心が叫びたがってるんだ!

この内容は僕の荒ぶる心の叫びだ!

ほんとはいいたかったけど言えなかった。

ただ心が叫びたがっているだけだ。

僕はその日、とあるフード&バーで飲んで(ノンアルコールビールオンリー)いた。

そのお店ではよくオシャレな感じの、最近の流行りの曲が流れている。

僕は、音大を出た父の影響から、子どもの頃から当たり前に音楽に触れていた。

父の意向もあり、幼稚園から小学生までピアノを習っていた。でも、壊滅的な練習嫌いで上達するはずもなく、小学4年生でやめた。

中学生になり、友達が音楽に目覚めギターを弾きながら歌い始めたときには、僕は野球少年だった。

中学生になって音楽を聞くことには目覚めたので、Mr.Childrenやスピッツ、BUMP OF CHICKEN、ポルノグラフィティなどのデビューから2000年前後の楽曲にハマっていた。

タイムスリップできるなら、せめて中学生に戻って音楽をしたかった。

今となっては、何らかの形で音楽をしなかったことを後悔している。

だからこそ、音楽で人生を切り開いていくアーティストを尊敬している。

音楽はいつだって僕の心に寄り添い、支え、背中を押し続けた。僕は、僕の心を動かし続けた音楽が大好きなのだ。

その時フード&バーで流れていたのは、藤井風のgraceだった。

僕は藤井風が大好きだ。あの才能の塊である彼の楽曲は、オシャレでめちゃくちゃかっこいいし、岡山弁はかわいいし、外見は男が羨むほどのイケメンだ。

カウンターで、ノンアルコールビールを飲みながら、「こんな風に生まれ変わったら最高だろうな」と思い、彼のPVを眺めていた。

その時、僕のとなりで酔っぱらっていたお兄さん(おそらく40才前後)がコメントした。

「オシャレだなと思うけど、こうゆう曲は、ハマらないな。フジイフウか。」

聞き間違いか?曲が合わないのはともかく、フジイフウ?南蛮風みたいな言い方したぞいま。

この人なんなん?

紅白まで出場した今をときめくあの藤井風をフジイフウだと?

フジイフウなんて、藤井もどきみたいではないか!

マジで知ったかぶって語るその顔は、なんなん?

僕は、心にものすごい引っ掛かりを覚える。

思わず初対面の酔っぱらいに「フジイカゼ!」とツッこんだ。


酔っぱらいの兄さんは、気にせずその後、自分の好きなアーティストを僕に向けて語り出す。

「僕はもっとポップで、子どもから大人まで愛されてて、歌詞も深いバンドが好きなんですよ。知ってます?Mr.Children。」

ミスターチルドレンだと?知ってるもなにもあの、天下のミスターチルドレンさんを知らないはずがっ…何をいってるのだこの酔っぱらい?

マジでなんなん?

さらにお兄さんは続けて、「僕は他にも、大好きな人たちがいるんです。4人組でみんなカッコ良くて、曲は切なくてメロディがいいんです。知ってます?GLAY。」

嘘だろ、GLAYだと?知ってるもなにもあのミリオンセラーの国民的バンドのGLAYだぞ?

なんなん?

「知ってるかの確認を取るまでもなく知ってるよ!肥溜めにダイブしてくるかこの酔っぱらい!」と心が荒ぶっていたが、「知っています」と返事をするに留める。

酔っぱらいに何を言っても無駄なのは分かってるのだ。

きっとこの酔っぱらいは、ミスチルやGLAYがこの世から出始めた30年前からタイムスリップをしてきたのだ。

それでないと納得できない!神様たすけてヤバめヤバめ!

この酔っぱらいの知ったかぶりに耐えられなかった。

次はスピッツかL'Arc~en~Cielの確認をしてきそうだったので、たまらず僕は店を後にした。

声を出して、ほんとはこんな言葉を叫びたかった。


てめえが知らないだけだろぉぉぉーこの酔っぱらいぃぃ!なんなん?









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