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オリガ・モリソヴナの反語法

こんにちは!くま子です。
本は毎日読んでいるのにアウトプットを怠る日々。

米原万里さんの長編小説
「オリガ・モリソヴナの反語法」

タイトルは?という感じですが話のスケールは大きく
長編ながら息つく暇なく話は展開していきます。

3年前ほどにキンドルで購入してから何度か読み返すお気に入りの1冊。

「踊りの先生のオリガは何者?フランス語教師エレオノーラとの関係は?
東洋的風貌の美少女ジーナは本当に彼女たちの娘なのか?」

この謎を解き明かすストーリーで最後までぐいぐい話に引き込まれます。

オリガがずば抜けて個性的。年は取っているけど年齢不詳、いつも時代遅れな派手な服に身を包み、だみ声で生徒たちを反語法をもって指導していきます。

踊りが上手くできない生徒には「こんな天才はお目にかかったことがないよ!」
反語法というのは、褒めているようでけなしてるという表現法。

子供の頃習っていたバレエの先生はオリガまではいかなくても
足をぴしりと叩くような厳しい先生だったっけ。

著者の米原さんは、実際にいた先生をモデルに当時の歴史背景も含めスケールの大きな謎解き物語に作り上げています。

「オリガは一体何者なのか?」
真実にたどり着くまでに何重にも話が交差するので私のシンプルな頭では少しこんがらがってしまう程。
登場人物のカタカナの名前がなかなか覚えられない。。。

ソビエト崩壊の激動の時代に強制収容所の描写は、過酷なのですが
なぜか明るさが漂う不思議な感じです。女性たちの力強さがそうさせているのかもしれません。

また米原さんの実体験が重ねられていると思われるチェコで過ごした多感な青春時代も面白かったです。
個人的には、踊れないけれどダンスを観るのが好きなのでダンサー業界の裏話も興味深く読みました。

自分の体験できないことを本は疑似体験させてくれる ありがたいことです。



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