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マレーシア旅行記 ❃ ブルーモスクを訪れて学んだイスラム教のこと

世界のニュースがパレスチナ問題一色に染まってきました。長年に渡り、現在まで続いているこの争いですが、遠い国同士の内戦だとしか思っていませんでした。

先日、私の住むマレーシアでもデモがあったようです。これを機に、というのも遅すぎますが、今ちゃんと自分で知ろうせずしていつやるんだと思ったので、実際にイスラエルとパレスチナ間で今何が起きているのか、それぞれの歴史的な関係性について、それから、この問題に大きく関わる宗教史についてからもまず少しずつ調べています。

そこで、今日は1年前からずっと書きたかったイスラム教についてモスクで学んだことや、マレーシアの人たちに実際に聞いて知ったこと、「信仰心」とは一体どういうものなのかを私なりに感じたことを文字に起こそうと思います。


イスラム教とは

ユダヤ教、キリスト教に次ぐ、世界三代宗教のひとつです。これら三代宗教は全て唯一教、一神教と言われており、イスラム教においてはアラブ語で「神」という意味を持つ「アッラー」という神様を信仰しています。
一方で、多神教ヒンズー教や道教・神道などは多神教とされ、仏教は無神論的な宗教であるという説もあります。

Who is ムハンマド?

「誰だかよくわからないけど、名前はよくきく」という人が多いのではないでしょうか。ムハンマドは「神」ではありません。さきほど書いたように、イスラム教は一神教なので、神様はひとり。ムハンマドは10月9日生まれの元商人で大天使ガブリエルに「神からの言葉を暗唱しろ」と命じられた「預言者」です。
大天使ガブリエルの登場については、三代宗教が誕生した経緯について中田敦彦さんのYouTube動画で(宗教史①と②があります)とてもわかりやすい解説があるので、ぜひご覧ください。

イスラム教徒における礼拝

早朝・正午・午後・日没後・就寝前の1日5回お祈りの時間があります。
マレーシアに来てからたまたまモスクの近所に住んでいるのもあり、毎日耳にすることになった「アザーン」ですが、ずっと勘違いしていた点についてWikipediaに記載があったので引用します。

ユダヤ教のラッパ、キリスト教の鐘と同じような役割をしているが、肉声で行われることに特徴がある。アザーンは礼拝への呼び掛けであって、コーランの朗誦ではない。

Wikipedia

カセットテープか何かで定刻になれば放送されるのかと思っておりましたが、モスクの生放送の音が漏れて自宅まで聞こえてきていたのですね。
また、コーラン(イスラム教の聖典)の朗読ではないとのこと。「えぇ?でもコーランを読んでるんだよね?!」となりました。

また、1日5回もモスクに足を運んでお祈りをしている方というのは、マレーシアのイスラム教徒であってもなかなかいないようです。そんな時は、5回のうちのお祈りする時間によって回数や唱え方を変えているようで、例えば朝はみんな忙しいから2回読み上げるだけでいいけど、声は張らなきゃいけないだとかで微調整をかけているようです。
また、中田さんの動画にもありましたが、ユダヤ人しかユダヤ教徒にはなれん!という厳格なユダヤ教から派生したキリスト教を経て生まれた宗教なので、(その他のルールももちろんありますが)極論お祈りさえすればいいというのも融通がきく宗教だそうです。

モスクについて

Sultan Salahuddin Abdul Aziz Mosque

マレーシア、シャーラムにあるブルーモスクの場合は、全体敷地で約3万人収容可能で、モスク内であれば廊下や階段でお祈りをしてもOKだそうです。

ドレスコードとお清め

男女ともに肌を見せるのは禁止です。また、女性は髪を隠さなくてはいけないので、ヒジャブと呼ばれるスカーフのようなものを被ります。
ブルーモスクやプトラジャヤにあるピンクモスクなどの観光スポットは無料で貸し出しがあります。

日本で、神社参拝時に手を洗ったり口をすすいだりするように、モスクにもお祈り前のお清めがあります。ただ、イスラム教の場合は肌が見えている部分はすべてなので、男性の場合は耳の裏や穴まで入念に洗います。

これはちょっと笑っちゃったんですが、お清めをし終わった後にオナラをしてしまうと、一からお清めをやりなおさないといけないそうです。モスクに行った際に英語でのガイドだったのと、ガイドさんが「プッ」と表現したので、実際オナラなのかウンチなのかはよくわかってませんが、多分ウンチの方もNGでしょう。お手洗いは緊急時を除いては事前に済ませておくのが◎

モスクでの礼拝

礼拝室の正面には、正面であることを標す入り口?のようなものがあります。これは、北西295度、つまりは聖地メッカの方角です。
仏教でいうところの大仏や彫刻など、拝みの対象となるオブジェは存在しておらず、神様が作り出したものに対して拝むという概念がありません。神様とは、目に見えない存在で、その目に見えない神様にたいしてダイレクトに拝むため、聖地メッカに向かってお祈りをしています。
イスラム圏の宿泊施設の天井には「キブラ」と呼ばれるメッカの方角を示す矢印があるようです。
全然気にしたことなかったので、次回マレーシア内でステイケーションする際にはチェックしてみようと思います。

モスクでお祈りできるのは原則男性のみ。女性もモスクに行くことはできるのですがその場合、未婚の場合は父親、既婚の場合は夫に許可を得たうえで参拝ができるようです。
「もし相談なしで行ったりしたらどうなるの?」とガイドさんに聞いたら「アッラーはそれで罰を与えたりしない。」と仰ってました。
礼拝室の全体の9割は男性ゾーンで、たまたま金曜日の正午にモスクの前を通りがかったら、屋台で食事をしているのがほぼ男性だったので、マレーシアでも基本的には男性がモスクに行く割合が高いのだと思います。

「アッラーは罰を与えない」とは言ったものの、イスラム教には天国と地獄という概念はあるそうです。そして、天国に行けばみんな33歳になれるようで、これは預言者ムハンマドが天に召されたのが33歳だったからと言われているようですが、ガイドさん曰く「神ではなく預言者の話だからそんな気にしてない」とのこと。(えw)

ポイント制度のイスラム教

これは正直私もまだ理解していないのですが、モスクでお祈りしたら27ポイントがもらえるようです。意味がわからなすぎてマレー系の友人に聞いてみたところ、厳密にはポイント制度ではないらしい(?)
そもそも、なぜモスクでお祈りをするのが良しとされるのかというと、イスラム教ではコミュニティーや兄弟愛・団結を大切にしているから独りぼっちじゃなくみんなでやるといいという考え方があるようです。
なぜ27なのかはわかりません。。。25っていう説もあるので、もしご存じの方がいたら教えてください!女性はお家でお祈りをするので基本的に1ポイントしかもらえないのですが、父親やパートナーがモスクでお祈りしたらその女性にも27ポイントもらえる仕組みになっているようです。

モスクの建築デザイン

観光地として人気のモスクですが、その理由はあの圧巻の美しさにあると思います。
内装を飾るデザインは、イランやエジプト、トルコなどその他のイスラム圏から取り入れたものもあり、ピンクモスクでは2階にある木製の柵がマレーシアのデザインだそうです。

また、ブルーモスクでは説明がなかったので見落としていたかもしれませんが、ピンクモスクは礼拝室をぐるりと囲うアラビア文字があります。これはコーランの一説(49章)が書かれているみたいですね。

パノラマモードで撮影した礼拝室

49章の内容は意外と長かったので こちら のサイトを参照してみてください。Wikipediaでは「12節には、陰口を叩く行為を否定的にとらえた記述がある」という記載もあります。

ここからは私自身の話なのですが、ブルーモスクのガイドツアーに参加した際に、その日の参加者たった2名である私と一緒にいた女性が日本人だったということもありこんな話をしてくれました。
「神戸にあるモスクは第二次世界大戦の襲撃を受けても、阪神淡路大震災の被害に遭っても、他の建物が全て崩壊してしまったにもかかわらずそのモスクだけは無事だったんだ」と。

どこのモスクの話なのか気になったので調べたら「神戸モスク」のことだったんですね。

建立は1935年で、イスラム教と縁遠かった日本の中で80年間もの歴史を刻んできた。 強運なモスクは、第二次世界大戦の神戸大空襲(45年)での焼失を免れ、阪神・淡路大震災(95年)も奇跡的に乗り切ってきた。

Google

度肝を抜かれたのは、私が「当時どういう建築のテクニックがあってそんな丈夫なモスクが作れたんですか?」と質問したら、「それはアッラーが守ってくれたからだよ」とガイドさんに言われた瞬間でした。

「あ、信仰心ってこういうことなんだな」と。
そんな質問をしてしまった自分が途端に恥ずかしくなりました。
いかに宗教を身近に感じることなく生きてきたか、またそういった「信仰心」が生きていくうえで人々にどういう影響をもたらしているのかを別の記事に書きます。


#nowplaying
今日はマレーシアのローカルアーティストを。


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