iNa INAGUMA

本業は企画とコピーを書き、片手間で小説を書く。早稲田で文芸創作専攻、卒業。横浜生まれ湘…

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本業は企画とコピーを書き、片手間で小説を書く。早稲田で文芸創作専攻、卒業。横浜生まれ湘南育ちの神奈川県出身。 Word Works Archives

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    日常に起きたコメント。つまり日記的文章です。

  • iNa_短編小説まとめ

    自分自身で書いたnoteの短編小説のまとめです。色々試しながら書いているので、文体とか内容とかトーンとかバラバラです。色々読んで見ていただけたら嬉しいです🐄🐄🐄

  • なんでもない28歳 初夏のNY放浪記

    なんでもない会社員であり、限界サラリーマンであり、プランナー・コピーライターとして奮闘中の28歳が、日本を脱出し憧れの大都市ニューヨークシティに旅立つ。二人の仲間と共に、時差に関係なく働きながらNYを徒然と過ごします。 日記です。

  • weekly flash story

    書くに値しないかもしれない、それでも書かずにはいられない。 一息の区切り一週間で、思いを馳せたり馳せなかった事象や、感じたり感じなかった体験を物語チックに書いていきます。 書かなくなった自分への、リハビリです。

  • Short

    短いけれど、少し長い。ベッドから起き上がれない時、一週間の休日。そんな時に読みたいけれど、あまり更新しないでしょう。

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self service

 昨日は雨が降っていたような気がする。昨日だったような気もすれば一昨日だったような気もしてくる。それとも今日なのかもしれない。底の見えない深い沼のような濃い緑色の遮光カーテンに閉じられて外の様子はわからない。あのカーテンを開ければ済むことだけれどそのためだけに腰は持ち上がらない。検索してサッと調べればすぐにわかることなのに別にそこまで知りたいわけでもないから、天気予報とは別に今日は誰がどんなことを言っていて何に不満を投げかけているのかを手持ちの液晶で眺めていた。  聞こえも

    • 今年みた最初の月は、昼の月だった。

      きっと、いい一年になる。 いや、ならなきゃおかしい。 そう信じて、スキップみたいな軽やかさではなくハードル走のように、ある種逃げるように駆け抜けながら年を越した。 2023年の新年を迎える前、それはそれは壮絶な年末だった。 失恋と愛猫の死。 おまけにBluetoothイヤホンとiQOSの失踪。 メンタル崩壊からの免疫低下でインフルエンザ。 立て続けに不遇な事柄が襲い掛かり、IKKOさんも脳内にこんにちは。 あとはプリキュアのAメロ。 一難去ってまた一難。ぶっちゃけあり

      • No.Special Moment

        ※これらの写真は2022年6月20日のニューヨークで撮影されたものです。 稲熊

        • 最終。回収。

          美味。 何よりの幸せ。 この旅で一番美味いんじゃないかというイタリア料理店に僕たちはいた。会社のパーティーで出会った方々と。 ナイトメアの渦に巻き込まれるも、巻き込まれきってなんとかやり過ごして迎えた15日目。 この晩飯が終わってからも仕事は残ってる。 それでも、外に出て美味しいご飯を食べれるのは幸福度が非常に高いから、この日の評価は最高。 16日目になると全ての仕事が片付く。 日本が土曜日に入るからだ。 ついに。 ようやく。 休みだーーーーー!! 全力で

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        記事

          抜けられない、時間の螺旋。

          10日目の夜から14日目まで。 目の前はノイズ。 渦のように引き込まれていく日々。 これは、そんな悪夢の記録。 前回の日記はこちら。最後から続いています。 いったいニューヨークで何してるんだ──。 青い壁に囲まれたリビング。 柔らかいソファの上。 椅子にスーツケースを乗せ、さらにその上にはMacBookが置かれている。 窓のない半地下の部屋。 光は照明のみ。 トイレとソファの往復。 時間の感覚が失われていく──。 時差ボケ、なんて今更ない。 環境に適応できない

          抜けられない、時間の螺旋。

          振り返る時間すら流れ過ぎゆくNY。

          一週間。 あったかいシャワーを浴びることが出来なかった、あの旅立ちの日。 身体が凝り固まったフライト。 目的地を間違えて訪れたクラブ。 その後、何度も登場する文脈を作った会話劇。 オフィスの鍵が開かない(間違った場所を教えられていた)おかげで、やけに集中した仕事。 絡まれて悩んだ道なりと、深夜に仮眠したダンボール。 やっと寝れたのに、起きたらすぐに始まる打ち合わせ。 そのまま寝ずに、やっとたどり着いたニューヨークの中心。 いろいろな事があった。 いよいよ折

          振り返る時間すら流れ過ぎゆくNY。

          世界の中心で、何を話す?

          激動の4日目を終えて、5日目。 前日から続く疲れを取るため、6時間ほど睡眠をとって、夕方に起きて仕事を開始した。 本当に仕事しかしてないので、何もないが完全な昼夜逆転生活になり、仕事を終えたのは朝。 (日本の20時とかには終えたので健康的) ねようかな、と思っては見るけれど4日目後編の日記を書き上げると、全く眠くなくなっていた。 そんな6日目の始まり。 なんだか、あまり眠くならない。 ニューヨークに来てから。いや、もしかしてくる前のハードワークから続いているのか。 時

          世界の中心で、何を話す?

          似非ニューヨーカーの朝帰り。後編

          朝帰りにベッドの中で書いていると思った日記は、いつのまにか夕方に書いていた。 のはずが、仕事をしていたらまた次の日の朝になっていた。 前編は朝帰りに書いていたが、向かう道中で終わってしまったから「朝行き」の話で終わってしまった。 ここからは、朝帰りするまでの過程の話。 長い長い4日目の幕開け。 カフェでメイちゃん(NY同僚)と合流。 待ち合わせ時間から数分遅れぐらいで済んだものの、息があがってる僕をみて一言。 「大丈夫?とりあえずコーヒー飲んできな」 優しい。

          似非ニューヨーカーの朝帰り。後編

          似非ニューヨーカーの朝帰り。前編

          瞼が大きく開かない。 ぱっちり二重じゃない僕にはいつも通りのことだけれど、目覚めて顔洗っても最近この調子。もう眠すぎる。 今、僕は朝帰りの道中、この日記を書いてる。 きっと書き終えるのは幸せな気持ちでお布団に入っている頃だろう。 いや、今回はちょっと、重い考えを巡らせた話。 濃密な1日だった。 一昨日の話。 時差で、ある程度日本時間にも合わせて働くことの厳しさを知った3日目。 時差ボケもあるのか、深夜でもレッドブル三本分ぐらいに眠気が飛んでいた。結局なかなか眠れな

          似非ニューヨーカーの朝帰り。前編

          ダイ・ハードモード

          大きな目標が、一つ潰えた。 早速、1日分日記が書けず毎日投稿することができない。 今後もなかなか出来そうにない…。 「1番面白かったof the Year 2022」を飾るかもしれないNY滞在2日目は、概要だけ説明すると大したことはない。 公園に行ってベーグルを食べて、スーパーで買い出しして、NYの同僚メイちゃん*の部屋に行って、宿に戻りネトフリの映画を見たぐらいのこと。 *登場人物は、1日目の日記にて紹介 それだけのことの中に濃密に詰まった会話劇が、しょうもないこと

          ダイ・ハードモード

          硬直×到着×奇跡

          最近寝不足だったから、飛行機ではいつもの数倍の睡眠時間をとれた。 けれど座って寝ているだけでは人間のカラダは回復へは向かわないらしい。むしろ身体はカッチカチ。あまりゾックゾクはしてこない。 あれだけ上手くいかなかった出発日だが、フライト前にさらにAirpodsが無いことに気がついた。途中寄った職場に忘れたらしい。 iPadに数本映画やアニメをダウンロードするなど準備してきたのに…意味がなくなった。 コンデジのカメラの充電がほぼないことにも、しばらくしてから気がつく。カメラ

          硬直×到着×奇跡

          水を浴びれば空へ飛び立つ。

          久しぶりによく寝れたと思って、スマホに手を伸ばすとまだ午前6時だった。 なんて今日の朝を振り返りながら、コインランドリーで洗濯物が回っているのを眺めたり、空港に向かうバスの窓から外を眺めたりしてる間に、つらつらと書き殴ってみる──。 脱水後にしばらく経った洗濯物みたいに、じとっとした汗に浸されていて気持ちがわるい。 昨晩、旅立つ前にと近くのバーに軽く飲みにいったら同僚が酔っ払い女性に絡まれた。なだめているのか満更でもないようで、身体はだいぶ密着していた。 彼らの接触と僕

          水を浴びれば空へ飛び立つ。

          瞼に透ける

           両肩に勢いよく手がのっかってくる。左にすこし重さは振れてチャリが傾きそうになった。なんて考えれないぐらいに一瞬のことで、すぐに腰に衝撃が走ったかと思えばよろめきながらも車輪は前に進んだ。そんななんでもない瞬間が、なんでか忘れられない。あれだけくっさいと罵っていたのに潮の香りが気にならなくなったのは、毎日のことで鼻が馴染んだからだったか、後ろからなびいてくる髪の毛のせいだったか。  ベランダに粗雑に置かれたポリ袋に跳ねる水を見ないように、しっけたマルボロを咥えたままで目をつ

          瞼に透ける

          かげふみ

          靴の入り口がへこんでいるのは、親とか教師とか女とかに何度も何度も指摘されても、いつの年になっても直せない癖だった。どんなに高い靴を買ったとしても、履く時に踏んづけてしまう。毎日履くたんびにそうするものだから、次第にへこんでいく。おまけに歩く時に踵を擦って歩くからなのか、靴底はすり減って、靴下はなぜかつま先ではなく踵に穴が空いた。 今年の冬はやけに晴れの日が多い。雨が降ってないのかどうか、正確にはわからなかったが数少ない外出であるコンビニへの買い出し時はいつも晴れてた気が

          かげふみ

          閉じるボタンとタピオカレディ - such a person -

          一人目 こんな人がいた。 エレベーターに乗り込むなり、すぐさま閉じるボタンを押してくる人。目を合わせようとはせず、こちらの視線に気づくとわかりやすく嫌そうな顔をする女性だった。ちょっと、っと少し苛立ちを込めてもらすと謝罪ではなく「間違えた」と渇いた声でつぶやいた。 今回が初めてではなかった。彼女の閉じるボタンには今日だけでも三回挟まれそうになっている。意図的なのか無意識なクセによるものなのか。少なくとも、一緒に乗りたくないからとかムカつくから挟んでやろう、みたいな意志

          閉じるボタンとタピオカレディ - such a person -

          such a person

          ポケモンは社会。 いろんなタイプがあって、みんな生きている。相性のいい悪いもある。 そして仲良く愛でるのが真のポケモンではなく、殴り合いこそが本質。 単なる力対力ではなく、頭脳と駆け引きが掛け合わさる勝負。 まさに社会の肝がポケモンバトルには秘められている。 旅先でポケモンの新作を買い、そんな社会の本質に気付かされ、新しいテーマで短編小説を書こうという気概にさせられた。 ポケモンはすごい。 はじめに。ポケットモンスター剣盾に最近ハマっている稲熊です。 まずはじめに、この

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