ダイ・ハードモード
大きな目標が、一つ潰えた。
早速、1日分日記が書けず毎日投稿することができない。
今後もなかなか出来そうにない…。
「1番面白かったof the Year 2022」を飾るかもしれないNY滞在2日目は、概要だけ説明すると大したことはない。
公園に行ってベーグルを食べて、スーパーで買い出しして、NYの同僚メイちゃん*の部屋に行って、宿に戻りネトフリの映画を見たぐらいのこと。
*登場人物は、1日目の日記にて紹介
それだけのことの中に濃密に詰まった会話劇が、しょうもないことの応酬なのに、腹を抱えて笑った。
映画の『キサラギ』を思い出した。
部屋の一室で繰り広げられる会話劇。それぞれの視点と時系列で繋がっていく構造の面白さに近しいものがあると思う。
2日目のストーリーは外伝として、いつかちゃんと書こう。
『キサラギ』をまだ見たことがない人は是非!
一週間後に、忘れた。
なんてことにならないように、話のトピックだけは書いておこうと思う。
めちゃでかい塩を買うのか
バイアスでコショウを買おうとしている
購入した調味料の証拠写真
焼きそばを作ると稼げる
外に出たことがない猫は自信満々
構造
MVPは堂福。
カップ焼きそばにお湯入れてから時間の経過忘れちゃうのと同じぐらいに、素早く時が過ぎ去った2日目も終わり。いよいよ週末の日曜。
もう遊びは終わりよと言わんばかりに終末の日曜でもあった。
(なぜかカップ麺の時間は覚えていられるんだけれど、同じ現象の人はいるのだろうか)
3日目は完全な仕事Day。
もう仕事も仕事。とてもいい天気だけど仕事。
超重要なプレゼンを控えてたので、準備まっしぐら。
正直、この旅が始まる前からそのことばっかり考えていて、気が気ではなかった。
今は終えて、余裕シャクシャクでこの日記を書いているのだけれども、今日の朝は違った。
僕らの宿は3人で1部屋のドミトリータイプ。
二段ベッドと大きなベッドが一つの構成で、コンセントがやたら少ない。
ソファもダイニングテーブルもあるが、椅子はないので寝転がりながらか、立ちじゃないと出来ない。
こんなんで仕事なんてできるのか?
WiFiは驚くほど早いが、さすがに厳しい。
(いつも寝転んでじゃないと落ち着かない僕も切羽詰まっていたし、プレゼンもあったからさすがにデスクを求めていた)
でも、そう。
僕らには、オフィスがある。
NY支部があるから今回の滞在も安心して迎えることができた。
仕事が詰まっていても、NYでしっかり働ける。
朝ブルックリンの街並みをバスで通い、サンドウィッチとコーヒーでも買ってオフィスへ向かう。イースト川を臨む職場環境。
最高じゃないか。ビバ仕事。
かっこいい。ニューヨーカー・サラリーマン。
きっと、あなたはダサいと思ったかもしれない。
けれど一定層、もはや大多数がそんな生活に幻想的な憧れを抱いているはずなんだ。
(ステレオタイプかもしれないが)
今から、そんな一日を迎える。
そう思って早起きして、洗い物までしてから宿を出た。
昨日、メイちゃんから鍵は借りておいた。
さすがにこれで入れないなんてことはないはず。
「オゾンが薄い」とメイちゃんも話していたように、昼間は焼かれるような日差しのニューヨーク。
良いレバーならそれぐらい火入れるんで十分ですよ、ってぐらいには熱い。
暑いより熱い。
けれど朝の日差しはだいぶ柔らかくて、空が、街が、歓迎してくれている気がした。
一人バスに乗り込み、乗り換えのバス停を過ぎても、問題ない。
non non non。
逆に徒歩が近くなったし、ラッキーなぐらい。
歩いて川沿いでも見てみよう。
頭の中に植え付けられているニューヨークにぴったり合致する景色。
マンハッタンのビル群を眺め、近くの公園の脇を通る。
ランチはどこかでテイクアウトして、ここで食べようか。
まずはスーパーに寄って、水と朝ご飯でも。
ちょっと奮発して、リンゴジュースも…!
いい朝すぎる、これで仕事も絶好調で迎えられる!!
そしてオフィスのある建物へ。
見たことはないが、レンタルオフィスだからどこかの一室にあるんだろう。
部屋番号はわかるし鍵もある。
途中エレベーターや階段の場所も分からず彷徨っているとセキュリティに止められたが、行き先を伝えると丁寧に教えてくれた。
少し時間はロスしたが、いける。
2階に上がると、部屋が複雑に配置され、くねくねと不思議な形状の廊下だった。
なかなか見つからない部屋。
どこだ…。
5分ぐらいして、部屋配置のロジックに気がつき、ターゲットを明確に歩き出すことができた。
もう着く…!
着いたーーーー!!!
目の前に立ちはだかる、部屋番号の記載された黒い大きな鉄の扉。
ドアノブに鍵が二つある。
上から試してみる。
さ、ささらない…
下も試してみる。
………
絶句。
刺さる気配すら感じなかった。
そこで気がついた。
シェアオフィスの中にもルームが区切られていて、その中に入るための鍵だったんだということに。
この建物の部屋を開けるための鍵ではないということを。
メイちゃんは昨日「オフィス行ってみよっか?」って言ってたし、普通に入れるもんだと思っていた。鍵さえあれば。
鍵さえあれば大丈夫だと思って、執拗に鍵貸してねって言った。
鍵を渡し間違えた可能性とか、そもそもメイちゃんは土日オフィスに来たことがない可能性とか、色々なものが渡り鳥の大群みたいに頭の中を駆け巡る。
全てを投げ出して、公園で日向ぼっこでもしていたかった。
こんなに毎日って上手くいかないものか?
行きの時からずっと逃れられない、地曳き網の中にいる。うまくいかない、ハードモードな日々の呪い。
(いや、単に色々リサーチとかケアが足りないだけなんだ。わかってる。)
なんか物事が思うように進んだ試しがない。ミッションインポッシブル。
でもそんなうまく進んでいたら、何も書けることが無い。
人間は不幸の方が好物だ。誰もうまく行ってる話なんて聞きたくも無いはず。そう思って、今この文章を書いているのだから。。
結局宿に戻って、ベッドに張り付いたままでなんとか提案資料を完成させ、案件も無事、まあまあ先に進んだので準備した甲斐があった。
本当によかった。報われた。
もう深夜の4時も半分を回った。
今日は早起きだったから、ジェットラグとか感じていないと思い込んでいたが、体内時計はやっぱり過敏だ。
堂福は皮膚が敏感すぎたのか、それとも精神的なものなのか、今蕁麻疹に悩まされて、蕁麻疹の鎧をまとっている。ぐらいにひどい。
掻き毟らないように、って言いながら掻いている。
彼の蕁麻疹が早く治ることを祈り、明日もエクストリーム出社だ。
仕事だけしかしてなくて、何も書くことがなくなりそうなニューヨーク。
次回も、どぞ。
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