見出し画像

和菓子日記 〜会津葵との出会い〜


 2023年 11月 4日(土)

世間の3連休。中日なかびのこの日は、お仕事でした。
退勤後は用事があって東京駅へ。
約束の時間まで小一時間あったので、時間つぶしにと日本橋高島屋にふらりと入店。入ってすぐに8階の催会場で開催されている『味百選』の案内を目ざとく発見しました。食いしん坊の私は、「全国から厳選した老舗・名店がここに」という言葉に吸い込まれるように、エレベーターで8階へ、迷わず直行です。

催会場はパラダイスでした。
一歩足を踏み入れたとたんに、大阪の「やまつ辻田」さんからふわ~っと山椒の香りが広がります。ご主人が石臼でゴリゴリと音をたてひかれる山椒に見入りながら、これ以上できないくらいの深呼吸を。酔いしれました。

次のお店も、また次のお店も、右にも左にも心惹かれるものが目白押し。
これはちゃんと時間をとって来るべき場所だったと思いつつ、わくわくが止まりません。

心躍らせながら、それでも冷静に大すきな和菓子を中心に見ようと決めて、奥の方へ。
そのコーナーにいくと、島根県松江市「風流堂」さんの上生菓子に見とれ、香川県東かがわ市「三谷製糖羽根さぬき本舗」さんの "クリスマスわさんぼん” に異文化融合を感じ、私が愛する佐賀県小城市の「村岡総本舗」さんの出店に うれしびっくりして、心がぽんぽん跳ねるようです。それらを眺めているうちに、仕事の疲れなんて一気に溶けてなくなりました。

けれど、眺めているだけでは気持ちがおさまらず、福島県会津若松市の和菓子を頂いて高島屋をあとにしたのでした。
翌日の おうちタイムがたのしみ。



2023年 11月 5日(日)

そして今朝。目覚めとともにその和菓子が頭にうかび、ときめいちゃった私。

昨日連れ帰ったのは「會津葵あいずあおい」さんの和菓子です。


私は和菓子好きとか言いながら、これまで、こんなに素敵なお店を知りませんでした…。

さすが、多種多様な民藝品の数々を誇る会津だけあって、その雰囲気を漂わせるお菓子がたくさん。どれもこれも愛らしくて、魅力的です。目移りして迷った末に、私は2つのお菓子を選びました。

まずひとつがこちら。その名も『あかべこ』。


厄除けのお守り・幸運を運ぶ牛、あかべこ。


中身を撮りそびれましたが、求肥の中にあんこが入っています。
厚さは数ミリというところでしょう。サイズ感がお上品で、ちょっと甘めのあんことやわらかな求肥のコンビが、おいしくてたまりません。


そしてもう一つが『御法度ごはっと打ち菓子』。いくつかある打ち菓子のうち、『紅鏡べにかがみ』というものです。



なぜ「御法度」なのかというと、昔、会津藩が禁止していた白いそば粉を、和三盆糖に混ぜてつくっているからとのこと。

儒教を重んじた会津藩は勤勉節約を旨とし、白く搗き上げた白蕎麦を御法度ごはっととして禁じておりましたが、反面慶弔の折りの最高のおもてなしでもありました。
会津葵の吉祥打物は、会津特上白蕎麦に、阿波産の純和三盆糖を使用し、紅花から抽出した本紅によって色どりした、おめでたい蕎麦落雁です。ひとつひとつ桜材の木型で打ち出し、雲龍紙で包んだ手作りの干菓子は、甘すぎず、くどすぎず、上品な甘さと蕎麦の一番粉の香りをお楽しみください。

パンフレットの説明より


「鏡」をまあるいお干菓子で表現♡


口にふくむと、パンフのご説明通りのお味です。「甘すぎず、くどすぎず、上品な甘さと蕎麦の一番粉の香り」。加えて素朴なあたたかさを感じます。
お蕎麦の香りは想像以上にかぐわしく、ほっこりと気持ちが落ち着きました。



余談ですが、お茶を注いだのは、有田焼の蕎麦猪口です。
柄違いでいくつか持っているのですけれど、こちらはある時、落として口がちょっぴり欠けてしまいました。
それでも使い続けたいと思ったので、少し前に金継ぎ教室へ出向き、自分で金継ぎをしてみました。



上の写真奥・左よりにポチっと金色がついているのがその部分です。不器用ですが、自分で手をかけると、いとおしくなるものですね。




ああ、まったりと しあわせな日曜日。

明日からのお仕事も、またがんばりましょう。



これを読んでくださった方も、どうぞすてきな一週間を。






この記事が参加している募集

至福のスイーツ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?