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経営組織論と『経営の技法』#341

CHAPTER 12.4:Column パワー構造の変革の難しさ ①何が難しいか
 組織が変わることは非常に難しいことです。それは何もないところから組織を作るわけではなく、すでにある組織を変えていくことに大きな理由があります。なぜなら、組織が変わることでこれまで得られたものが得られなくなる人々が、変わることに抵抗するからです。
 その1つが、パワー構造と呼ばれるものです。たとえば、今までそれほどパワーを持たない事業分野において大きなビジネスチャンスができたとき、本来であればその変化に対処するための大きなパワーを付与して、組織全体でそのビジネスチャンスをものにすることが求められますが、実際には、なかなかその組織内のパワー構造を変えることは簡単ではありません。
 日本の歴史を見ても、明治維新であっても結局、その後の明治の世の中でパワーを持っていたのは下級とはいえ、武士階級にあった人々でした。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』287~288頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村修也・久保利英明・芦原一郎/中央経済社 2019)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 上記本文では、パワーが組織変革の障害になるとされています。
 けれども、明治維新の例を見ると、逆のことも言えそうです。すなわち、それまでのパワー保有者と若干異なる下級武士たちがパワーを持ち、武士階級が有するパワーを活用しつつ明治維新をやり遂げ、国家組織を変革しました。それまでのパワーを上手に乗っ取り、自分たちのパワーと合わせて変革を成し遂げたと見れば、組織変革にはパワーが必要ということになります。
 そうすると、組織変革する際にはパワー保有者を敵に回すのではなく味方にすることが重要、という整理も可能でしょう。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 明治維新の例では、武士にしろ下級武士にしろパワー保有者をコントロールするものがあれば、それがガバナンスの問題となります。
 通常の会社組織の場合には、投資家である株主が投資対象である経営者をコントロールする問題がガバナンスの問題となります。したがって投資家から組織変革を見ると、経営者がパワーを上手に使いこなせるかどうかを見極める、という問題になります。

3.おわりに
 次から、パワーが組織変革の障害になり理由が検討されますが、これも違った見方をするとパワーを使いこなすうえで留意するポイントが見えてくる、と言えるでしょう。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。

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