メレンゲを語らなかった惑星史

ぼのぼのの架空部分の切り取り魔

真夏日の全能に茄子浮かぶ日々

視界へと村上龍がやって来る

ボクサーが失血しない霧の朝

猿股をゴリラが返す年月日

ミント茶が復元される裏日本

裁かるる宝生舞と対蹠す

自慰室にゼムグリップを置いて出る

水菓子を野球の捕手が撮って出し

捕手がみな磨製石器を磨く日は

地球暮れタルタルソース持ち歩く

異常者のカードケースに加賀まりこ

競艇のためのオレンジジュース瓶

遠投すのっぺい汁の在るほうへ

和田勉が金蔵破りする酷暑

トラックがトラックのまま社会詠

核の冬藤田まことが土器焼いて

純喫茶以外に丸めゆく襦袢

鯨の書一覧表がちはやふる

獅子舞が戦争中に読むポパイ

農具捨て霊感ゲームはじまりぬ

一切に飴と云う字を付け無飴

死にざまが両棲類のままの騎士

オキシジェン・デストロイヤー野点して

アメリカに般若心経だけがある

空蟬が無くてミスタードーナツ記

砂停まる太田光の砂時計

医務室にかごめかごめの超演技

砂糖壺自体が消える厚木基地

午後近し吉田茂の鯖溶ける

カロリング朝にふやけた麦ご飯

阪大にカサブランカの暗喩され

串カツが無くてひとつの牽引車

受胎してどこにも居ないウナギイヌ

あぶさんを高踏させるメンチカツ

芸人の肉饅頭に光射す

造物主ラムネの瓶をまだ振らず

時代屋に屯すパンチドランカー

亜熱帯明治放送局潰れ

デコトラの大一面にひじきの絵

分身が死ににゆくなり江戸幕府

#川柳 #現代川柳
#詩歌 #文芸 #創作 #限りなく透明に近いブルー