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経営組織論と『経営の技法』#297

CHAPTER 11.3.2:ネットワーク型組織の3つのタイプ
②小企業ネットワーク その4

 このような産業の地域的な埋込みが起こっている地域においては、組織間の密接なネットワークだけでなく、社会関係のネットワークも産地の成功には重要になるといわれます。産地が成功するには、単純に取引関係などのネットワークがあるだけではなく、それが閉鎖的でなく開放的なネットワークである必要があります。
 つまり、地域内にある特定の組織間での固定したネットワークだけではなく、人材や情報、アイディア、資本が存在し、それが人の移動などを通じてさまざまに結びつくことで、新しい革新が生まれてくることになります。そのためには、産地が1つのコミュニティとなるような地域の社会的関係のネットワークも必要となるのです。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』265頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村修也・久保利英明・芦原一郎/中央経済社 2019)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 小企業によるネットワーク型「組織」が成功する要因として、地域に開いていることが必要と指摘されていますが、これは、この「組織」の成長や変化のために必要なリソースを意味するからでしょう。状況の変化に応じて新しい能力や情報、技術などを取り込むなど、「組織」の硬直化を避けなければならないのです。そして、地域に根差したタイプの「組織」であれば、そのリソースはやはりその地域でなければなりません。
 そのために、地域からこの「組織」が認められていなければなりません。そうでなければ、地域から「組織」にリソースが供給されないからです。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 このネットワーク型「組織」に帰属する会社の経営者は、「組織」の維持発展に貢献する必要があります。巡り巡って自社の利益になるからです。そのためには、「組織」の運営にも関与し、閉鎖的で硬直化しないように働きかけていくことが必要になるでしょう。

3.おわりに
 構成員となる会社それぞれが力を出し合って「組織」を作る場合のイメージについて、経営組織論の観点から分析すると、いくつかの重要な要素が見えてきました。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


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