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予感【詩/あとがき】

六角形の池のほとりに
僕は佇み
四角形に池を切り取る
僕は少し歪んだが
慌てずそれを矯正する
次は円形に挑み
からだを順応させようと試みる
そんなふうに僕は生きてきた

池の中で見つけたのはおたまじゃくし
リズミカルな尻尾の運動は
落ち着きのないメトロノームのよう
脳を刺激する
指が半拍遅れてリズムを刻み
セッションがはじまる
それは単なる電気信号が
快へと変換される瞬間だった

きっと
これからもずっと
僕はなにかに囚われながら
社会や他者の影響を受けながら
少しずつ変化していくのだろう

ときには
流れるような時間に抗い
さらわれまいと足を踏ん張り
消費した時間に名前をつけたり
生きた証に足跡を残したりして
人生に満足しているという
理由を用意するのだろう


窓からのぞむ空は
いつしか
紅掛空色べにかけそらいろに染まり
その青は脳の中にも静けさを展開し
必然のような偶然のくれないは心を振動させた

空は分刻みに変化し
気づけば
光の主役は橙となり
僕の部屋にも朝を知らせにきていた

遠慮がちに侵入したはずの橙は
角度を変え
強さを伴い
侵食域を増幅しようと
画策しはじめている

やがて
完遂した朝の光は
水槽にも到達し
半拍ほど遅れて
蛙が一匹
水槽から飛び出していった



【あとがき】

お読みくださりありがとうございます。

漢字が多い文章で硬い印象だなぁ、と少々反省しつつも、ひらがながおおいぶんしょうもそれはそれでよみにくいよねぇ、といろいろかんがえてみたり、なやんでみたり。

文章に限らず、何事も、ほどよい加減とバランスが大事なのでしょうね。バランスボールに座ったときみたいに。あのどっちつかずの感覚が、インナーマッスルを鍛えることにつながり、ひいては人間の芯をも強く成長させていくのかもしれない……この話の着地点を見失ったわたくしは今、たぶん目が泳いでいます。でも、水槽の中だから大丈夫。

***

世の中は理不尽なことが
当たり前のように存在するけれど
時間は前にしか進まない
そして僕という人間は一人しかいない
変化は必然か
それとも偶然か
あるいは成長を装った妥協か

***

人生を憂えているわけではありません。
ただ、世の中は知らないことで溢れているのに、知るための時間は限られている。
人生は期間限定なのに、期間限定商品を買い求めようと列に並んでいる場合ではないな、と思う今日この頃。
いろんなことを反省しつつ、このへんで失礼します。

貴重な時間をありがとう。


©️2023 ume15

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