見出し画像

経営組織論と『経営の技法』#335

CHAPTER 12.3.4:4つの変化の操縦モデル ③まとめ

図12-3

 私たちは、組織とは合理的で安定的な存在であると考えがちです。
 そのため、組織を変えるということは、能動的にそして大きく変えなければならないと考えがちです。もちろん、それも組織変革のあり方ですが、能動的ではなく、受動的に組織が変革していくこともありますし、能動的であっても小さな変革もありえます。変革は変革それ自体が 目的ではありません。それらを長期的な成功をもたらす組織変革につなげることが、組織変革のマネジメントだと考えることが大事なのです。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』284~285頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村修也・久保利英明・芦原一郎/中央経済社 2019)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 ここでは、4つの大まかな分類の効能の1つを紹介しています。
 すなわち、変革だからと言って肩ひじ張らずにコツコツと取り組むことも可能であることを教えてくれたのです。
 これは、大げさに考えることでかえって問題を難しくしてしまうのではなく、負担や影響が小さいうちから変革を積み重ねていくという戦略があることを示してくれます。それだけ、会社組織に関する経営的な選択肢が広がりますので、小さな変革に注目する、という大きな視点が経営に貢献することになるのです。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 投資家である株主から投資対象である経営者を見た場合、これは経営上の選択肢を広げるだけでなく、その分経営者に求められる資質について1つの示唆を与えてくれます。
 すなわち、判断を先送りして大きな変革が必要になるまで放置するような経営者よりも、小さな変革にすぐに取り組む決断力や実行力が重要であることが分かるのです。

3.おわりに
 小さな変革も立派な変革です。
 むしろ、このような小さな変革の積み重ねこそ、それぞれの度に振り返り、より良い方向性を議論できますから最終的により好ましい結論になることが期待できそうです。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?