見出し画像

「福祉」より「フクシ」のがカッコ良い

「福祉」「フクシ」
福祉ってなに?そんなふうに思う人がまだいるのかもしれない。
わたしも福祉とは無縁の人生を歩んできた。

ある日わたしは小さな病気をして入院しなければならなくなった。
元気になってからの入院生活ほど苦痛なものはない。
でもそんな生活が私に「フクシ」の存在を知らせてくれた。

同室だった、確か名前はセツコさん。
よく喋るおばあさんである。
セツコさんと話をして過ごすのは決して楽しいことではなかったけど、入院生活で孤独を感じていた私にとっては、温かくてほっこりする時間であった。
そんなセツコさんがある日退院することになった。
いいなぁ〜。
そう思っていた私とは違い、セツコさんは悲しげな表情で言う。
「ここを出たくない。帰る場所がない。私は邪魔者扱いされるのよ。」
セツコさんのあの悲しくも怖い表情は今でも覚えている。
ただ、同室になった、暇な時に話をするおばあさんでも、私はセツコさんの力になりたいと思った。

よく思い返せば、セツコさんのお見舞いにはほとんど誰も来なかった。
きたとしても娘さんらしき人が必要なものを持ってくるだけ。会話もないどころかセツコさんが話しをしていてもほとんど無視してるような感じであった。
暇な私は他人の会話を聞くのが楽しみであったため、よく覚えている。

セツコさんの気持ちが少しわかる。
でも私はセツコさんに上手な言葉はかける事ができなかった。
セツコさんもきっと私には助けを求めていなかった。
何もできないモヤモヤが私の中に芽生えた。

その晩に看護婦さんにそのことを話した。
そこで初めて知ったのが
「医療ソーシャルワーカー」MSWの存在であった。
その人が間に入りセツコさんと話をしていた。
どうなったのかはわからないが、きっとセツコさんを助けてくれたのだろう。

私はそこから「医療ソーシャルワーカー」と名乗るあのおばちゃんがすごくカッコよく見えて、何者なのか、どうしたらなれるのか調べた。
どうやら「社会福祉士」と言う資格が必要らしい。
社会福祉士の資格を取るためには福祉科の大学へ行かなければならない。

そんな感じで流れ込んできた福祉の世界。
フクシ職2年目。24歳。
アルバイトを含めると実はフクシ職6年目である。

そんな私が福祉の世界で出来ることは何か。
魅力たっぷりの「フクシ」はどのようにしたら社会に認められ広められるのだろうか。
そんなことを最近は考え続けている。

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?