Ⅰ．ロケット・トゥ・ミー　　五〇句

まとまって貴種が嚥み込む創価学

夜をゆく小学校のバッハ焼け

潜在のシチュー屋ながくねむれ　蓮

殴りあうスター・ウォーズの弦楽器

新しい人よ眼ざめよ怪魚展

ホルモンが焼ける官界彷徨し

冒瀆の水溶液をながせ河

地球儀を逆にまわして母老いる

さとられてげその代わりのらくだ買う

マヤ暦の文化放送最期の日

墨田区に蝙蝠傘をはこぶ役

方舟の犬公方室ゆられおり

折口がわりと点描する嚢腫

地の涯に高田純次の油田燃え

聖洞に片たけうまのばかり在り

焦げパンを氷川きよしが再演し

テニサーの闇夜に触れる鑿岩機

靴むしるコンプレックス・シティ出て

あぶな絵に三単現の線を引く

廃市から少女時代の葱を切る

皇帝の肉の一部があのよろしあかよろし

懲役に先だっているてなもんや

滅裂の句がここにある主語述語

皇典のピンポンに似た月と日と

あぶさんのモンド映画のネタバレて

白鵬の漫画に河岸段丘し

柴犬の柴はじけとぶ原子力

マシリトについに未完の句があって

ウナ電を一同が読むベルサイユ

段丘に植田まさしのオーパーツ

コサインが失われゆく祝辞打ち

美学者の枕辺にまた火炎瓶

法然の限りにテクノ・ミュージック

世は暮れるブラヴァツキーの書を読まず

イヴェントに天動説のしょうが摺り

かにばさみらくだの支配する街に

白鳥は不死にあらずや贋サラダ

お世継ぎが劇画の猫のごと溶ける

ハガミしてポテトチップス先生忌

まるで無いトリコロールの砂畑

チエホフのすがたの蕎麦を打ちかえす

被膜せよノンカフェインの会規則

人間に別名がある饅頭社

珍友のパルプ・フィクション鏡文字

井戸失くしメトロポリスの麩をたべる

火の鳥の失言をする赤い春

エッシャーとともに醜いひとを抱く

ラポールを友綱部屋となり立たせ

ロケット・トゥ・ロシアほろほろ鳥捌く

三重県に配色されるコルセット

Ⅱ．ピアノ発酵　　五〇句

タロジロに名前あたえて肉の渦