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それぞれの暁

明日を拒む心を蝕む残酷な夜明け前、
最も命を脅かす時間だろう。

僕が膝から崩れ落ちたのは、いつも暁だった。

越えられる壁はある、でも越えられない壁もある。
越えられない壁に直面した事の無い人は言う。

「  」と。

狂気の果ては虚無の救済だ。

泣ける内に手を伸ばしてくれないと掴めない。
冷たくなってしまった手をどんなに握りしめても、
もう温もりはともらないんだ。

人は時に、手を伸ばせない事情を持つ事もある。
時に耐えきれない苦悩に苛まれる事もある。
時に受け止めきれない絶望に挫ける事もある。


誰だってあるさ、そんな事。
みんな我慢してんだよ。

果たしてそうだろうか。
人は皆、違う時間を生きている。

壮絶な経緯を経たとして、
壮絶な出来事に直面したとして、
それは十人十色で、
また受け止め切れるキャパシティも、
耐えられる強さも十人十色だ。

僕らは他人に対してあまりに無知なんだ。
それを自覚すべき必要がある、
かく言う僕も足りていない。

穏やかな夜、気怠い朝、
平穏な日々、何気なく過ぎていく歳月、
そんな当たり前が、
誰しもにとって当たり前じゃなかったりもする。

願わくば、誰しもが希望の夜明けをと祈る。
共に暁のその先へいけたらと。

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