【読書感想文】『京都の平熱』裂ける京都
鷲田清一『京都の平熱』を読んで
故郷の京都に、
東京や大阪のような派手さはない。
けれど確かにあの街、特に洛中周辺には
住民すら気付かない「奥」に通じる裂け目、
その切れ端がちらほら落ちていた。
地元としての京都。観光地としての京都。
上京後、割かれた見方による立体視にまっくろな奥行が映り込み、
徐々に孔自体も意識する。
しかし、途切れはあくまで非公式の闇玄関。
未だ「そこ」に辿り着いたことはない。
暗い廊下を渡る途中、居場所が分からず引き返す。
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