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バベルという犬(不在のDIO)  川柳55句

ゲル化した花子が居ない田端駅

人間が奇数数えるユーラシア

ソヴィエトの誤字入れ替える延暦寺

街道に植田まさしの段ボール

赤紙のミッキーミニー巣をつくり

カステラの補註がずつと文語体

画具屋みな太陽神を歌うなか

恐怖史にかたちを成せるらっこ獲り

メンデルが北北西を向いて剃る

東宝の宇宙に茶筒くばり果て

一行詩から織り成したユリ・ゲラー

去勢者がツルゲーネフを敢えて書く

岐阜蝶を砕いて居るが母が死ぬ

人間にミンチ足らざる大狂歌

ポアをして脳細胞に細雪

近似する学芸大の玉子粥

歌留多無き家の足利大事典

天和がラジオ・シティに沸き起こる

猿の家から転移するヒペリカム

ぞぞめいて吉屋信子の擬音書く

冬蝿が架空星雲はなれれば

亀の意味ひとつもあらず綺型論

初ゴルフ比喩に狂っているひとも

超自我の品川駅をみはるかす

姉の日にオカルチックの襞重ね

日本語の意味でラ・マンが燃え尽きる

エマニュエル夫人の雪の下に箸

牧場に冠二郎ふりそそぐ

症例の輪ゴムを借りる御徒町

たけのこのコロニーを出る監視人

わさび田に鳥の予感の聖なる樹

侵入者αに海の無い信濃

時果ててきりひと讃歌への勃起

羊歯を貸す架空の柴田翔の家

もこもこの自乗をするとさびしい日

果樹園に王様の象凍りつき

稲中の太陽系を塗るわれら

サイレント映画の副詞転写して

心病む次郎の島に次郎雪

ソニーから海野十三へ辿る傘

甲羅無しタイムスリップして居ると

薔薇図鑑買って明智の白い城

砂肝を座標の外に置く舞妓

冬深し伯父のスプーンぐね曲がる

式典のサブチャンネルに鶏を焼く

つがい成る孔子のコモドオオトカゲ

ヒステリー・シティに砂の時計涸れ

似姿に月面都市のあぶらだこ

撒菱を避けつづけてのフルーツ茶

地底湖に川柳作家死んで居り

爆破後にモラルしか無い蚤の国

かぶら矢を鈴木建築して居ると

一般のアインシュタイン猿を飼う

傾いて不在のDIOの韮畑

一月に父のちとちを換字する


#川柳 #現代川柳
#詩歌 #文芸 #創作 #フィクション #DIO

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