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ロンドン、大学図書館の回廊にて。

ひよこが帰ってこない。タウンハウスにも連絡がないらしい。図書館に行くといった。とトマスが珍しくオロオロしている。土地勘もない、極度の方向オンチ、要するに危なっかしい。

図書館で遅くまで開いてるていったら大学図書館しかないだろう?研修後に課題こなすために資料もいるんじゃねえの?

執務室で報告書読みながら空返事したら
トマスはですがもう23時です。

…?もうそんな時間?そういや夕飯時にもいなかったな。電話するがでない。チャットも未読
何してんだあいつ。

イラつく。
電話出やがれ。

嫌がらせかというくらい電話するがでない。それどころか電源オフってきやがった。

マギーは心配でたまらないらしい
ひよこさまはあんな可愛らしいお方ですから何かあってもおかしくありません。

…まあ、孫みたいなもんだろうからな。

ぼっちゃま心当たりは?

大学図書館だろう。お前たちもう休め、大丈夫だ。迎えに行く。

あいつは全くもう!

…だけど本当になにかあったらマズイ。
電源オフが違う理由だったら?

あんな可愛らしいお方かどうかは置いといて

あんま使いたくないけど緊急というなら仕方ない。ということで位置システムを起動させた。

…やっぱ大学図書館。

一個してると他をすっとばす素晴らしい灰色の脳みそ。シングルタスク極まれり。というところか。

まあ、研修も仕事みたいなもんだしな。
と言い聞かせるが、腹が立つ。
心配させるなバカヤロウ

馴染みの大学図書館。昔々に通った場所
ひんやりしたコリドール。思い出がありすぎてあれから足を踏み入れてない。

図書館に入るとグループで机囲んでる奴らがいる。学生じゃないのは一目瞭然。
一人だけ女のコがいる。ひよこだ

可愛らしいお方かどうかは置いといて
こいつやっぱ目立つな。
ギヨームと目があった。ギョッとしてる

なんでいるの?ときた。
迎えにきたに決まってるだろう。アホか。

ゴネるひよこをとっ捕まえて帰り道をいそぐ
ほんと夜遅くに女のコを外でウロウロさせたくない。

そそっかしいあいつは手袋もマフラーも忘れて来たらしい。巻いていたマフラーをあいつにぐるぐる巻にしてやった。

あの回廊にさしかかる。
もう遠い出来事なのに。

フレッド?

ひんやりした回廊に声が響く

どうしたの?

いやなにも

あいつはなにもない廊下でつんのめる。

グッドタイミングすぎるそそっかしさ

手が冷えてるから手を貸せ。わざとらしさ100点なとってつけた言い方

のほほ~んとした声

おなかすいたー

ふっ

おなかすいたー

こどもかよ

でもおなかすいたー

はいはい

苦い思い出がのほほ~んとした声でかき消されるようだ

ここ

ん?

あの場所?

…ああ

わたしがいるからだいじょーぶっ!てをつないでてあげるね。わたしやーさしっ!!

一人でベラベラしゃべってる。雪がチラチラ舞ってる。


ちょ、手。痛いってばすこしゆるめてよ

あー、わり。つい

帰ったら一緒になんかたべよ?一人でごはんってさみしくない?わたしは好きじゃないなあ

ああ。そうだな

しつこいようだがちゃんと連絡しろ。いいな?

うん。

迎えに来てくれてありがとね。

ああ

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