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【展覧会】鴻池朋子『ちゅうがえり』アーティゾン美術館

新型コロナウィルスの影響でなんだかんだと、
8ヶ月以上も美術館から遠ざかっていましたが、
久々に行ったのが、この作品展でした。

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ジャム・セッション 石橋財団コレクション×鴻池朋子
「鴻池朋子 ちゅうがえり」
アーティゾン美術館
2020年10月25日[日] まで  10:00 - 18:00
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鴻池さんの作品を鑑賞したのは、今回が初めてです。
全体として、自然と人との様々な関係性を感じる世界観が、
印象に残りました。

例えば、捕獲されて鞣され、吊るされた動物の毛皮からは、
何か、人間の利己性や残虐性と、獣の野生性と凶暴性との対峙、
のようなものを感じたのですが、
同じような毛皮を、マントのように纏って、
雪に覆われた山間の川をカヌーで行く映像では、一転して、
人間が動物の力を借り、寄り添ってもらうような温かみを感じる。

整備された自然もどきの自然ぐらいしか、
関わったことがない私からしたら、
全体に、両者はだいぶ密接な関係性にも見えましたが、
取り立てて怖がるでもなく、踏み込むでもなく、
まずは身を委ねて、向き合って対話しているような?
そしてそこから、宇宙の摂理へと視点が広がっていく、
そんな風にも見えました。


アーティゾン美術館自体、リニュアルされたこともあって、
空間の使い方や考え方など、展示の選択肢が、
より広がったのでは、と推測するのですが、

インスタレーション、絵画、オブジェ、映像、もろもろが、
ひとつのコンセプト(世界)を形づくるために、
個々の役割を果たしている。
それは、空間自体とも密接な関係を持っていて、
場所(美術館)が変われば、すべての空気が変わる。

作品と空間のリンク感をより強く感じる、
言わば、空間まるまるがひとつの作品。
この配置やこのセレクションで、この場所以外では、
二度と観られないかもしれません。

そんな、ここでしか味わえない空間としての展覧会の、
そのダイナミズムに惹かれます。

そうそう、そういう展覧会を観るたびに、
その偶然性を密かに喜んで、ワクワクしているんです(笑)

しかし、鑑賞して体感して感じた事どもを、
自分の経験や知識や生活圏内だけでは、
咀嚼しきれていない部分もありました。

この感情や疑問やモヤモヤを何とかしたくて、
可能な限り、ピンとくる答えの片鱗を探し出すべく、
考察やリサーチ(まずはネット検索とか…)してみるのですが。

解説を見つけたところで、明確な答えはもちろんなくて、
答え的なものが見つかったとしたら、それは、
自分の思考回路や、物の捉え方の傾向、
が解ったかもな〜という別の着地でした…。

そんな中で、作品の傍に貼られている文の中に、
こんなタイトルのものがあったことを思い出しました。

「見る人よ何を見ている」

作品を通して見えるものを、
鑑賞者に委ねてくれている側面を感じつつ、
結局は、自分の器以上には、ものは見えないよな〜と。

思考停止してしまわないように、
自分なりに進化していきたいもんだなと、思いました。

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