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経営組織論と『経営の技法』#232

CHAPTER 9.4 Column:プロティアン・キャリア ①意味
 伝統的なキャリアの考え方に対して、バウンダリレス・キャリア以外にもいくつかの考え方がキャリア論では示されています。そのうちの1つが、ボストン大学教授のダグラス・T・ホールによるプロティアン・キャリアという考え方です。
 プロティアン・キャリアは、ギリシア神話に登場するプロテウスに由来します。プロテウスは海の神ですが、何にでも変身できるという能力を持っています。このことから、プロティアン・キャリアは、変幻自在のキャリアと呼ばれます。
 プロティアン・キャリアでは、伝統的キャリアとは異なり、地位や収入ではなく個人的な価値に基づく心理的成功を重視するキャリアであることが特徴であり、やはり組織ではなく個人によって主導されるキャリアです。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』218頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村修也・久保利英明・芦原一郎/中央経済社 2019)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 バウンダリレス・キャリアと並んで、自分の責任でキャリアを考えるモデルの一つとして、プロティアン・キャリアがよく紹介されます。
 両者は、まったく別のものというよりも、それぞれのポイントを理解し、共通する点も理解しつつ、いずれも使いこなせることが重要です。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 従業員を使う側から見て、会社の与えるキャリアでは満足しませんので、扱いにくい面がある従業員かもしれません。
 けれども、地位や収入など、他の従業員と同じようなところで満足するのではないことから、うまく嵌れば他の従業員よりも活躍できる場がありそうです。

3.おわりに
 次回は、このプロティアン・キャリアの特徴とされるポイントを検討します。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


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