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経営組織論と『経営の技法』#97

CHAPTER 4.4:新しい組織
 社会の中にある経営組織をはじめとする組織には、ここまで紹介してきた組織形態に限らず、さまざまな組織形態があります。ここでは、近年見られるいくつかの組織形態について紹介することにしましょう。まず、チーム組織あるいはプロジェクト組織と呼ばれる組織形態について見ることにしましょう。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』93頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018.2.1)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村・久保利・芦原/中央経済社 2019.2.1)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 会社組織は、経営者が株主に対して負うミッション、「適切に」「儲ける」を果たすためのツールです。一回限りの博打のような利益ではなく、永続的にビジネスとして利益を出し続けることが大事ですから、リスクは適切にコントロールされなければなりませんが、チャレンジすることが必要ですから、市場での競争に勝ち続けなければいけません。
 市場での競争をスポーツに例えれば、会社組織は、スポーツ選手の「体」に該当します。
 スポーツ選手にとって、競技に合わせた体づくりをするところから競技が始まっています。競技に参加し、その様子や結果を分析しながら、よりよい体づくりを行います。そこでは、PDCAサイクルが日常的に行われ、無駄なぜい肉は落としつつ、必要な部位の筋力や瞬発力などは強化していく、そのように、スポーツ選手の「体」は常に変化し続けます。
 これを会社組織に例えると、会社組織も市場での競争状況に合わせて、会社組織が常に変化すべきであり、だからこそ、これから検討するような様々な新しい形態も、当然に生まれてきます。市場が変化しているからです。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 投資家である株主から経営者を見た場合、経営者は競争環境の変化に合わせて会社組織を変化させ、作り上げていかなければなりません。もちろん、まっさらな状況から、まったく新しい経営組織を考え出しても良いのですが、いろいろな会社の例を参考に、その長所を取り入れても構いません。むしろ、既にいろいろと実験されている他社の実例を上手に活用したほうが、失敗するリスクを小さくできるでしょう。
 世の中、経済情報誌が数多く出版されていますが、その中で、会社組織に関する記事が多いのは、他の会社の状況が経営者にとってやはり重要な情報だからです。

3.おわりに
 会社の組織形態は、AI化やグローバル化など、さまざまな事情により、今後も進化を続けるでしょう。現場では、さまざまな経営者が知恵を絞りながら新しい組織形態を模索しています。そのような工夫の成果を学ぶことが、新たな組織形態を考えるヒントになるはずです。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


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