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本が私を育ててくれた 【読書エッセイ】

 母は他人の意見に流されやすい人だったので、子どもの頃、誰かが言っていたという理由で、自分には合わないことをあれこれやらされたものです。いつかひとこと言いたいと思いつつ、言ったことがないのは、「流されてくれて良かった!」と思うことがいくつかあるからです。
 その一つが、祖母の家の近所にあった本屋さんのアドバイス。その本屋さんのアドバイスに従って、季節ごとに本を買ってくれたのです。今でもたまに話題になるようなロングセラー本が多かったのですが、どれも夢中で読みました。
 母は本を読まない人だし、父の本棚には歴史小説しかなかったので、あの本屋さんがいなければ、読書の楽しみに気付けずにいたかもしれません。
 小1から小3にかけて、あの本屋さんが選んでくれた本を読んだことが、今の私の根っこになっています。そこから始まって、様々な本と出会い、本に育ててもらうことができたのです。

 「未来のためにできること」という題を見た時に思い浮かんだのが、あの本屋さんのことでした。ネットでチェックしてみると、違う場所で本屋を続けていらして、今では、おすすめ本の定期頒布や店での読み聞かせ会もなさっているようです。私の時代から今まで、子どもたちのため、未来のための活動を続けておられることがわかりました。
 今も、私と同じように夢中になれる本を教えてもらっている子がいるのだと想像すると、胸があたたかくなりました。本を通じて、その子たちと自分がどこかでつながっているような気持ちにさえなりました。

 そして、あの本屋さんのように、自分も、本の魅力を伝えることができればいいなと思ったのです。特に、青空文庫にある、大勢の人たちの努力と献身によって電子化された作品の魅力を伝えていければと。

 私自身、日本文学に親しんできたわけではないので、青空文庫のリストを見た時、「たくさんありすぎて、何から読めばいいのかわからない…」と圧倒される思いでした。でも、ここは、あの本屋さんが育んでくれた自分の読書力を信じて、少しでも多くの作品に触れ、辛い時や道に迷った時の指針になるような小説、人生が楽しくなる小説、新しい世界を教えてくれる小説をnoteで紹介していきたいです。それが私なりの「未来のためにできること」です。

誰もが公平に、良い教育を受けられるように、また一生に渡って学習できる機会を広めよう

SDGs 17の目標より



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