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経営組織論と『経営の技法』#286

CHAPTER 11.2.3:構造的空隙を作る ①構造的空隙の要素
 このように、低密度のネットワークを作ろうとするとき、それぞれの組織は、ネットワークという関係の構造の中で、ある特殊な位置を占めることが重要になります。ネットワーク論に基づいていえば、構造的空隙を作るということになります。では、構造的空隙とは何でしょうか。
 構造的な空隙は、①自分の組織が他の組織とどの程度構造同値であるか 、②自分がかかわりを持つ他の組織が、どの程度相互に結びついているか、という2つの要素によって決まります。
 このように定まる構造的な空隙を多く含んだネットワークを持つ組織は、ネットワークの中で優位な立場に立ち、行動や交渉を行ううえで自由度が高くなるのです。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』258頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村修也・久保利英明・芦原一郎/中央経済社 2019)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 会社組織内の問題で見ると、どのような従業員がリーダーシップを発揮しているのか、という問題になるでしょう。この観点で見ると、言われたことだけを忠実にこなす人よりも、自分の考えや意見を持ち、それを組織の活動に反映させようとしている人が、結果的にはリーダーシップを発揮していることが観察されます。何が原因で何が結論なのかという問題もありますが、会社組織内でも、上記本文の分析したとおり、主導権を取るためには空隙が必要と言えそうです。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 会社外の関係で見ると、主導権を取るためには依存度を下げるべきことを先に検討しました(#270~275)が、ここではコミュニケーション論からアプローチします。

3.おわりに
 近すぎてうまくいかないというだけでなく、主導権を取られてしまったという状況を打破するべき視点を学んでいきます。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


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