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裏裏ひよこ日記。いっぱい食べる君が好き

ひよこが部屋に遊びにきている。
部屋の暖房の調子が悪いためマギーから
部屋を移るように促されトランクガラガラ言わせてオレの部屋にやってきた。

それでのんびり時間を過ごし、いまは映画をみている。

深夜映画観ながら食べるポップコーンてなんでこんなに美味しいのかなー

さあなあ。

キャラメル派?バター塩派?

バターだな。

わかる!

コーラはコーラ派?ペプシ派?

あー、普段はコーラだけど映画観ながらポップコーン食べるならペプシだな。

わかるっ!!わたしも!!

ふは。

あと、ホットドッグかピザがあれば完璧なんだよな。

うん!!

ひよこの目がキラキラしている。この食いしん坊め。

…やるか?

やります?

せっかくだ。今日は良しとしよう。

やった!!

と、言うわけでオレ達は厨房に降りていった。
抜き足差し足。

忍者よ!忍者みたいに忍んでいくのっ!
ひよこといるといつもの日常が面白おかしくなる。この人はいつもちょっとしたことを面白おかしくする天才だ。

厨房は火が消えているから寒い。

うう…冷えるう。
さみーな。

ザワークラウトにソーセージにパンと?
それから?マスタードとケチャップ。
…さすがクリスマス。材料は…全部あるな。
ほんとに食うのか?

うん、たべるっ!!

なら…えーと4つ

どうせならしっかりうまいもん食いたいというもんだ。

お湯を沸かしてソーセージを茹でる。
パンは切り込みを入れてオーブンに入れ温める
ザワークラウトを瓶から適量取り出す
マスタードにマヨネーズとバターを入れて混ぜてパンに塗る準備。

まだー?まだー?
ひよこがワクワクして茹でられているソーセージやオーブンに入れたパンを眺めている。

なんか小さい女の子が同じようにまだー?まだー?とワクワクしてオーブンを覗き込んでこっちを見上げる映像が脳裏によぎった。ひよこ?
いや違う。わからない。はっきり顔は見えなかった。それは一瞬の映像。

なんだいまの?

ん?

いや、何でもない。

できた?


まーだ。これは茹であがったら軽く焼くんだよ。

本格的!!

夜中にこんな事してるなんてな。
昔は食事は決められた時間に決められた量を食べ好き嫌いは許されず必ずそれらを食べなければならなかった。だから小さい頃は食事が苦痛だった。

かたや今はこれだ。変われば変わるもんだ。

温まって少しばかりパリっとしたパンを取り出す。

あちっ!!

大丈夫?

大丈夫大丈夫。

パンにマスタードマヨネーズをガッツリ塗って
ザワークラウトを敷く。それから茹で焼きしたソーセージを挟み、マスタードとケチャップをかける。

できたぞー。

やった!やった!!

ひよこはものすごく嬉しそうだ。

キッチンに立ったままガブリと一口頬張る。

あー!ずるい!わたしもっ!!

んーっ!!しあわせっ!!
すごく美味しいっっ!!!

満面の笑みでめちゃくちゃ嬉しそうに作ってやったホットドッグを食べている。


いっぱい食べる君が好きー。てコマーシャル昔流れてたよな。

こういう事かと理解した。

ほんとうまそうに食べるんだよな。
幸せですっ!て顔して食べる。
それをみたいからせっせと飯を作るみたいな?

フハハ

なに?

お前ケチャップついてるぞ?パンくずもついてるし。

え、どこ?

袖口で拭くなよ?

ティッシュ?ティッシュどこ?

さあ。


世話が焼けるな。子供かよ
笑いながら頬についたパンくずと口の端についたケチャップを拭ってやった。

ありがと。
どういたしまして

…飲むもの。詰まる

わかったよ


ミルクを注いで渡してやる。

何このミルクめちゃめちゃ美味しいんだけど?

は?

めちゃめちゃ美味しいミルクなんだけど!

ふうんそう?
家のヤツだからずっとそれ。

は?なに?乳牛さんいるの?
正確には村の牛乳。

すごいね。わたしここで暮らせる。

お前食いもんが理由でここで暮らすの?

え、わたしここ好きよ?なんか好きよここの場所

そ?

うん。

気にいってもらえてなにより。

そのまま2個目のホットドッグを食べる。

やっぱうまいなオレ天才かも。

うん。フレッドほんとに料理上手よね。これからもわたしの胃袋を満足させてね?

お前が色気より食い気ってのがよくわかった。


だってこれほんっと美味しいんだもん!

わーったわーった(笑)

でもわたし色気より食い気だけじゃないもん。

そう?

そう。

なら試してみるか?

なーに、その企んだニヤニヤ。

オレ健康な男子だから

はははっ!!

あはは。
 

ま、真面目な話。
今日一緒に過ごしてくれるんだろ?

あ、うん。ベッドの線引きは超えないようにするから

越えてくれて構わないんだけど

…いつも思うんだけどあんたシチュエーション気にしないタチよね?

お前凝りに凝った演出したら意識しまくるだろうが。オレの優しさだ。

ウソだね(笑)

ウソじゃない。

部屋に戻りながら小さな声でヒソヒソと痴話喧嘩してる。なんかすげー楽しい。そしてちょっとだけ残念。しかし今ある幸せぶち壊したくないから別に急がなくて構わない。

おやすみ

おやすみー。
 

…線引越えてくれていいよ?













 










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