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最新虫除け成分「イカリジン」を含む商品のコスパ比較

エビデンスを求めて三千里、着太郎 (@192study) です。

雨が続き梅雨まっただ中ですが、昨晩に関節を蚊に刺されて悶絶しており、夏もヒシヒシと迫っているなと感じます。

2019年6月25日発表の気象庁の「関東甲信地方 3か月予報」によると、7月は気持ち例年より気温が低く、8月は例年並み、9月は気持ち例年より高いようです。

イカリジンとは

イカリジン(またはピカリジン)はディートと同等の効果があり、ディートのような皮膚刺激性が少ない、と報告されています。(初期の調査では灼熱感を報告したのはディートの半分の1割程度というデータがあります。)
また、ディートにあるような独特の匂い、べたつき、プラスチック・化学繊維・皮革の腐食がないと言われています。(ただし、溶剤にエタノールが含まれているので、エタノールの腐食性はあります。)
ディートのような年齢による使用制限もありません

イカリジンはディートに代わる忌避剤として、アスピリンで有名なドイツのバイエル社が開発し、1998年にベルギーで初めて市販されました。
日本では2015年2月に5%濃度のイカリジン製剤3商品(虫よけキンチョールB、スキンベープD1、L虫よけスプレーIC)が医薬部外品として認可されました。
その後、デング熱やジカ熱の流行を受けて厚生労働省は2016年6月に製造販売承認の迅速審査を発表、2016年8月以降15%濃度のイカリジン製剤が認可されました。

他の忌避成分

イカリジン以外の忌避成分としてディート、レモンユーカリ油などがあります。

ディート
使用実績が長期間に及ぶものの、イカリジンと比べて皮膚刺激性、独特の匂い、べたつき、持続時間の短さ(揮発性が高いため)、使用年齢制限、プラスチック・化学繊維・皮革の腐食などがあり、国内では同性能の有効濃度(イカリジン15%とディート30%は同等の効果)の販売しかないため、実績量や流通商品の豊富さ以外であえてディートを選ぶ理由はなさそうです。

レモンユーカリ油
レモンユーカリ油はいわゆる天然成分として喧伝されているものの中ではアメリカ疾病予防管理センター(CDC)により唯一忌避効果が認められているものですが、同CDCにより呼吸や神経に影響を及ぼす可能性があるとして3歳未満の使用は控えるよう勧告されています。

イカリジン含有商品

2019年6月現在のイカリジン含有商品は発売当初と異なり、フマキラー株式会社の「天使のスキンベープ プレミアムシリーズ」と、大日本除虫菊株式会社の「プレシャワーDF」および「虫よけキンチョーDF」シリーズのみのようです。

フマキラー株式会社
天使のスキンベープ プレミアム 200mL / G1 / 15%
天使のスキンベープミスト プレミアム 60ml / G2 / 15%
天使のスキンベープミスト プレミアム 200ml / G2 / 15%
天使のスキンベープジェル プレミアム 40g / H1 / 15%(原液濃度)
天使のスキンベープティシュ プレミアム 20枚入 / J1 / 15%
天使のスキンベープミスト プレミアム ワンワンとうーたん 60ml / G2 / 15%
天使のスキンベープミスト プレミアム ワンワンとうーたん 200ml / G2 / 15%
天使のスキンベープ 200mL / D1 / 5%
天使のスキンベープ 300mL / D2 / 5%
天使のスキンベープ ハローキティ 200mL / D1 / 5%

大日本除虫菊株式会社(KINCHO)
お肌の虫よけ プレシャワーDF ミスト 80mL / RL12 / 5%
お肌の虫よけ プレシャワーDF ミスト 200mL / RL12 / 5%
お肌の虫よけ プレシャワーDF ファミリーユース 無香料 200mL / RL12 / 5%
お肌の虫よけ プレシャワーDF ファミリーユース フローラルソープ 200mL / RL12 / 5%
お肌の虫よけ プレシャワーDF ジェル 60g / RL21 / 5%
お肌の虫よけ プレシャワーDF PRO 80mL / RL16 / 15%
虫よけキンチョールDF パウダーフリー 200mL / RA4 / 5w/v%(原液100mLあたり)
虫よけキンチョールDF パウダーイン 200mL / B / 4%(5g/200mL)

効果の持続時間

効力持続時間は調査によって数値が異なるようで、イカリジン5%で6時間未満、イカリジン15%で6〜8時間とする資料や、イカリジン5%で5時間まで、イカリジン15%は12時間まで100%の忌避効果が確認されたとする資料などがあります。

なお、これらのデータはあくまで研究室内での実験と思われるので、実際には汗で流れたり風で揮発したりするだろうことを考えると、半分程度で考えて塗り直しは必須と考えた方がよさそうですね。

塗布形態と成分濃度

国内商品での塗布形態(剤形)として、エアゾール、ミスト、ジェル、シートなどの商品タイプがありますが、吸引リスクと塗布効率を考えると、特別な理由がない限りミストタイプを選択するのが合理的でしょう。
エアゾールタイプはディートの調査ですが塗布ムラがありかつ付着効率が悪いという報告があります。
ただ、ミストタイプでも吸引自体は避けられず、室内(玄関先)で使用するとむせるので、外で風上から使用するか、多少べたつきますが一度掌に吹き付けてから塗ってあげるとよいかと思います。より慎重に塗布したい場合はジェルタイプを選択してもよいかもしれません。

イカリジンの濃度に関しては、低濃度の場合、忌避効果が十分望めない、忌避効果の持続時間が短いなどの問題があり、ディートと異なり年齢制限がないことから分かるように低年齢でも影響はないと考えられ、費用面や皮膚刺激以外で低濃度を利用する理由がないので、肌が弱くない方は国内許容最大濃度のイカリジン15%商品を選択するのが合理的です。

以上のことから、通常利用の忌避効果を想定した場合の合理的な商品選択としては、ミストタイプではフマキラーの「天使のスキンベープミスト プレミアム」かキンチョーの「お肌の虫よけ プレシャワーDF PRO」のいずれか、ジェルタイプでは「天使のスキンベープジェル プレミアム」の一択になります。

コストパフォーマンス

タイミングによっても商品の値段が変動しますが、2019年7月1日現在のAmazonでの価格を見ると「天使のスキンベープミスト プレミアム 60ml」は700円(6月9日までは長らく489円)、「天使のスキンベープミスト プレミアム 200ml」は719円、「お肌の虫よけ プレシャワーDF PRO」(80mL) は623円となっており、コスパでは「天使のスキンベープミスト プレミアム 200ml」一択のようです。

また商品形態としては「天使のスキンベープミスト プレミアム 60ml」の商品構造が携帯に適しているので、中身がなくなり次第「天使のスキンベープミスト プレミアム 200ml」で補給する、という使い方がよいかもしれません。

使用上の注意

商品パッケージ裏面に使用上の注意が記載されていますが、以下の注意事項について特に気をつけると良いかも知れません。

眼や口の周囲、粘膜や傷口等、肌の弱い部分には使用しない。
・眼に入ったり、飲んだり、なめたり、吸い込んだりすることがないようにし、塗布した手で眼をこすらない
・具合が悪くなる等の症状が現れた場合は、直ちに、本剤にエタノールとイカリジンが含まれていることを医師に告げて診療を受ける。
・乳幼児や初めて使う人、肌が敏感な人は、上腕の内側等に少量スプレーし、その箇所に異常がないことを確かめてから使用する
・子供に使用する時は、保護者等が子供に噴射物を吸い込まないよう注意して使用するか、保護者等が自分の手にスプレーした後で子供に塗布する
子供の手には塗布しない(眼をこすったり、舐めたりするおそれがあるため)。

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