、現在活躍中の写真家:石川直樹と、芸術家:故岡本太郎という二人の視点で構成されています。

企画展の写真はNGだったので、
持ち帰ったパンフレットの写真です。

「まれびと」とは、あまり聞きなれない言葉ですが、なんとなくニュアンスが伝わってくるように思えないでしょうか。

まれびと 民俗学者であり国文学者であった折口信夫が提唱した概念です。祭祀などに、超現実の世界から現実の世界を訪れて、またもとの世界に帰っていくという、人間を超えた存在としています。

パンフレットから一部抜粋

このまれびと=人間を超えた存在が、全国各地で様々な姿形になって現れる郷土の行事の様子を、写真、映像から見て取れるのが今回の企画展です。

様々な民俗行事の中で全国的に良く知られているのが、秋田県牡鹿半島のナマハゲではないでしょうか。
鬼の仮面をかぶり、藁の衣装をまとった神の使いが、「怠け者はいねが~、泣く子はいねが~」と大晦日の夜にやって来ってくる。
子どもが大泣きしている様子を、テレビなどで毎年のように見ますね。

このナマハゲと共通点が多い行事が、東北地方中心にいくつもあることを知りました。
同じ秋田県の能代市浅内のナゴメハギ、にかほ市象潟町小滝石名坂のアマノハギ、山形県飽海郡遊佐町吹浦女鹿のアマハゲ、新潟県村上市大栗田と、石川県輪島市門前町皆月のアマメハギ

ここまで聞くと、ナマハゲをはじめとして、~ハゲ~ハギという似たような語尾が気になりますね。
早速、調べてみました。

冬に囲炉裏にあたっていると手足に「ナモミ」 「アマ」と呼ばれる低温やけど(温熱性紅斑)ができることがある。“それを剥いで”怠け者を懲らしめ、災いをはらい祝福を与える〟という意味。
「ナモミ剥ぎ」から「なまはげ」 「アマハゲ」 「アマメハギ」 「ナモミハギ」などと呼ばれるようになった。

Wikipediaより抜粋

寒い地方ならではの生活から生まれた言葉なんですね。
関東で育った私も、幼い頃に炬燵からなかなか出られなかったことを思いだします。

ナマハゲなどが主に東北のまれびとが訪れる代表的な年中行事としたら、
沖縄をはじめとする南方にも多くのまれびとが存在していました。

フサマラー(沖縄県八重山郡竹富町波照間島)
かつては雨降らしの神とされていたそうですが、現在は豊穣祈願やお盆の先祖供養に、仮面を付けて仮装行列する行事となっているそうです。
八重山地域ではこのような仮面来訪信仰があり、同じような民俗行事としてミルク、アユンガナシなど、ちょっと変わった名前がつけられている行事もありました。

ボゼ(鹿児島県十島村悪石島)
お盆の最後の夕刻に、異形のお面をかぶり、ビロウ(ヤシ科の植物)の葉を羽織り、ボゼマラという棒を持った人が、村人が集う広場に現れ女性や子どもを追いかけまわすものです。ボゼマラにつけた赤い泥を擦り付けることで、邪気を追い払い幸せをもたらすとされているそうです。

パンフレットを拡大したものです。

想像性豊かな仮面と南国に自生する植物で作られた装いが、独特の精神世界を表しているようです。

まれびとは、「追い払う」ー「もたらす」という両義性を持つ人間を超えた存在として、「邪気を払い、無病息災、豊穣を祈る」という人々の願いを受け入れた存在だったようです。
その存在は様々な姿形で全国各地に現れ、人々はその存在を畏れ敬い、地域の人々と共に大事に守ってきたことが分かりました。

サーターアンダギーの語源は、
沖縄の方言で、サーター=砂糖、アンダー=油、アギー=揚げる、という意味とのことです。
もともとは、祭礼の時などに作られたお菓子だそうです。

かの地でも、地域住民が一緒に育んできた伝統行事にまれびとが存在し、そういった行事を協力して行うことで結びつきが強くなり、共に喜びあったり、助け合ったりして生活を営んできたと思われます。
まれびとの存在を信じることは、厳しい時も乗り越えられる、生活の知恵の一つであったもかもしれません。

科学では割り切れない存在を畏れ敬うこと、こういう時代だからこそ大切にするべきなのかもしれない、と考えさせられました。

最後まで読んでいただき有難うございました☆彡

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