「REBEL MOON: パート1 炎の子」感想(ネタばれ有〼)

ザック・スナイダー監督の「REBEL MOON: パート1 炎の子」の感想です。
Netflixでロケットスタートを切った!という記事が出ていましたが、はたして。


あらすじ

舞台は、巨大帝国・マザーワールドが支配する銀河。
主人公コラが、食料を強制徴収されそうになっている村を救うべく仲間を集め、帝国に立ち向かう。
※全2部作でパート2も既に2024年4月19日からNetflixで配信されています。

あらすじを読んだ時点で「七人の侍」まんまやないかい!という気がしますが、それもそのはず、監督が「スター・ウォーズ」と「七人の侍」等からインスパイアされた作品だと記者会見で語っております。

総評

★★★☆☆
ムムっと思うところはありますが、ザック・スナイダーらしい決め絵あり、フレッシュな表現ありでおもしろく見れました。
しかし、次作どうするんだろう?という疑問は残ります。
詳細(注:ネタばれ含む)は後述します。

「スター・ウォーズ」が過ぎる序盤

※この章からネタばれ含みます。

コラ(主人公)が暮らしていた平和な村に突如帝国が現れ、○○までに小麦を○○Kg提供しろ!と一方的に要求を突き付けられます。
抵抗した村長はその場で無残に殺されてしまい、村人達は仕方なく従いますが、ある出来事をきっかけにコラは村を監視するために残っていた帝国の軍人を殺害してしまいます。

ここから別の星をまわって仲間を集める旅が始まるわけですが、この辺りは「スター・ウォーズ 新たなる希望」のそのままです。
まったく同じといっても差し支えないでしょう。
うん。同じだ。
まず、村には宇宙船がないので辺境の酒場で宇宙船を持っている人物を探すのですが、もちろん、酒場=カンティーナだし、宇宙船を持っている人物=ハン・ソロです。
酒場に入った直後の「いろんな宇宙人がいますよ」カットもしっかり踏襲していて、オイオイと思うことも。
ま、いいんだけど。いいんだけどさ、ザック。

でも、出てくる宇宙人にはオリジナリティがある奴もいたし、そこまで気にしなくてもいいかもしれません。(※個人の感想です。)

次作どうするんだ問題

この作品を見てあらためて認識したのは「七人の侍」の設定の持つ魅力についてでした。

設定はほぼ同じで、圧倒的な戦力差がある野武士(野武士)に対して、アンダードッグの侍(戦士)と農民たちが協力し、知恵と工夫で立ち向かう…という話です。
しかし「七人の侍」の持つ魅力を次作で発揮できるのか?という点については疑問が残ります。
私の考える「七人の侍」の設定上の魅力は以下3点です。

  • デコボコチーム感

  • 侍と農民の軋轢

  • 戦力差をひっくり返す工夫

続・次作どうするんだ問題 デコボコチーム感

ご存じの方が多いと思いますが「七人の侍」の侍は最強の7人ではありません。
知略に長けた者、剣術に長けた者、侍のふりをしている者(実は農民)、ムードメーカー…さまざまなキャラクターが集結してチームを構成し、それぞれの特徴を生かし、それぞれが補い合って圧倒的戦力差をひっくり返すところにカタルシスがあるわけです。
(いろいろな部活のすげーやつを寄せ集めたメンバーで、県内最強のサッカー部に挑むような感じです。ロバート・アルドリッチ監督のロンゲスト・ヤード的な。)

一方、本作で集まってくる戦士は

  • 猛獣使いの元王子

  • 最強の剣士

  • アル中の剣闘士

  • 傭兵部隊の隊長

など「なんとなくすごそう」なメンバーで構成されています。
次作でそれぞれの人物をさらに描きこんでいくのだと思いますが「七人の侍」序盤の仲間集めのシーケンスのワクワク感には及ばないし、次作でそこを補完できるのかもちょっと怪しい。
さらにいうと、最強の剣士(ぺ・ドゥナ)の登場シーンで、蜘蛛の化け物と戦うシーケンスがあるんですが、まぁまぁ苦戦しているように見えて、すごいのかすごくないのか、正直よくわかりませんでした。
あの蜘蛛が実はすげー強いのかな?
ライト・セーバー 刀身が赤く光る剣はかっこよかったけど。

続・次作どうするんだ問題 侍と農民の軋轢

「七人の侍」では、侍は農民を下に見ているし、農民は侍を恐れています。
この「身分の異なる者たちが結託して敵に立ち向かえるのか?」というところにドラマがあるわけです。
※ここで、三船敏郎が演じる菊千代(侍のふりをしている者(実は農民))が活躍します。

一方、本作ではいまいち農民と戦士たちの立場の違いがわかりません。
そもそも星も違うし、帝国に虐げられているという意味では同じだし。
農民と戦士たちの関係性についてはあまり語る余地がなさそうですね。

続・次作どうするんだ問題 戦力差をひっくり返す工夫

これは簡単にいうと「戦力差ありすぎ問題」です。
「七人の侍」では野武士は鎧、馬、銃を持っていますが、田んぼを水で満たしてしまえばぬかるんで入ってこれなくなるし、バリケードをつくれば足止めもできます。
このため、村の見取り図を片手にあれこれ作戦を立て、それが本番でうまく働くのか?というおもしろさがあるわけです。

一方、本作の農民は「七人の侍」と同じくクワとかナイフのレベルの武器しがありませんが、帝国側は宇宙船、戦闘機、重火器等々を持っています。
そもそも工夫でどうにかなるレベルじゃないのでは?というのが一番心配しているところです。
まだ「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」のエンドアのように地形が森だったりすれば宇宙船とか戦闘機を無力化できる気がするのですが、普通の平原ですからね。
戦闘機と重火器であっさり蹂躙されるとしか思えないんすが、どうなるんでしょうか。

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