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【ラガー小言】オールブラックスまであと一歩!

国立競技場に6万5千人。新国立競技場では最も多い人数が集まった試合。天気は明朗、風も穏やか、日差しも緩やか。まぎれのない絶好のラグビー日和。

こういうコンディションの時は往々にして力の差通りになりがち。だから、今日の結果は、日本がオールブラックスの足元を救う可能性のあるところまで来ているということの証左か。

前半の前半は落ち着いてテリトリーマネジメントに努めていて、接点での当たり負けするような局面も少なく、クレバーな出だし。その中で、1つ目のオールブラックスのトライは、ディアンズのタックルミスから。いくらタウケイアホが強いと言っても、一発で弾き飛ばされてさらに加速されて前に出られては。

ここから、P G返したとはいえ、魔法のようなオフロードの連続のトライや、セブリースのノータッチエースのトライなどをみると、点差は開いてしまうのかな、、という感が。特に、前半の中盤からスクラムをオールブラックスが支配するようになっており、要所でしっかりスクラムでペナルティを取られるようになり、その辺りもちょっと暗雲が、というところ。ただ、接点でぐいぐい押されるとか、圧倒されるという力負けを感じる状況ではなかったところもあり、選手たちは3本取られても、そこまでやられた感はなかったのかも。

ムードが変わったのは、前半30分すぎ、連続攻撃で自陣から攻めてきたオールブラックスに対して、22m付近で姫野がジャッカルをしたところ。そこからディアンズのラン、さらにライリーのキックを相手が処理ミスしたところを、山沢が絶妙なドリブル。強さ、方向、しっかり自分に入ってくることを意識したコントールキックに見えました。一瞬のことだけれど。

このトライで、一気にムードは変わりました。「やっぱりオールブラックスには太刀打ちできないのか」という雰囲気が出始めていたところに対して、国立の6万5千人が「あれ、意外と行けるかも」というムードに変わっていきました。

その空気が確信に変わったのは、ライリーのスーパープレーですね!溢れそうなボールを柔くキャッチしてからの、一瞬のスピードでセブリースを引き剥がし、捕まってからの美しいオフロード。彼が日本のフロントスリーのエースであることを証明する動きでした。

前半が4点差。よくある、出だしでポンポンと取ってそのあとしっかり回しを取られて寄り切られてくる、という感じではなくて、前半の30分過ぎからしっかり逆襲を仕掛けて追いついていくという流れに、大きな可能性を感じさせます。


後半は、20分過ぎまで、まずしっかりついていけるか。そして、そこからのラスト20分、勝ちにくる本気のオールブラックスを引き出したいところです。

が、その後半の出鼻を持っていったのは、クラークでした。。強い。。単に1人で走って吹っ飛ばしてトライを取りました。サイン、クラーク、というところですね。こういうところに無敵のウエポンを持っているのが世界のトップですよね。。

ただ、大事なのは、その後、スクラムを制してペナルティをとりゴール前に迫るオールブラックスが、F Wの近場にこだわってゴリゴリやってくるところを、しっかり堪えて最終的に姫野のジャッカルで凌いだところが、今日は一番、日本代表の「成長」を感じました。後半15分あたり。こういうところで、「圏外」に持って行かれて、そのままずるずる行くような試合をたくさん見ましたが、ここでジャッカルで堪え、そしてその流れから、ディアンズの神がかったチャージという名のボール奪取でのトライが生まれ、もう一度4点差に。

ただ、今日は前半の途中からスクラムを完全にコントロールされており、結局そのペナルティが試合の勝敗を分けたポイントになりました。スクラムが5分だったら、トライは1つくらいは減らせただろうと思います。

再度11点差に離されてから、レタリックのレッドカードがあり、かさにかかりたいところ、そういうムードになりましたが、ここからのゲームメイクはさすのが百戦錬磨のキャップたち、というところで、うまく時間を使われました。スクラムでペナルティをとりにいく、モールでじっくり攻めて時間を使う。きっちりと試合をコントロールして、勝ち切るというところにシフトしていっていました。こういうところは、日本代表には、まだまだ及ばない境地かな、と感じます。

最後、今日は大復活と言っていい姫野が、相手のポジションどりの一瞬の隙をついて(あれは、23番が動いたのを見ていたのか?たまたまか?)4点差に迫りましたが、そこからワンプレーでもう1本取るというのは流石に難しかったです・・・そこは、オールブラックスが「慌ててなかった」ですね。
なんと言ってもオールブラックスは、レッドーカードで1人少なくなってから、攻められながらも、自陣でのペナルティがほとんどなかったです。こういう時こそ、規律をしっかり守って戦い続けるところ、その意志が素晴らしい。

31−38。トライ数で4−5。ペナルティが日本が12でオールブラックスが6。ハンドリングエラーも日本が倍。その状態でよくこの点差で試合を終えられたもので、これは、つまりは、局面局面で、日本もスーパーなプレーがあって、しっかりとそれをトライにつなげられている、ということでしょう。

勝ってもおかしくな内容で、得点を取ることについては、このオールブラックスに対しても十分できる、30点を超えるわけですので、十分力がついているように見えます。特に今日は、ディアンズ、姫野、タタフの3人が強力でした。バックスでは、ライリーが際立つのと、松島の安定感もいいですね。あとは、山沢は、1試合見てみたいですね。。今日の出来は素晴らしかった。クレバーだった。ボールを持った時、一歩前に必ず出て、前を見る、このスタイルをきちんとオールブラックス相手にもやれていて、後半になればなるほど、彼自身が決定的な仕事をする場面があったのではないかな、とも。

このあとイングランドとフランスと戦います。もう、ここは、今日完敗だったスクラムがなんと言っても大事でしょう。今日は故障明けの具を引っ張りすぎにも見えます。(何か理由があるのかもしれませんが)オールブラックス以上にここに勝負をかけてくるでしょうから、今日のような出来だと、試合がそこで崩壊します。ラインアウトは今日はよくプレッシャーをかけられていました。やはりディアンズがいることが大きいように見えます。(ワカもぜひ戻ってほしい、、)
ですので、スクラム。ここで5分に戦えれば、イングランド、フランスとも接戦を張れるはず!!


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